神を確信すること

 イスラームは、人の心の中に平和を植えつけ、主の慈悲深い導きとご加護を確信させる。イスラームをとりわけ際立たせている特質は、創造主と人間の直接の関係で、執り成しを一切必要としない関係である。

 この直接の関係により、各人は、ほかのすべてを排除して、ただ主のみに完全に帰依していることを証明する限り、庇護と助けを求める全能の神に護られているという感覚を持つ。

 「そして汝らの主は言われる、『われを呼べ、われは汝らに応えるであろう』」(40章60節)。

 「われの僕たちが汝(ムハンマド)に、われについて尋ねたならば、われはすぐそばにいる、嘆願者がわれに呼びかけるとき、われは彼らすべての祈願を聴く。また、彼らが正しい道を歩むために、彼らにわれの呼びかけを聴かせ、われを崇拝させよ」(2章186節)。

 全能の神の臨在の下で、地上のほかのすべての勢力が治められる。権力、富、力を要求する者は、救いの無い被造物に貶められる。

 「言ってやれ、『神が我らに定められたことのほかに、何も起こることはない、主は我らの守護者であられる』」(9章51節)。

 地上のいかなる勢力も、ハエ一匹たりとも傷つけることはできない。

 「もしハエ一匹が彼らから何かを奪っても、彼らはそれを取り返すこともできない。(神のほかに彼らが)願う者も、彼らが願うものも、はかないものである」(22章73節)。

 この全能の神の守護の下で、宇宙を動かす力に人間が護られている限り、何ものも人間を傷つけることはできないので、人間の安全、尊厳、そして富の保全が保障される。

 「言ってやれ、『おお、権力の所有者であられる神よ、あなたは、あなたがお望みになる者に権力を授け、またあなたがお望みになる者から権力を剥奪される。あなたは、あなたがお望みになる者に名誉を授け、あなたがお望みになる者を卑しめられる。すべてのよきものがあなたの手にあり、まことに主は全能であられる』」(3章26節)。

 「神が汝を助けるならば、汝を征服する者はいない。神が汝を見捨てるならば、誰が汝を助けようか」(3章160節)。

 「栄光と権力を求めようとするならば、すべての栄光と権力は、神に所属する」(35章10節)。

 「おお、人間よ、汝らに授けられた神の恩寵を忘れるな。天上で、そして地上で、汝らに糧を授けられる神が、神のほかにいるか。主のほかに神はない。しかるに汝らは、どうして真理から離れてしまったのか」(35章3節)。