キャプテン☆アンドウ 第6話 「思い出せないけど、、」
アンドウといびきが自宅にもどってきた。
い:「ねぇアンドウ。また、かぁちゃんに入ってくれば?」
い:「そうすれば、ちゃんと思い出せるんじゃない?」
ア:「う、うん・・・」
ア:「でも、あの人のこと、また泣かしちゃうかもだし・・・」
い:「う~ん・・・」
い:「じゃ、父ちゃんは?」
ア:「あの男の人だろ?」
ア:「なんか顔がこわくねぇ?」
い:「プっ。」
い:「それ言っちゃう!」
ア:「ん~ とりあえず、そこは保留で・・・」
ア:「あっ、いびきの知ってるオレのことを教えてよ。」
い:「あ、うん。」
い:「アンドウはさ、ぼくが1才のときに、ぼくの弟として、このウチにきたんだよ。」
ア:「ほぉ~」
い:「ヘンテコな顔してたなぁ~。」
ア:「ん?」
い:「い、いや・・・いい意味でだよ。」
い:「ははは・・・」
ア:「・・・」
い:「ぼく、ワンコが苦手でさ。」
ア:「犬のくせに?」
い:「そう、犬なのに・・・」
い:「だから、アンドウのことが嫌で嫌でしょうがなかったんだけどさ・・・」
い:「キミってば、しつこくってさ~」
い:「ずっと、ぼくのあとにくっついてくるの!」
ア:「へぇ~」
い:「いつからかな?一緒にいることが当たり前な感じになってたよなぁ~」
い:「そう、いっつも一緒だったよ。」
い:「お出かけも、お留守番も、寝るのも。」
い:「そして、いつも威張ってた!」
ア:「ほぉっ!」
い:「これは、いい意味じゃないんだけど・・・」
い:「でも、喧嘩よわっちぃの・・・笑」
ア:「そんな訳ねぇだろ!」
い:「ちょ~弱い!」
ア:「ウソだ!オレは無敵だっ!」
い:「そうそう、そうやって、ぜぇ~ったい負けを認めないの!」
ア:「あ~んっ!」
い:「あ~んっ!」
い:「ぷっ。」
ア:「な、なんだよ?」
い:「いや、うん・・・ うん。」
ア:「うん?」
いびきは、そんなアンドウを見て懐かしく思った。
い:「アンドウ、やっぱ、かぁちゃんに会ってこいよ。」
ア:「え?」
い:「記憶が戻っていなくても、二人を親として感じてるんだろ?」
い:「そのことをかぁちゃんに伝えてあげなよ。」
い:「きっと伝わるよ。アンドウのこと感じてくれるよ。」
い:「そしたら、ふたりで、またさっきみたく冒険しようよ!」
い:「一緒にいろいろなことをして遊んでいたら、絶対に記憶も戻るよ!」
い:「なっ!」
ア:「今日は、よくしゃべるじゃん。」
い:「・・・」
ア:「わかった、会ってくる。」
アンドウの右目がかぁちゃんをとらえた。
ゆっくりとかぁちゃんに向かっていく。
そして、かぁちゃんの心の中に入った。
かぁ:「アンドウ。また来てくれたのね。」
ア:「あ、あの・・・オレねぇ・・・」
ア:「覚えてないの・・・」
ア:「でも・・・ いびきと二人のことは家族って感じてるの・・・」
ア:「でも・・・ 覚えてないの・・・」
かぁ:「うん。」
ア:「いびきがねぇ、手伝ってくれるって言うし・・・」
ア:「思い出すから!」
かぁ:「うん。」
ア:「待ってて、かぁちゃん。」
脳腫瘍の影響で無くなってしまった記憶はまだ戻っていない。
でも、また新たに、家族のぬくもりを感じ出していたアンドウの口から自然に出てきた言葉。
かぁ:「アンドウ・・・」
心のかぁちゃんは、アンドウが「かぁちゃん」と呼んでくれたことがたまらなく嬉しかった。
ア:「じゃ、いってくるねっ!」
アンドウが、かぁちゃんの心の中から飛び出ていった。
大切な家族の体がなくなってしまっても、ふと、傍に感じることがありませんか?
心の部屋でお話しているかもしれませんね。
いびきを仲間に引き連れて、あっちにいったりこっちにきたり、
キャプテン☆アンドウの大冒険は、まだまだ、ずっとずっとつづきます。。
第6話おわり
つづく