今回は、ざっくりと核融合発電について書いていきます。
自分の専門が核融合なので、ちょっと核融合寄りの内容になってしまっているかもしれません😓
核融合とは、文字通り原子と原子が融合するというものです。
核融合発電では水素をはじめとする軽い原子を用いることを考えています。
水素1gを燃やすと出てくるエネルギー(化学反応によるエネルギー)は、約143kJです。
一方、水素1gを核融合反応させて出せるエネルギー(核反応によるエネルギー)は、3億3800万kJにもなる。燃やした時と比べると、およそ240万倍です。
実用化を目指している核融合炉で使う燃料は、重水素と三重水素(低レベル放射性物質)であり、重水素は原子の重さが普通の水素の2倍、三重水素は3倍重い水素原子で、これらは水素同位体と呼ばれます。三重水素はトリチウムとよく呼ばれています。
重水素は海水中にあり、重水素を含む水(重水)の形で海水の0.0158%を占めています。
三重水素は、核融合反応で発生する中性子を利用して、リチウムを原料に炉の内部で生産します。
リチウムも海水中にたくさん含まれているので、重水素とリチウムを海水から抽出すれば、燃料は尽きることなく、核融合でエネルギーを供給できる計算です。
しかし、この重水素と三重水素の核融合反応を実現するためには1億度を維持しなくてはいけません。技術的には非常に大きな課題があります。
核融合反応で発生する中性子の一部は核融合炉の金属などに吸収され、放射性物質を作ります。
したがって、核融合発電でも放射性廃棄物は完全に無くせません。
しかし、炉の材料を吟味することによって、高レベル放射性廃棄物を生成しないことは可能です。
今、実用化されている原子力発電よりかは放射性廃棄物の影響を少なくすることができます。
核融合炉で1億度以上の超高温を作るためには、外部から少しずつエネルギーを入れて加熱していく、それが故障すれば加熱も1億度の維持もできなくなるので、核融合反応は起きなくなり、反応が暴走することはありません。
今ある原子力発電の核分裂炉のように制御不能になり、暴走する可能性はないのです。