我輩はネコ。

我輩はネコ。

僕の名前はミミ。

パパ、ママ、リコ、コータ。

4人と1匹のありふれた日常をつづります。

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「絶対に嫌っ!この子捨ててくるなんて絶対に嫌だっ!!」

リコが顔中くしゃくしゃにして怒鳴ってる。

「この子にはお家があるかもしれないでしょう?

 待ってる家族がいるかもしれないでしょう?

 元いたところに帰してあげなくちゃ、かわいそうじゃない。

 それに家の中に閉じ込めるより、お外にいる方が、

 ネコちゃんだっていいのよ。」

リコはボクをギュゥと抱きしめながら、

顔を真っ赤にして、無言のまま全身を震わせる。



リコは昔からそうだった。

悔しい時、悲しい時、怒ってる時、苦しい時。

いつもちっちゃな身体をギュッとちぢこめててこでも動かない。

嬉しい時、楽しい時、幸福いっぱいな時。

全身から喜びをみなぎらせて他人まで巻き込んでいく。



頑固で、自由で、危なっかしい。

強そうに見えて、繊細で、臆病で、寂しがりや。

ボクは知ってるんだよ、リコ。

心からの笑顔も、傷つくまいととりつくろう笑顔も。



「お、おいてくる、んて、か、かわいそぉ・・・。うおっ、おっ・・。」

台所で夕飯の支度をするママの背中に向かって、

直立不動のリコが泣きながら訴える。


ピンポン、ピンポーン。


「あ、お父さんだっ!」

テレビを見ながらそば耳たててたコータが玄関へ走る。

「お父さん、おかえり~。あのね、今日ね、リコがネコ拾ってきたんだよ。

それでね、今お母さんが返してきなさいって言ってね、

 リコが泣いてるんだよ。」

廊下の先の玄関口から、鼻息も荒くまくしたてるコータの声が響く。

「え、ネコ?そーかぁ。どれどれ。」

sora1


金木犀の薫る、空高い秋の日。

ボクは学校の裏庭でリコと出会った。


「早く終わらせて早く帰ろっ!」

突然の声にボクは慌てて茂みに身を潜めた。

「じゃぁ、あたしフンの掃除する。

 ユゥちゃんはエサとお水お願いね。」

「うん。」

さび付いた小屋の扉がきしんで開き、ウサギが一斉に逃げ惑う。

「大丈夫、お掃除するだけだからすぐすむよ。」

真っ赤なスニーカーが忙しく小屋の中を動き回る。

ちりとり片手にかがんだ少女の長い髪がふわりと揺れた。

「はいはい、これでお掃除終了っ。」

小屋の隅に身を寄せ合って震えるウサギを振り返った時、目が合った。



それがリコだった。

その日から18年、ボクはリコと暮らすことになる。

どうしてそうなったのかはよく覚えていない。

ただ、ウサギよりなんかよりずっと震えるボクを包む、

リコの小さなてのひらの温もりだけが今も記憶に残ってる。



「あんた耳がおっきくてかわいい。ミミ。あんたの名前はミミだね。」