夏休みだからといって、遊んでばかりだけれど大丈夫かしら……」という心配の声がよく
聞かれます。

学校のない夏休み、1日にどれくらい勉強をさせるべきかはとても気になるところでし
う。



これまであまり勉強できなかった場合は、特に気がかりですよね。

教育評論家の親野智可等先生にお考えを聞きました。
残りの夏休みの過ごし方として参考にしてください。



●夏休みだからこそ、自由な時間を大切にしたい



1日の勉強時間の目安は「学年×10分」と、よくいわれます。
つまり、1年生は10分、6年生は60分ということになります。

なお、受験をする場合は、「学年×20分」ともいわれます。
この場合、6年生は120分になりますね。



もちろん、子どもによってやる気や能力は異なりますから、子ども自身が「やりたい!」
と言うのなら、もっと勉強させても全くかまいません。

保護者の方が決めるのではなく、子どもと相談して無理のない範囲で取り組んでください。



夏休みは学校がありませんから、「もっと勉強したほうが良いのでは?」と心配する保護
者の方もいると思いますが、宿題の時間も含めて上記の時間で十分というのが、私の基本
的な考えです。

宿題も、だいたいこれくらいの時間机に向かえば終わる程度の分量になっているはずです。



そうすると、けっこう時間が余りますよね。

ダラダラと過ごすのはよくないと思われるかもしれませんが、夏ですから、そんなのんび
りした過ごし方もありではないでしょうか。



ちなみに、欧米の小学校の夏休みに宿題はほとんどありません。

そもそも、“vacation”(バケーション/休暇)の語源は、“vacuum”(バキューム/真空)、
つまり真空地帯のように、「何もしない」という意味ですから。



といっても、せっかくの夏休みを有意義に過ごしたいというのなら、日頃、子どもがやり
たがっているのにやれていないことにチャレンジするのがおすすめです。

工作や絵画、プラモデル、昆虫採取、サッカー、裁縫……など、本当に何でもかまいませ
ん。

やらされるのではなく、やりたいことに夢中で取り組むことは、広い意味での勉強になり
ます。



●苦手分野を克服する「補習」で9月以降の勉強につなげよう



夏休みを弾みにして、9月以降の勉強につなげたいと思っている保護者の方も多いはずで
す。

そんな方におすすめするのは、「補習」と「予習」です。
夏休みの補習では、苦手な分野を夏休み中にピンポイントで勉強します。



特に算数は積み上げの教科のため、どこかでつまずいてしまうと、どんどんわからなくな
りますから、苦手克服にはさかのぼって補習をするのが効果的です。

子どもがどこでつまずいているかは、保護者の方が1学期のテストなどを分析して特定し
てください。



そして教科書を見て教えてあげたり、練習させたりして克服しましょう。

子どもが自分でつまずいているところを見つけて克服するのは難しいので、やはり保護者
の方が見てあげることが大切です。