最近のワタクシは歯痛に悩まされていました。


とっとと歯科に行くべきなのは判りきっていながら、ストレスや疲れで虫歯が痛んでるんだろうと自分に言い聞かせ、市販薬でその場しのぎをし続けていたのです。


ところが今日の昼過ぎから市販のクスリが効かなくなり、居合わせたドクターに頼んで、最終兵器のロキソニンを処方してもらう事になったのです。


処方箋を手にするまでも長かったけど、薬局での待ち時間も長い……。
一刻も早くロキソニンを……ロキソニンを飲めばこの痛みから解放される……
ワタクシにとってロキソニンは最大で最強の希望であり救いだったわけです。
が、痛みに耐えきれなくなりイライラしてきた末、薬局のスタッフに対して声をかけると「痛いのはわかるけど順番なので…」と涼しげに言われ、苛立ちが頂点に察し発狂しそうになりました。


こんなにも苦しんでる時に、そんな言葉は聞きたくなかった。
マニュアルのような対応と、公平さを保つ姿勢は正しくもあるけど、時としてこんなにも残酷なんだ……と。

ただ、痛みを訴える人の心身的辛さも余裕のなさも、その時に望む対応も身を持って知れた事は、これまでの反省にも、自分自身の勉強にもなりました。

そんなこんなで苛立ちと痛みが続いた後にやっと入手出来た待望のロキソニン……。
スーッと痛みが消えていくあの感覚を早く味わいたいし少しでも効果が出るようにと、わざわざ水を買ってまで飲みました。


ところが、あれあれ?効かない!

やはり食後にするべきなのかと思ってサンドイッチを買って一切れ食べて薬を追加服用しました。

それでも効かない!

職場に戻ってから絶望の中で増す痛みに気を失いそうになり、とうとう事務所の床に寝そべってしまいました。

それでも薬が効かず、次第に喋る事さえ出来なくなったワタクシをみかねて、鍼灸師だった先輩が歯痛に効くツボに針を打ってくれたのですが効果なし……。


もうこの痛みから解放されてくれ!モルヒネでも何でも投与してくれ!

ワタクシは再度、職場内のクリニックに行き、「お願いします!助けて下さい!」と頭を下げ、何とか一時的にでも痛みを消してくれるようドクターに懇願しました。

点滴をする事になったのですがこれまた在庫がなく、座薬が最終手段となりトイレに駆け込むようにして挿肛しました。

事務所は仕事場…いわば聖域なので寝そべってる訳には行かず、ロッカーに戦場を移し、またまた床に伏せながら痛みと戦っていました。


きっと自分は年齢を重ねて、何かしらの激痛が出現したら所構わず床に寝そべって痛みを訴える年寄りになるんだろうな……尋常ではない痛みで薄れていく意識の中、そんな事を考えていました。


やがてボルタレン座薬が3時間に渡る激痛を緩和してくれた時、本当はパチンコに行く気満々だったけど、仕事帰りに歯医者に行く事を決意しました。
お互い仕事中にも関わらず、周りの人たちに迷惑をかけたり救われたりしたのだから、もう同じ事を繰り返してはいけないと改心したのです。

ひどい虫歯を見られる事への羞恥心が邪魔をしていたのですが、「大丈夫!向こうもプロなんだから驚かないよ!」と上司に励まされ、5年ぶりぐらいに歯医者の扉を開きました。

歯医者さんがライトをつけた時、「かなり酷い状態だと思います。こんなになるまで放ってしまってすみません……」と敢えて断りを入れました。
それは歯医者さんに心の準備をしてもらうためでした。

……が、いざミラーを当てた時、最初に出て来た言葉は「うわっ!」でした(笑)

結局、4本も抜歯をする事になりました。
(実にお恥ずかしい……口腔内が汚いと思われてキスしてくれる人がいなくなったらどうしよう……)

「強引に引っこ抜いたりしないですよね?大丈夫ですよね?」と確認してから、手術に挑みました。


近年は麻酔も痛くなくなってきた印象が強い事に加え、最新技術を取り入れてるという宣伝文句に安心してこの歯医者を選んだのに、歯茎にグサグサと昔ながらの痛みを伴いながら手荒く麻酔を打たれました。しかも6本も。

抜歯の時は痛みこそないものの、ギシギシという鈍い音に反応して体が硬直してしまう。


最後の1本に限っては、麻酔が効いてない状態のまま引っこ抜かれそうになり、「痛い?ごめんね、ごめんね」と優しい謝罪の後、麻酔もう2本追加……みたいな。

「痛くないよね?大丈夫だからね…もう少しだからね…ほら…もう終わるよ」と、最後の一本を抜く時の優しくて穏やかな歯医者さんの口調は、まるで幼児に対してのもの(笑)
麻酔から4本抜歯までわずか5分……
ワタクシ、本当の意味で長い苦痛から解放されました。

抜歯後の痛みさえなく、手荒いようで確かな腕を持っていた歯医者さんに感謝です。

こんなに酷い状態まで放っていたワタクシを責めもせず、子供に対するように優しく接してくれて本当に感謝です。

そして、処方箋を書いてくれたり、ボルタレンをくれたドクターにも感謝です。「目に虫が入ったり、歯が痛くなったり、踏んだり蹴ったりだね…」と言われました。
思い出せば、仕事で外回りをしていた時、チャリンコで道を駆けていたワタクシの目に虫が直進&侵入して目の痛みに悶えていた時、助けてくれたのもこのドクターでした。



最後にもう一度……この日の尋常ではない痛みを通して感じたのは、痛みを持つ人はどれだけ辛いか……って事。

「岬は小さい頃から注射に行っても歯医者に行っても泣かない強い子だった……」と、いつだったか口にしていた母の言葉から察すると痛みには強いはずの自分でも、イライラしたし八つ当たりしたくなったし、心ない発言に憎しみすら感じたりした。
そして、いつ消えるかわからないからこそ生まれる痛みへの希望も不安も……。
痛みも含めて全て生きてる証なのだけど、身体的には出来るなら痛みのない人生を送りたいと思った。

だけど、それは無理な事も解っている。
生きていけばいくほど何らかの病気は生じるだろう。
だからこそ、公私共に痛みを感じている人がいたら、痛みを除去する事は出来なくても、精一杯の事を相手にしたいと思いました。

あ、汚いものは消えたから、これで心おきなくキスが出来ます。

ちなみにワタクシのキスはエロいらしい……(笑)