僕は、君のことが好きだ。

そう思って、一体何日が経っただろう。

いつも、相手の事ばかり考えて、自分の気持ちは抑えこんできた。

この前なんか、同窓会で初恋の人に「実は好きだったんだよ」なんて言われたよ。

もう、こんな自分にさよならしたい。

というか、今、さよなら目前だ。

僕の目の前には、僕の好きな彼女がいる。

僕は、生まれて初めての告白をする。

「あのね、長くなるかもしれないんだけど、聞いてくれないかな。」

コクリと頷く彼女。その1つの動作さえも、愛おしい。

「僕は、今まで好きな人が出来ても、自分の気持ちを抑えこんでいたんだ。僕なんかじゃ吊り合わない。僕が彼女を幸せに出来るはずなんて無い。そう自分に言い聞かせてた。相手の気持ちを考えているつもりで、本当は自分に自信なくて、怖かっただけなのかもしれない。でもね、今回は、違うんだ。僕は、相手の気持ちなんて考えない。自己中な愛を目指そうと思ったんだ。そう思わせてくれたのは、君なんだ。」

顔に「?」のマークが出ていたが、そのまま話を続けた。

「相手の気持ちがどうなのか、なんて関係ない。大切なのは、僕の気持ちだったんだよ。僕は君が好き。その事だけで十分だった。将来の事なんて、わからない。君が僕といて幸せかどうかなんてわからない。でも、1つだけ言える。自己中な僕には1つだけ確実に言える。あなたが幸せかどうかわからないけれど、僕があなたといると一生幸せでいられる自信がある。僕の幸せのために、僕と一生一緒にいてくれないかな?」

彼女は、呆然と立ち尽くしていた。それも当然だろうな、と思っていると。急に彼女は笑い出した。

「あはははははは、ちょと、あはははは。」

僕は、彼女に声を掛けた。

「どうしたの?大丈夫?」

「だ、大丈夫?って君が笑わせたんじゃない。」

彼女は涙を吹きながら呟いた。

「まったく、笑いすぎて涙が出ちゃったよ。」

今度は、僕の顔に「?」のマークが出る番だった。

「うん、いいよ。付き合おっか。でも、私も幸せにしてよね。」

「え!?いいの?本当に、こんな自己中な僕なのに?」

僕は信じられない思いで彼女を見つめた。

「愛なんて、みんな自己中なモンよ。考えてもみて、相思相愛になってから付き合うとか思ってちゃ、始まらならないでしょ?相思相愛になっているってどうやってわかるのよ?」

僕は、呆然としながら彼女の話を聞く。

「あー、こんなことで自己中なんて思うって、相当人がいいのね。まぁ、普段を見ててわかるけど。うん、これからヨロシクね。」

彼女は、はい!とでも言うように、手を差し出してきた。

僕は、怖ず怖ずとその手を握った。

その日、初めて手の温もりを感じた気がした。

自己中な奴は大っきらいだけど、たまには、自己中もいいかな。

なんて思った今日の昼下がりだった。



はい、今回のランダム記事はショート×3でした。

テーマは「短短短編小説」

1回のブログ更新で終わる小説を書こうと思って、やってみた。

あれだね、小咄的なもんだよ。

いや、名前がないのは、決して考えるのがちょっと大変だな、とか思ったわけじゃないよ。

うん、きっとそうだ。そんな事はない。

この内容で想像力にも出来るし、歌詞にも詩にも出来る。

たまには、違った手法で想いを伝えようかと・・・。

いかがでしたか?


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