世界一のモーニングをつくる

自慢ではないが、私は朝に強い。

目覚ましが、♪チャンチャラ～チャンチャラリン～、
と鳴ったら、”チャン“の部分ですぐに目が覚める。

湖の底に沈みいくジェイソンが、クワッ！！と目を見開くように、

夢とまどろみの底から、シャキーン！！と目覚める。

問題は、妻が私と真逆で、朝に弱いということ。

目覚ましが一回鳴ったくらいでは、絶対起きない。

そのため、妻はいつも、起きる時間の30分前に
目覚ましをセットし、5分おきにスヌーズ機能で
♪チャンチャラ～、チャンチャラ～
　《ウィーン、ウィーン》

というのを、30分繰り返してから起きるのだ。

これは隣でやられたら、たまったもんじゃない。

たまの日曜日には、私だってゆっくりと寝ていたいことがある。

しかし困ったことに、日曜出勤の妻は、せっかくの休みの日に、
朝７時からチャンチャラ、ウィーンウィーン、やるのだ。

5分おきに30分もそれをやられると、
頭が痛くなり、胸がムカつき、気分が悪くなってくる。

それなら、一発で起きた方がまだ良いので、
布団にくるまっている妻を横目に、
日曜の朝７時から起きることになる。

(なんでオレが、お前の目覚ましで
起きなアカンねん！)

と、不満タラタラで起きるハメになる。

起きていると困ったことに、人間ハラがへってくる。

パンでも食うか、と思うが、
普段は朝の忙しさにかまけて、
トーストにジャム塗っているだけの貧素な朝食だから、

たまの休みの日くらい、ちょっとは、人間らしい
マシな食事をしたいなあと、
では、ピザトーストでも作ろうかと、
冷蔵庫の野菜を探してみる。

野菜を探していると、トーストだけだと寂しいから、
サラダも作って、ミルクティーでも淹れようか
という気分になってくる。

すると困ったことに、それだけ作って、食べていたら、
妻が起きてくる時間までかかってしまう。

もし、自分の分だけ作って、食べているところを見られたら、

(わたしの分は？ なんで自分のことだけしかしないの？
一人分も二人分も一緒やろ！優しくないわ！)

図

とか言って、理不尽にキレるに決まっている。

(いや、そもそも、オレは起きる必要のない朝に、
お前の目覚ましで無理やり起こされとんねん！)

などという、そもそも論など、妻は聞く耳持たない。

彼女にはきっと、私が、自分のことしか考えていない
自分勝手な男としか映ってないだろう。

だから、困ったことに、二人分作るハメになる。

メンドクセーなぁ～、と思いながらも、困ったことに、
料理というものは、始めるまでは、面倒くさくても、
やり始めると、なんか楽しくなってくるもので、

どうせ二人分作るなら、同じものを二つ作るより、
違うものを二種類作って、それを半分こして
ハーフずつ食べた方が良いやと、なる。

だから、一枚は、ピーマンとベーコンとキノコのピザトースト、
もう一枚は、ほうれん草にシラスをたっぷりかけた
ピザトーストにしてみる。

そして、トーストを焼いている間に、ミルクにティーを淹れ、
サラダ用のレタスをちぎり、香ばしい匂いがしてきたころ、
おもむろに、妻が起きてくる。

私は、まだ寝ぼけまなこの妻を.

(お前のせいで、せっかくの休日に、朝から、起きとんねん！)

とばかりに、にらみつけるのだが、

敵もそこは心得たもので、

食卓を見るなり、

すごーい！めっちゃ豪華やん！
美味しそう！嬉しい！

とか言いながら、抱きついてくる。

私は、

(そうはいくか。お前の手の内は分かっている。
そうやって、褒めておいて、また来週もオレに
朝からメシを作らせるつもりだな。)

と、思ってはみるものの、やはりそこが、男の悲しい性。

困ったことに、分かっていても、褒められ、持ち上げられ、
自尊心をくすぐられると、つい顔がニヤついてしまい、
まんざらではなくなってしまう。

しかし、外見はクールに繕わないといけないと思い込んでいるので、
その結果、40過ぎた、いい年のオッサンが、
チョッパーのように、モジモジしてしまう。

(嬉しくなんかねぇぞ、このヤロー！)

なんやかんやで、食事を終え、片付けをし、
起き出した娘を抱っこして、妻が出かけるのを見送ると、
なぜか胸の奥底からは、不思議な充実感が。

時計を確認すると、まだ8時30分にもなっていない。

有り余るほど残された有意義な休日。

ふと見上げれば、古都・京都を彩る紅葉の山々。

肌を撫でるは、遠く比叡から吹き下ろす霊験あらたかな涼風。

仲良くウォーキングに出かけるご近所の老夫婦さんと、
さりげない挨拶を交わし、

腕の中には、無邪気に満面の笑みを浮かべる、
かけがいのない愛娘が、、、。

  •••ふむ、悪くない。

いや、悪くないどころではない。

素晴らしい。

素晴らしき哉人生！

事ここに至って、私はふと思うのである。

「いったいオレは、何に困っていたのだろう？」

この事態をどう言葉にしたらいいのか？

人間万事塞翁が馬。
・・・、違うな。

ひょうたんから駒。
これも違う。

早起きは三文の徳。
全然違う。

もしかして、これが言葉にできないほどの
幸福というものなのか？

私は知らず知らず、あの語るのも気恥ずかしい、
本当の幸せは家の中にあったという、
チルさんとミルさんの、リトルハッピーなブルーバードを
実践していたというのだろうか？

はたして人は、早起きして朝食を作るだけで、
ブルーなバードを見つけられるものなのだろうか？

よかったら、試してみてください。

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料理経験０でもできる！
ハッピーなブルーバードを見つけるための
モーニングセット
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<その1>

☆ピザトーストを作る

・食パン
・とろけるチーズ
・ピーマン
・ベーコン
・しめじ
・ケチャップ

食パンにとろけるチーズをのせる。

ケチャップをかける。

ピーマンとベーコンとしめじを、テキトーに切ってのせる。

様子を見ながらトースターで、5～6分焼く。

<その2>

☆ミルクティーを淹れる。

ポイントは、ミルクを先に入れてから、ティーを注ぐこと。

ミルクが先、ティーが後。

だからミルクティー。

<その3>

☆サラダを作る。

レタスをちぎって、水にさらしておく。
プチトマトを洗う。
皿にうつす。

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ひとつひとつは、全然たいしたものではありませんが、
まとまるとそれなりに見えます。

まずは、ミルクティーからどうぞ。

淹れる順番変えるだけで、
まろやかに美味しくなって面白いですよ。

そして、リトルハッピーなブルーのバードを
トゥギャザーできたら、光栄です。

余裕があれば、このスープも作ってみてください！！

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