僕はその日、社長さんに連れられて
小さいどこにでもありそうな
食堂屋さんに行った。
そこで、君と出会ったんだ。
社「いいか、歌手として人に認められるのはそう簡単じゃないんだぞ?」
僕は1人でデビュー
するわけじゃなかった。
6人グループだ。
不安もあったけどみんな同じ気持ちなんだって思ったら力強く感じた。
みんな年が1つ2つ上なだけで
凄く大人に見えた。
僕はその時、19歳だった。
幼かった。いや、幼過ぎたのかな。
社「ミレ?聞いてるのか?」
M「あ、はい!」
「ドリンクお持ちいたしました」
僕はその女の子に一目惚れした。
社長さんは、その女の子と知り合いみたいで僕達のことを紹介した。
その女の子は、このお店の娘さんで
名前はヨナ。
Y「そうなんですか!じゃあ、皆さんは歌手の卵なんですね~」
社「そうだよ!でも、歌も上手いアイドルとして売りたいんだよ」
Y「ファイティンです!皆さんも辛い時があったらいつでも来て下さいね!サービスしますよっ」
ヨナちゃんは、
僕たちの天使のように感じた。
真っ白で浄化されるような
気がした。
そうして、社長さんはここの食堂の近くでライブした時は必ずと言っていいほどここに寄った。
その度に、彼女は変わらない笑顔で迎えてくれた。
僕だけにじゃないけど。
一年に4、5回しか会えないけど
彼女は僕たちのことをしっかり覚えてくれていた。
名前で呼び合えるくらいの
仲になっていた。
彼女は、僕より2つ年下だった。
それなのに、
僕の方がお子様に見えるなんて
みんながからかうから…
でも、彼女が僕のことで
笑ってたのに
嫌な気分じゃなかった。
僕のことで、笑顔になったんだ。
って、思うと僕も嫌がる
素振りをしながらも嬉しかった。
そんなこんなで、季節が過ぎ
僕は1人で彼女がいる食堂に
向かった。
理由は簡単だ。
単にこの仕事が辛くなったのだ。
1人で来たから
戸惑った顔するのかな。
なんて、一瞬でも疑った僕がバカだって思わされた。
彼女は、いつもと変わらない笑顔で
迎え入れてくれた。
