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歴史的な円急落と株価急騰の原動力になってきた金融相場の終焉が、濃厚になってきた。

きっかけは、金融相場がマネーゲームの手掛かりにしてきた日米間の金利格差がついに縮小に向かい始めたことである。

この結果、先週水曜日(7月28日)には、円が一時1ドル=149円台後半と1日で5円以上も急騰、4ヵ月ぶり円高を付けた。

また、急激な円高は輸出企業の業績を直撃するとあって、日経平均株価は翌木曜日から2日間、大幅に下げた。このうち先週金曜日の下げ幅(前日比2216円63銭安)は、バブル経済崩壊の序章となったブラックマンデー(1987年10月20日の3836円安)に次ぐ史上2番目の大幅なものだった。

円も株式も大きく動いただけに、多少の反動はあるだろう。とはいえ、円と株式の両相場が先月付けた歴史的水準を抜いていくエネルギーは、もはや蓄積されないとみるのが妥当ではないだろうか。

 

 

大きく円高に戻すと思えない理由

とはいえ、以前から述べている通り、日本は人口減少と少子高齢化の中で生産性向上が遅れている。中長期的にみてゼロからマイナス成長に落ち込んでいく予想に変わりはない。

次の米国経済の過熱時などには、そうしたファンダメンタルズが再び注目されて、円安局面が到来してもおかしくない。

つまり、今回の円安の原動力となった金融相場はそろそろ鎮静化するとみてよいものの、ここ数年間も円の実力は着実に衰えているので、大きく円高に戻すこともないだろう。

円は年単位で、1ドル=150円から130円ぐらいのレンジでボックス圏の動きに入るというのが、経済ジャーナリストとしての筆者の見立てである。

 

 

7月3日には1米ドル=161円台まで円安が進みました。そこに、アメリカの消費者物価指数(CPI)発表後の7月11日・12日の2日連続で、政府・日銀が円買い介入しました。11日は1ドル=161円台から一時4円以上も円高ドル安に向かいましたが、この2日間の為替介入が、円高ドル安への反転のきっかけになりました。このあたりから、円キャリートレードを解消しようという動き(アンワインド)が始まり出し、その後1米ドルが155円を割り込んでからは転げ落ちるように米ドル/円が下落してきました。

 政府・日銀の2日連続の為替介入は一連の米ドル/円の下落のきっかけですが、さらに7月31日、日銀が金融政策決定会合で政策金利を0.25%程度に引き上げる追加利上げと、国債買い入れの減額計画を同時に決定。これを受けて日米金利差の縮小を意識した円買い・米ドル売りが広がり、一時150円割れまで円高ドル安が進んだところに、今度は米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が9月に利下げする可能性について言及。加えて8月2日に発表された7月の米雇用統計が予想外の弱い内容だったことから、米国の景気悪化への懸念が拡大して米国株の大幅下落とドル安円高を後押しし、1米ドル=146円台まで円高が進みました。

 

 

 週明けの8月5日には、米ドル/円は一時141円台まで急落し、6日にはそこから反発も見せていますが、今後どのくらいまで下落するのか、あるいは上昇するのか、非常に予想しにくい相場になっています。

 162円近くまで上昇していった米ドル/円相場ですから、150~155円よりも高値で円キャリートレードをしたポジションはまだ大量に残っていると推察されます。機関投資家や、ある程度の投資経験がある人は、ストップロスオーダーを入れるなど損切り設定をしているものですが、一般論として多くの個人投資家はストップロスオーダーを入れずに持ち切ってしまおうとする傾向があり、また、たとえば「150円まで下がったから、ここから戻るだろう」といった感じで、米ドル買いに参入してしまう人も出てくるからです。

1つの要になる「140円ライン」

 では、今後の米ドル/円相場の見通しはどうか。もし140円を割れたらもう一段、ドル売りの動きが出るのは間違いないでしょう。今後130円、120円に突入する可能性はありえると思います。

 140円のラインは今後の円相場を予想する上で、1つの要になると考えています。

 6日午後現在145円前後までリバウンドして推移していますが、141円台をつけた8月5日のような勢いの下落が再び起こって140円を割れば、一気に130円ぐらいまで米ドル/円が下落しても決しておかしくはありません。

 反対に、140円を割らずにこのままキープされれば、148円ぐらいまでリバウンドする可能性はあります。

 

 ただ、そこまでリバウンドすると「撤退のタイミング」と考えて米ドルを売る動きが出てくると思われます。それによって米ドルが下がると、損切りなどでさらに売りが出て下落が続くという、売りが売りを呼ぶ相場になってしまいます。

 2021年ごろから約3年にわたって積み上がってきた円キャリートレードのポジションは多く残っており、アンワインドの動きはまだまだ終わらない。現在、米ドル/円のロングのポジションから動けずに困っている人たちが山積している状態であり、この状態が続くならば、米ドル/円はこの先もまだ落ちるということになります。

 クロス円(米ドル以外の通貨と円の通貨ペア)に関しても、対円でユーロもポンドも豪ドルも7月末から8月5日にかけて大きく下落しました。

「落ちてくるナイフを掴むな」という相場の格言があります。投資は自己責任で行うものですが、今のような相場ではリスクヘッジとして、含み益、含み損に関係なく、いったん円キャリートレード(円売り・外貨買い)のポジションを解消したほうが安心だと思います。ノーポジションにして冷静によく考えた上で、再度参入したいという結論に至れば、その時にまたトレードを始めればいいのです。FXでも株式でも今回のように壊れてしまった市場からいったん撤退することは、生き残るコツであり、重要な戦略だと考えます。

 

【プロフィール】

松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行なう。