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症状:WindowsXPのノートパソコンが起動しない。電源スイッチを押すと、Windowsの旗マーク画面まで出て再起動を繰り返す。
原因:根本的な原因は、メモリ2枚の内の1枚がわずかに故障していたこと。これが原因で、インストールされていたウイルス対策ソフト「ウイルスセキュリティ
」とWindowsの起動プロセスがバグってしまい、起動時にブルースクリーンでフリーズ、再起動を繰り返すようになったと思われる。
対応:とっても長い戦いになった。以下詳細。
◆見積額(5,000~6,000円)
見積り段階では、セーフモード
による起動ができたため、ウイルス対策ソフトがバグってるだけだと判断。おそらく1時間もかからない作業であろうが、多めに2時間かかる可能性を考慮して5,000~6,000円と見積りを出した。お客さんの了解を得て作業開始。
◆故障の可能性の高い箇所を列挙
さて、セーフモードにて作業を開始して間もなく、ブルースクリーンでフリーズ。再起動して再びセーフモードに入るが、数分くらいいじっているとまたブルースクリーンとなる。なんだコレ…。ここで、ウイルス対策ソフト不具合以外に浮上した故障箇所は以下の3つ。
・ハードディスクの故障
・メモリの故障
・熱暴走
◆メモリ故障の可能性を否定 (←これが真の原因だと最後の最後で判明する)
一番てっとり早いのはメモリの故障診断。アイループではメモリ故障の診断をする際、「memtest
」という定番ツールを使用している。メモリが故障している場合、基本的には「電源スイッチを押したら動作音は聞こえるが画面に何も出ない」という症状が出るのが一般的。ただし、まれに「正常起動するが、数分~数時間程度使用するとフリーズなどの症状が起こる」という、いわば「壊れかけ」のパターンもある。この「壊れかけ」が一番やっかいだが、それほど例が多くないし、壊れかけているかどうかの判断に数時間かかることがあるため、普段はあまり意識していない。
ひとまず「memtest」で10分間チェックし、エラーが出なかったのでメモリ故障の可能性を否定した。…しかし、これが後に災いとなる。
◆熱暴走の可能性を否定
CPU冷却ファンは正常に回っているようだ。まずは熱暴走を試験するために、ノートパソコンの下部に隙間を開けて、扇風機でガンガン通風する。作業中にもしフリーズが起こらなければ、熱暴走が原因と判定できる。ところが、ノート底面に扇風機で風を送っても無関係でブルースクリーンが発生するため、熱暴走の可能性は否定された。
◆ハードディスク物理故障の可能性を否定
次にハードディスクの故障かどうかの判定。「すっきりデフラグ
」というツールで起動時にデフラグをかけることができるが、プロの技術者なら、このデフラグの際のハードディスクの動作音を耳で聞くことで健康診断ができる。しばらくデフラグの際のハードディスクの音を聞くが、特に異音がするわけでもない。そして、またしてもフリーズしてしまう。
一度ノートを分解してハードディスクを摘出、以前の日記でも紹介したケーブル(↓の画像参照)で別のパソコンに接続して認識させると、問題無く認識する。その状態で、別のパソコンからデフラグをかけると約10分後にデフラグ完了、全く問題無し。
念のため、チェックディスクでハードディスクの不良セクタの有無をチェックする。コマンドプロンプトを起動し、「chkdsk /f f:」と入力(そのハードディスクはFドライブとして認識されていた)。ステージ3までのチェックで異常無し。さらに念のため、「chkdsk /r f:」と入力し、ステージ5までのチェックを行うが、不良セクタも一切存在せず、やはり問題無し。これでようやくハードディスクの物理故障の可能性は否定された。
◆レジストリ破損の可能性を否定
一度ハードディスクを元のパソコンに戻し、やはり起動できないことを確認。まだ原因が確定できない。もしウイルス対策ソフトの不具合であれば、システムの復元で症状が起こる前に戻せば直る可能性が高い。ところが、システムの復元作業の途中でフリーズしてしまう可能性も高く、それが原因で起動プロセスをさらにおかしくしてしまう可能性が高い。ここは一つ、OSが起動できない場合でも可能な特殊な方法によるシステム復元を試みる価値がある。
再びハードディスクを摘出して別のパソコンに接続。WindowsXPには「レジストリ」と呼ばれる細かい設定情報を記載したファイルが存在し、それがシステム復元領域に自動的に記録されていくことになっている。システム復元ポイント作成の際にバックアップされるレジストリ情報は、Cドライブ直下の以下の位置に保存される。
C:\System Volume Information\_restore{********}\RP***\snapshot
ただし、「System Volume Information」フォルダは隠しフォルダであり、しかもアクセス権限が割り当てられていないため、アクセス権限の設定をする必要がある。これについて説明をすると長くなるので省くが、ヒントとなるキーワードだけ記載しておくので自信のある人は検索すること。(ヒント:フォルダオプション、簡易ファイルの共有を使用する、プロパティ、セキュリティタブ、ユーザ名の追加、フルコントロール)
snapshotフォルダ内の以下5つのファイルが、当時のレジストリのバックアップである。
_REGISTRY_MACHINE_SAM
_REGISTRY_MACHINE_SECURITY
_REGISTRY_MACHINE_SOFTWARE
_REGISTRY_MACHINE_SYSTEM
_REGISTRY_USER_.DEFAULT
これらを上から順に、以下のように名前を変更する。拡張子は初めから無い。
SAM
SECURITY
SOFTWARE
SYSTEM
DEFAULT
これら5つのファイルを、元々レジストリが存在していた場所に上書き保存する。万一ミスった場合を考えて、バックアップを取っておくといいかもしれない。レジストリの本来の位置は以下である。
C:\WINDOWS\system32\config
アイループでは、起動不能に陥ったパソコンで、かつシステム復元で直りそうなパターンであれば、この方法にて修理することがある。お客さんの目の前で全ての作業をして、作業時間15分、料金1,000円という場合すらよくある。起動不可能なパソコンが何事も無かったかのように正常起動するので、お客さんがビビりまくってしまう例である(笑)。
さて、これを実行して、ハードディスクを元のパソコンに戻し、いざ起動させるがやはりブルースクリーンでフリーズする。フリーズに関して、ウイルス対策ソフトが関与していない可能性が高いところまで判定できた。しかし単にフリーズすると言っても、フリーズしにくくなったのは確かで、1時間くらい動作させていても正常動作を続ける。ここでさらに、「HiMacroEX
」というパソコン自動化ソフトを夜中じゅうずっと動作させるなど、長時間の稼動テストをするといつの間にかフリーズしている。やはり原因が確定できない。
◆バグったウイルス対策ソフトの削除→失敗、妥協策
ともかくある程度は動くようになったので、ウイルスセキュリティを一旦削除することにした。現状、ウイルスセキュリティはインストールされているように認識されているが、アイコンも出ておらず、正常に動いていない。こういう場合は削除してしまうほうが安全である。
ところが、普通の手段で削除しようとすると、エラーで削除できない。修正インストールもできない。メーカーサイトから体験版をダウンロードしてきたが、「既にインストールされている」の表記が出て再インストールできない。スタートアップやサービスから該当項目を全て外し、ウイルスセキュリティのインストールされているフォルダ自体を全て削除、これでもやはり「既にインストールされている」の表記が出て再インストールできない。レジストリ内を覗いて、該当項目を全て削除(したつもり)しても、やはり再インストールできない。これは残念だが、あきらめるしかない。ひとまずWEBページが正常に表示されるようなので、ファイアウォールなどの異常は無さそう。致命的ではないので、ウイルスセキュリティの削除はあきらめるしかない。
念のためフリーソフトの「Avast!
」をインストールし、Avast!が正常に動作することを確認したので、ウイルス対策ソフト二重インストールによる弊害は今後発生しない状態だと思われる。
蛇足:アイループでいろんなパソコンを見てきたが、ウイルス対策ソフトが原因でパソコンの動作が不安定になる例が後を絶たない。アイループの立場として、ウイルス対策ソフトを必須と位置付けないのはこういう理由からである。お金や個人情報を扱うパソコンなど、必要な場合だけインストールすれば良いと思う。
◆OS自体の不具合の可能性の否定
もしかしたらOS自体の不具合ではないか、その可能性を見るため、OSの修復インストール
をかけてみることにした。
OSはWindowsXPのSP3が入っていたので、OSのインストールCDから修復インストールをかけて、再びSP2の状態に戻し、それをSP3へアップグレード。各種アップデートをこなしてみるが、ここでまたブルースクリーンが発生する。OSの不具合という可能性も否定されたことになる。
◆そもそもは見積りミス…
この時点ですでに実作業時間は8時間近くかかり、基本的に見積額(5,000~6,000円)を超えない方針を取っているアイループとしては限界となってしまった(アルバイト時給以下となるため)。一度お客さんに連絡を取ったところ、「時間はかかってもいいので作業のクオリティを重視してください」とのこと…。ここはアイループの意地にかけて、もう少し作業しよう…。
◆メモリ故障が真の原因だったことが判明
ほぼ万策尽きた状態であるが、最初にチェックしていたメモリ故障の疑いが完全に晴れていないことが気になった。もしメモリが故障していると仮定すると、今までの症状は全て説明ができてしまう。当初、メモリのテストは10分間しかやっていない。9割以上の場合、10分以内にエラー結果が出るのだが、まれに数時間に1回だけしかエラーが出ないパターンが実際にあるのだ。
メモリを見ると、2枚ささっている。最初に紹介した「memtest」にて長時間のエラーチェック。3時間ほど経った頃、エラーが1件だけ出ていることに気付いた。
「メモリ、お前だったのかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!><」
メモリという部品はとっても繊細で、100%完全に動くのが当たり前。「99.999999%は正常動作する」というのは、裏を返せば「残りわずかな確率でエラーとなる」ので、1ミリでもエラーがあれば故障と判定しなければならない。さっそく2枚のメモリの内、1枚ずつ刺した状態で再び「memtest」。これにより、2枚の内のどちらのメモリが故障しているかを特定。その故障しているメモリを別のメモリに変更し、再び12時間のテストをしてエラーが出ないことを確認。さらにWindowsを正常起動させ、12時間の連続動作、自動クリックテストでフリーズが起こらないことを確認。これでようやく修理完了…4日もかかった><。
◆修理完了、実作業時間12時間、料金6,000円
結局見積額いっぱいの6,000円となったが、この修理作業にかかった実作業時間は12時間近くになり、時給換算500円ということになってしまった…勉強代と思って次につなげるしかない。