このマンションはリゾート仕様になっていて1階に男女の大浴場がある。大浴場というか男女とも8人くらい入れば満員御礼になる中浴場だ。でも天然温泉だ。マンション関係者はもちろん無料だ。区分所有者の各部屋にも内風呂があったのだが、全室に給湯する大きなボイラーが今から23年ほど前に約25年の経年劣化で故障した。ボイラーの新替工事は1,000万円を超える見積りが出た。管理組合の財務状況からして新しいボイラー設置は難しいと当時の理事会が判断し、全区分所有者に他の修繕工事を後回しや断念してでも新ボイラー設置をするか、新ボイラー設置を諦めて各部屋の区分所有者が自己負担で給湯器をつけるかアンケートを実施したところ97%の区分所有者が自己負担で給湯器をつけると回答した。
今、全室に給湯器がついている。が、ほとんどの区分所有者は給湯器と内風呂を配管せず、内風呂を使用できるようにしていない。洗濯機をおけるようにしたり、物置にしたりしている。1階に24時間利用できる温泉浴場があるから困らないのだ。
女性理事Jの夫は高齢で自宅部屋で療養していた。入院しなければならないほど深刻だったが、夫は入院を拒絶していたのでJが夫の介助をしていた。しかし1月半ば頃までは何とか夫は1人で1階の男風呂に入っていたが、足元がおぼつかなくなって風呂場で転倒した。骨折は免れ軽傷だったのでことなきを得た。
そこでJは1月21日の理事会で夫が入る時見守っていたいので、専用利用時間を設けてほしいと理事会に求めた。理事会は管理事務所と相談して少しならいいと了承した。管理事務所は一番利用の少ない時間帯である昼過ぎの1時間を取りあえず使用してみてくださいということになった。その間は夫が入っている男風呂の出入口に使用不可の看板をあげることになった。
1月末頃、生活サイクルの都合で昼間に男風呂利用している各部屋の区分所有者から貸し切りで風呂を利用している者がいると苦情が出だす。昼間の利用者を締め出すとはどういうことかと2月に入っても何件か管理事務所にクレームが入る。これを受けて2月上旬に使用時間を45分に短縮する。
しかしバレンタインデーに事件が起きた。
男風呂を貸し切って夫を入浴させていたJが脱衣場と管理事務所を間の内線で助けを求めた。駆けつけた従業員はJの夫が浴槽内で脱糞しているのを確認する。そこへ見守っていたはずのJも裸になり一緒に風呂に入っていたことが発覚する。貸し切り時間が過ぎたため男風呂に入りに来た区分所有者の知るところとなり、たちまちこの事件がマンション中に広がり大騒ぎになる。従業員は糞の始末をすると同時に風呂の湯を抜いて清掃消毒し新しい湯を戻したが利用可能になるまで約5時間かかることになる。
女性理事Jは理事辞任届を提出した。JもCと同じで管理組合運営のことはまったくわからない。理事の中に女性の視点が必要だと立派な理由でAに頼まれてJは昨年総会で新任理事としてスタートしたところだった。JもAグループに近い立ち位置なので、何も訳がわからないからAに言われるがままの意見を理事会で述べていた。
このJとJの夫の入浴問題はこのあと4ヶ月間くすぶり続けることになる。Aは監事を、Jは理事を4/1臨時総会で辞任承認を受けることになる。
2月はまだ半ばだった。
以降の話は次のブログ「マンション自主管理組合21」に譲ることにする。