自分は理事になって1年が過ぎていた。4月1日の臨時総会では理事を辞して監事に就任する予定だ。

 

AとOの話を立ち聞きした数日後、自分が外出からマンション玄関に帰ってきたら、Oが管理事務所の中に入って机の前に座っている従業員の横に立っているのを見かけた。前々からOが事務所内に入って従業員と世間話をしているということは事務所の前を通りがかった区分所有者から聞いていた。

 

管理組合の使用細則に「事務所等にいる従業員に不要な話を行うことにより業務遂行を妨害すること」が禁止事項として謳われている。使用細則大改正の草案を自分が考えマンション管理士にリーガルチェックしてもらい、昨年の理事会で改正決議、総会の改正承認を経て改正使用細則は成立していた。自分が改正使用細則の起案者だったので、事務所にいるOの姿を見てピンときて、この禁止事項を思い出した。事務所に入っている区分所有者をはじめて見た。

 

自分はスマホのヴォイスレコーダをスタートした。

Oに「事務所内に入って従業員と話しするのは遠慮してほしい。従業員はいつ来るかわからないが事務所に用がある区分所有者や業者、いつかかるかわからない電話などの対応のために待機していて暇にしている訳ではないので話しかけないでほしい。事務所の机の上には区分所有者の個人情報などの書類もおいていることもあるので事務所には入らないでほしい。」というと、Oは「従業員にもらい物のお菓子をおすそ分け差し入れにきただけ」という。「なら事務所のカウンター越しに手渡してくれたらいい」というと、Oは「事務所内に入っているのは私だけではない。なんで私だけがいわれなければならないのか」と反論してくる。

 

自分が「たまたま自分が帰ってきたら、事務所に入って従業員と話ししている区分所有者Oさんをはじめて見た。自分は区分所有者の誰でも事務所に入っているのを見かけたら役員として注意する」というと、Oは「自分はよく事務所に入って机の前に座って何かしているではないか、自分だけは許されるのか」とまた言い返してくるので、「自分は管理組合の支出にあたって銀行の出金伝票や振込伝票に令和4年10月から預かっている管理組合銀行印で押印しなければならない時に事務所に入るだけだ。」と説明。「なんで銀行印をもっているのか」と聞くので「昨年秋に理事長と副理事長Gに委任された」と返事。Oはだんだん言い訳が苦しくなっていく。でもOは「事務所の出入口ドアにカギをかけていないから入ってしまう」というから、自分は「ルールだから入らないでほしいとお願いしているが、Oさんはカギがかかっていなければ、これからも事務所に入るのですか」と問い詰めた。

 

ここで勝負あり。Oは返事に窮した。自分に理屈で言い負かされたが、癪に障るから「入らない」と言いたくない。でも「これからも入る」ともルール違反になるから言えない。で、Oは開き直った。「役員だからといって同じ区分所有者の自分に偉そうにいわれなければならないのか。こんな不愉快な思いをするとは思わなかった。」というので、自分はさらに追い打ちをかけて「Oさんはこれからも事務所に入るのか、入らないのかどっち?」と。Oは苦し紛れに話題をすり替えて逃げた。2月5日のことだった。

 

OはこのことをAに相談しに行ったようだ。自分に言い負かされて悔しかったからだが。自分は使用細則の起案者なので細則の立て付けから各条文の連携運用がよくわかっているというか、どういうふうに細則を機能させるかを作った張本人なので、今回のOのようなケースは酷くなると客観的な証拠に基づいて理事会は使用細則に則り決議して警告、排除勧告を発したり損害賠償訴訟を提起できることを熟知している。だから1度きりだが録音もした。その後もOは凝りもせずたびたび事務所内に入っていたようだ。Oは無法者だった。

 

2月の事件は始まったばかりだった。

 

以降の話は次のブログ「マンション自主管理組合20」に譲ることにする。