平屋建ての部屋の設備や備品の確認を終えると、買ってきた夕食を食べる。

 

食べ終えたら、友人、自分の順でシャワーを浴びる。

 

シャワーの後、二人で今日の出来事を深夜まで日本語で語り合う。

 

ふと買ってきた明日の朝食をどこに保存しておくかが問題になった。備品に冷蔵庫はない。朝食の一部は生鮮食品で、部屋は暖房が効いている。

友人と顔を見合わせる。そうだ、部屋の外の wood deck (ぬれ縁) を思い出す。3月上旬のヨセミテの夜はとても寒い。生鮮食品を紙に包んでビニール袋にまとめて入れて、wood deck に置いて、サッシを閉めてカーテンも閉じる。これで腐る心配もなくなった。

 

一安心してしばらくの間、友人と話した後、室内の電灯を消し、二人ともベッドに横になった。

 

10分もせずにカーテン越しに wood deck からカサカサ、カサカサと音が聞こえてくる。友人も飛び起きて、小さい声で強盗?とささやいてくる。対抗する道具(武器?)は長めの靴べらしかなく、それをもって友人と二人でカーテンを恐る恐るゆっくりと開ける。

 

すると wood deck に2匹のアライグマがビニール袋に入った生鮮食品をむしゃむしゃと食べていた。人間を見ても全然怖がらず、一心不乱に食べている。強盗でなかったのは本当に良かったが、朝食のおいしい部分を失ってしまい、幸い中の不幸というか複雑な心境だった。

 

明くる朝、味気のない朝食を取った後チェックアウトし、そのフロント横のお土産店で左胸に YOSEMITE のロゴが入った水色のヨットパーカーを買って早速着た。ヨセミテ国立公園は景色だけでなく、動植物も自然豊かでジャイアントセコイアという巨木は100mの高さがある。

 

レンタカーは帰途についた。今回のアメリカ旅行で自ら車を運転するのはこれで終わりになるだろうと思うと少し寂しい気持ちになった。車は地平線に向かって走っている。見渡す限り人はもちろんのこと建物も何もない。広大な国土を思い知らされる。田舎道は片側一車線のアスファルト道だが、都市部に近づくにつれて車線数が増えてくる。サンフランシスコまで帰ってくると、片側六車線のフリーウェイになっていた。

 

無事、レンタカーでの小さな旅を終えた。

 

以降の話は次のブログに譲る。