パパンが死んだ日
病院からの危篤の知らせの電話を受けたのは姉やった
病院は、焦らなくてゆっくりでいいですよ
て、言うたみたい
危篤!死ぬ!早く!
で、焦って事故るといけないから多分そんな感じで言うてくれたのだろう
姉は障がいがあるから、人の気持ちとか、心情、裏側の本音まで理解できない
出掛けてて帰ってきたママンに、ゆっくりでいいて言われた
そのまま伝えたのだろう
何回も病院から電話がくるし、行く度に死ぬような事は無かったのでそう思っても仕方ない
私も死ぬとは思ってなかった
ママンも、病院にもっと遅く行こうとしてたみたいやけど病院に着いたら
危篤状態
マズイ!で、私の会社に連絡してきた
11時半くらいやった
それから、ママンに電話して着いたら死んでた
あら
みたいな感じやった
親の死に目に逢えなかった親不孝者明子なぞ思ってない
もっと早く電話くれていれば死に目には逢えてたと思うけど、家族みんな死ぬとは思ってなかったから責めてない
ただ、こないだ、ママンには言うた
電話出たの姉やろ?とは言うた
それ以上何も言うてない
実際、危篤やとママンも思ってなかったから姉を連れてパパンのとこへ行ってなかったし
あいつが電話に出なければとも思ってない
ここから、多分はぁ?て思われる事を書くね
明子は、実はパパンがほんまに死ぬ所見たくなかった
臨終の場面な
見たら、一生その光景を覚えてて忘れないと思ったから見たくなかってん
明子ビビリやから一生その光景を忘れなくて目に張り付けたまま暮らして行くの怖いから嫌やっててん
ばーさんの火葬場がそれや
未だにあの凄まじい光景覚えてるし
あのエグイ様を覚えてるのが明子の他に
ママンと大阪の姉
ママンもこないだ、言うてた
ママン、喪主やったから火葬場の炉の鍵持って渡して鍵開けて炉から出てくるパパンの姿を1番に見たからついでに中も見たらしく言うた
ばーさんの時みたいじゃなかった
綺麗なもんよ
よかった
時代の進歩にありがとうや
あの時パパンが死んだのも明子が間に合わなかったのもそれもどれもこれも運命や。
たまたまの偶然や。
後悔はね、家に連れて帰ってあげればよかった
ただ、連れて帰っても病院みたいな手厚い看護はできんから
帰ってきたら、2日くらいで死ぬなと思ったからどーなんやろ、それもええんかな?うーんうーん、仕事1週間くらい休めるけどママンに1番皺寄せが来るから、うーんうーん、、、、て考えてるうちに死んでもた。
後悔はそれかな。