夫は小学生の頃からサッカー少年だった。
私は全く分からないけど相当うまかったらしい。

そうして生まれた息子はサッカーにちなんだ名前。
息子も小一からサッカーをやっている。

ある程度の学年になった頃に聞いた夫の想い。
夫はサッカーの強い県外の学校から声がかかったそう。当時そんなことが珍しいぐらいの時代だったと思う。
親は本人に相談もなく断ったと聞いた。

『もし、◯◯(息子)にそういう誘いがきたら本人に決めさせてあげたい』

なんとなく聞いていた夫の言葉。
進路を決める時に側にいないとは考えてもいなかった。
夫が亡くなった5月から、ずっとこれが遺言だと信じて息子の進路に寄り添ってきた。

息子は県外の高校に進学を決めた。
未来はどうなるかは分からない。
ただ、サッカーを続けてきて良かったと思う。親を亡くしたあの日からずっと作り笑いだった息子の笑顔を取り戻してくれたのは親でも学校の友達でもなく、チームの仲間だった。大好きなサッカーをやることで、仲間といることで悲しみを打ち消してほしい。
それだけを願っていた。

進路が決まった日に遺骨に手を置いて
『パパ、やったよ』
と息子と2人で報告をした。

夫に似てきた息子の後ろ姿に頼しさと淋しさを感じながら。わたしは来春から一人暮らしが始まる。