自己破産、債務整理、過払い金請求の話from名古屋

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名古屋市瑞穂区の天野司法書士事務所のブログ

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 先日、CFJ合同会社から過払金の元本と利息満額の振込がありました。私が受任したのが、平成23年10月12日でしたので、およそ2年が経ったことになります。

 過払金の元本は、約118万円でした。当時も今もCFJは訴訟をせずに満足な回収ができませんので、平成23年12月1日、名古屋簡易裁判所に不当利得返還請求訴訟を提起しました。契約の個数が争点になり、期日を重ねた上で、平成24年5月15日に第1審判決。請求全額が認められました。それに対し、CFJが名古屋地方裁判所に控訴しました。
 控訴審の第1回期日が8月21日、第2回期日が9月25日にあり、平成24年11月20日に第2審判決がありました。第1審と理由付けは異なりましたが、結論は全面勝訴でした。
 これに対し、CFJは名古屋高等裁判所に上告しました。12月19日付でに名古屋地裁から上告提起通知書が届きました。私はまだかなり時間がかかると思ったので、CFJの預金を差し押さえることにしました。上告されているのに差押えができるのは、第1審判決で仮執行宣言というものが認められていたからです。平成25年2月19日に東京地方裁判所に債権差押命令申立書を提出し、2月21日に債権差押命令が出ました。ところがそれに対し、CFJが名古屋高裁に130万円の担保を立てて強制執行停止の申立をし、強制執行停止決定が出てしまいました。こうなるともう上告審判決を待つしかありません。

 上告審は法律審であり、法律問題がなければ期日も開かれません。かと言って時間だけはものすごくかかり、3月27日にようやく名古屋高裁から上告訴訟記録到達通知書が届きました。これには「原裁判所から、事件の訴訟記録の送付を受けました」と書いてあります。名古屋地裁と名古屋高裁は同じ建物の中にあるのですが、訴訟記録が移るのに約3ヶ月がかかりました。判決まではさらに時間がかかり、平成25年9月5日に言い渡しがありました。もちろん上告棄却。

 翌週、CFJに電話したところ、「特別上告をするかもしれない」と言っていましたが、最終的には「9月20日に全額を振り込みます」という連絡がありました。振込総額は約165万円でした。


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 「以前、自己破産をしたことがあるのですが、もう一度、破産できますか」という相談を何度か受けたことがあります。この質問の答えは「できないわけではありません」ということです。破産法には免責不許可事由というものが定められており、そこには「免責許可の決定の確定の日」から「7年以内に免責許可の申立があったこと」とあります(第252条)。簡単に言えば、破産から7年以内なら破産は認められないが、7年を過ぎれば認められる可能性があるということです。

 ただし専門家に相談すると、できるだけ他の方法を勧められると思います。最近、私が扱った方は個人再生で十分、返済が可能なので、個人再生を申し立てました。もちろん破産以外の方法が考えられないのであれば、再度の破産もあり得るとは思います。ただ、その場合は破産管財人が選任される管財事件になりますので、ある程度の費用は必要です。



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 昨日、アイフルから過払い金の振り込みがありました。3月4日までの利息を付けた満額の回収でした。私が過払金返還の依頼を受けたのが、昨年の3月30日でしたので、ほぼ1年がかりということになります。

 平成24年3月30日 受任通知発送
 
 平成24年9月7日  第一審判決
 
 平成25年2月22日 控訴審判決
 
 平成25年3月4日  入金



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 毎年、この時期になると司法書士会を通じて、名古屋地方裁判所が同時廃止基準を改訂したとの連絡がありますが、今年もありました。今回の改訂では、按分弁済による同時廃止処理基準の記載の削除が行われました。これは次のような問題です。

 もともと破産には破産管財人を選任する破産(管財事件)と管財人を選任しない破産(同時廃止事件)があります。そして管財事件は同時廃止事件より費用も手間もかかることから、破産申立をするときは、まず同時廃止事件にならないかを考えます。同時廃止基準とは、どういうときなら同時廃止事件になるかを定めた基準のことです。

 同時廃止基準の冒頭に「総額40万円基準」が掲げられています。これは債務者の資産総額が40万円に達しない場合には同時廃止事件、40万円以上の場合は管財事件とするという基準です。例えば唯一の資産が生命保険の解約返戻金であるとすると、解約返戻金の額が20万円であれば同時廃止事件になります。では50万円であればどうでしょう。基準に即せば管財事件になります。しかしこの50万円を債権者に債権額に比例して弁済すれば資産はゼロになります。かつて裁判所は破産申立人に対し、このような按分弁済(あんぶんべんさい)を命じて、同時廃止事件にしていました。

 しかしこのような按分弁済による同時廃止処理は数年前から認められなくなりました。単純に資産の総額が40万円以上であれば管財事件になるようになりました。今年の同時廃止基準の改訂により按分弁済による同時廃止処理は正式になくなりました。



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 アペンタクル㈱(旧ワイド)の訴状と㈱日本保証(旧日栄・ロプロ、旧武富士)の督促状を持って相談にみえた方がいました。見てみると最後の返済が平成17年で、すでに5年の時効期間が満了していました。それなのに両社が請求をしてくるのは、時効は債務者が援用という行為をして初めて完成するからです。民法ではこれを「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」と表現しています(第145条)。ですから訴状が届いたのに無視していると、裁判所は援用がなかったものとして貸金業者の請求を認めてしまいます。

 現在、上記の会社を含むJトラストグループは全国的に大量の貸金返還請求訴訟を提起しています。その中にはすでに時効期間が満了したものもかなり含まれているはずです。きちんと時効の援用さえすれば債務を免れることができますので、ぜひご相談下さい。



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 CFJを相手にした過払金返還請求訴訟で、第一審(簡易裁判所)に全面勝訴し、CFJが控訴した第二審(地方裁判所)でも最近、勝訴した事件があります。結果的に勝訴したからいいのですが、第二審の判決理由に納得いかない点がありました。

 この事件は第1取引と第2取引の間に1年8ヶ月の空白期間があり、争点はこれを一個の契約と見るか、二個の契約と見るかでした。二個の契約とすると、第1取引の過払金返還請求権は時効消滅してしまうので、過払金の額が大幅に減少してしまいます。

 この訴訟で、CFJは第2取引の金銭消費貸借契約書を証拠として提出しませんでした。仮に契約書が作成されていればCFJは当然、提出するので、事実として契約書は作成されなかったと考えられます。第一審はこの事実を重視し、基本契約はもともと一つであると認定しました。これに対し、第二審では、CFJが第2取引を開始するに当たり、借主の信用情報の照会を行っていることなどから、新たな金銭消費貸借の基本契約を締結したと認定しました。その上で最高裁判所の判例の基準に照らし、第1取引と第2取引は事実上1個の連続した金銭消費貸借取引であるとして、第1取引の過払金の第2取引の借入金債務への充当を認めました。

 しかしCFJが契約書を作成しないで基本契約を締結するなどということがあるのでしょうか。もちろん契約書の作成が金銭消費貸借の成立要件だなんて言っているのではありません。私人間の借金で契約書が作成されないことはいくらでもあります。しかし相手はCFJという大手貸金業者です。基本契約を締結するのであれば、必ず契約書を作成するのではないでしょうか。またリボルビング貸付では借入限度額を変更する際に借主の信用情報の照会を行うことは普通のことであり、これが新たな金銭消費貸借の基本契約を締結したという理由になるとも思えません。
 私は別個の基本契約を認めるのであれば、契約書の作成の有無は決定的な事実であると思うのですがどうでしょうか。



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 借金を長期間、返済していない場合は、時効が成立している可能性があります。具体的には、貸金業者や銀行の債務であれば、最後の返済から5年、公的機関(例えば住宅金融支援機構)なら10年が経過すれば時効が成立します。しかし時効完成前に中断事由があれば、時効の成立が阻止されます。何が時効の中断事由になるかは、民法147条に定められています。

(時効の中断)
第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認


 第1号に「請求」とあることから、債権者が電話や手紙で請求すれば、時効が中断すると勘違いする人もいます。しかしこの請求は「裁判上の請求」(第149条)及びそれに類するものです。裁判所を使わない請求をいくらしても時効は中断しません。ですから仮に内容証明郵便で支払を督促しても、それだけでは時効は中断しません。意外と、内容証明なら時効が中断すると思っている人が多いようなので書いてみました。



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 先日、地方裁判所でアコムと和解が成立しました。貸付停止措置が争点となっていた案件です。
 この訴訟の原告はアコムと取引中に返済が数ヶ月、できなくなり、アコムは貸付を停止しました。その後、原告は長年、返済だけを続け、完済しました。最近になって私が過払金の返還請求の依頼を受けたため、アコムに連絡したところ、アコムは貸付停止措置をとった時点から過払金の時効が進行しているので、過払金の大半は発生から10年が経過し、時効消滅したという主張をしました。その後のやりとりの中で、アコムは過払金元本の5割弱の返還という提案をしてきましたが、依頼者の方は納得できず、地方裁判所に訴訟を提起しました。地方裁判所なので、アコムは弁護士を代理人にしました。

 アコムは、最高裁判所が新たな借入債務の発生が見込まれなくなった時点=取引が終了した時点から時効が進行するとしたのを逆手にとり、貸付停止措置をとった時点が新たな借入債務の発生が見込まれなくなった時点だから、貸付停止措置をとった時点から過払金の時効が進行すると主張しました。しかし現実にはアコムは貸付停止措置をとった後に貸付を再開することもあるのですから、説得力がありません。裁判官もアコムの主張は「弱い」と言っていました。たぶんこれが多くの裁判官の考えだと思います。

 しかし同時にアコムの主張を認めた判決がたくさんあるのも事実で、仮に一審で勝訴しても控訴審で逆転される可能性はゼロではありません。原告も私もそれだけは避けたいと思いました。そこで原告は過払金元本の8割の返還で納得し、裁判上の和解をしました。



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 昨年、6月に破産申立をし、管財事件になっていた事案が今月、終了しました。今は管財事件といえども、申立から4ヶ月くらいで終了するケースも多いので、債権者への配当もないのに1年5ヶ月もかかるのは珍しいといえます。

 原因は破産者が所有していたマンションが任意売却できず、不動産競売で処理されたからです。もともとこのケースはマンションがオーバーローン基準を満たさず、同時廃止にならなかった事案です。もっともそういう場合でも最近は任意売却してから、破産申立をすることが多いのですが、事情により申立前の任意売却もできませんでした。ですので私としては破産管財人に任意売却をしてもらう予定で破産申立をしました。

 当初はもちろん破産管財人も任意売却する予定でした。ところが市役所の差押がネックになりました。このマンションは破産者が固定資産税を払っていなかったため、市役所が差押の登記をしていました。任意売却するには、この差押の登記を抹消してもらうように事前に市役所の同意を得ることが必要です。しかし市役所は近年、滞納税金を完済しなければ差押の抹消を認めないという姿勢に転換し、かつ破産者側も滞納税金の完済ができなかったため、結果としては差押の抹消の同意は得られませんでした。

 これにより任意売却は不可能となり、後は住宅ローン会社が競売をするのを待つだけになりました。そのためかなり時間がかかったわけです。以上のように任意売却というのは必ずできるというものではないのです。



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 このブログでは何度も破産手続には、破産管財人が選任されない同時廃止(同廃)事件と破産管財人が選任される管財人選任(管財)事件の2種類があることを述べてきました。従来は破産の約9割が同廃事件、残りの1割が管財事件と言われており、私の事務所でも圧倒的多数は同廃事件でした。

 しかし近年、管財事件の比率が高まっているようで、私の事務所でも最近は管財事件の方が多くなっています。原因としては第1に裁判所が従来よりも同廃事件を認めなくなったことがあげられます。例えば昔は会社の代表取締役が倒産した会社を放置し、自分個人の破産申立をした場合、会社の倒産が何年も前であれば同廃が認められていました。しかしこの数年はまず会社、個人両方の破産が求められ、それができなければ個人の破産は管財事件になります。
 第2に破産の数自体が大幅に減少する一方で、複雑な事情のあるケースの比率が増えたこともあげられます。そうするとどうしても同廃事件より管財事件の比率が高くなります。

 管財事件は同廃事件よりかなり費用がかさみます。なので私の事務所でも長期間、費用を積み立てももらうことが増えました。



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