思えば、昨年の『ラブリーホラーブリー』『今日の探偵』に引き続き、夏はプチホラー系を追う流れになってますが、みなさん、幽霊さんたちの特殊メイク、OKなんでしょうかね?
『主君と太陽』あたりから、あくまでも、作り物ってわかるものは割と大丈夫にはなってきたんですが、それでも、一応、私自身も本格的なホラーは得意ではないので、そのまんまの画像は載せないようにはしております・・・。
 
リアタイ中。いつもの如く、

ネタバレOKの方のみ、おすすみください。お願い
 

 ホテル・デルーナ호텔 델루나

【Episode 4】(1)

 

前回のおさらい

「あなたにも、けっして戻ることができない過去の中に、失ってしまったものがあるように思えます。」

自分は、それを夢の中で見た、とマンウォルに伝えるチャンソン。

大きな木の根元で、笑顔を見せていたことや、マンウォルの家を建てると言った誰かとの会話で幸せそうだったこと、そして、月明かりの荒野の晩、楽器の音を聴きながら、酒を飲んでいたことを話し出すと、驚きで固まるマンウォル。

「あなたは、楽しそうで、幸せそうだった。今のように一人ではなく、あなたの側には誰かがいた。満月という名前の書き方をあなたに教えた男性だ。あなたが、ここにこれほど長くとどまってまで、会いたいのは、その人なのではありませんか?」

なぜ、チャンソンがそれを見たのか、信じられない想いのマンウォル。

「さぁ、なぜでしょう、なぜ、僕はあなたをみることができたんでしょうか。この代償を支払わなければならないかもしれないと思うと恐ろしいです。」

(おさらい終わり)

 

「あなたが把握できていないことはなんですか?あなたは自分で見つけ出せなかったものを見つける手助けをさせるために、私がここにいると思いませんか?」

チャンソンを見つめるマンウォルの息があがっている。

 

巨木に近づき、そっと、その枝に触れるチャンソン。

その時、いきなり、枝から、葉が芽吹きはじめる。

 

~回想~

麻姑神ハルモニ「お前は死んでなどいないよ。月の木に縛られ、生と死の流れがお前を止めているのだ、と言ったじゃないか・・・。葉が芽吹き、花が咲き、落ちれば、お前の時も、再び動き始めることだろうよ」

 

葉を芽吹かせたチャンソンが一番驚いています。

「木が変化しました・・・」

「そうね、あんたは、0番目だと思っていたよりもずっと特別な人間なのかもね。」

 

******************

急ぎ足で、天国行のリムジンが待機しているアパートに向かう麻姑神ハルモニ。

「こんなふうに、ここを離れるわけにはいかないんだ!」

大声で怒鳴る老人。

「うちの犬のスンドルはどうなるんだ?!」

「死が訪れた時にあなたにできることはなにもないのです」

「なんだよ、俺は知らないよ!逝くもんか!」

引導使者の説得に耳を貸さず、部屋の中に入ってしまう。

 

部屋の中で、横たわっている老人に寄り添っているのが、飼い犬のスンドルなのね。

「吠えろ! 吠えないと助からないぞ。そうしないと死んじまうんだぞ!」

必死に、スンドルに声をかけ続ける老人の魂。

「な、こうするんだ。ワンワンワン、吠えろ! 吠えなきゃだめだ!」

部屋の外から、そのやり取りを聞いている引導使者と、麻姑神ハルモニ。

「もう1週間たちますが、彼はまだ、応じないんです」

「彼の心が手放せない者のせいだね。こんな時は、ちょっとだけ、手助けをしてやっても平気さ」

いたずらっぽく笑う麻姑神。

カチャリ、と鍵を開けると、少しだけ、ドアが開く。

それに気づいた老人が、「スンドラ、さぁ、ここを出るんだ。外に行け。早くしろ!」

それでも、じっと飼い主の側から離れないスンドル。

「ほっておきなさい。あの老人は、そんなに長く放浪したりしないから。自分で「満月宿屋」を見つけ出すだろう」

「今は、満月堂ではなく、ホテルデルーナです」

「ああ、そうだったねぇ。満月堂、満月館、ホテルデルーナ・・頻繁に、名前を変えているが、主人は全く変わらない。」

「1000年以上変わっていません。彼女に望みはないですね」

「だから、私がある者をあそこに送り込んだんだよ」

「主人を変えるおつもりですか?」

「あの子はとんでもなく頑固だからね、助け舟を送り込んだのさ」

 

~ホテルデルーナ 巨木の庭~

チャンソン「こ、これ、この木はなんで変わったんですか?」

マンウォル「なぜ、そう思うの? あんたのせいでしょう?」

「これを僕がやったと?」

「すでに、乾ききっていた古い記憶が、あんたのせいで、再び回りはじめたのよ」

「僕が何をしたって言うんですか?僕はただ、僕がみた夢の話を、あなたにしただけですよ。幽霊に会うことは僕の仕事の一部だけど、夢は僕の仕事には関係ないでしょう。僕が自分から求めたわけでもないもののせいで、不公平に扱われたくありません。」

「あんたは不公平に扱われるわ、だって、私を怒らせたから・・・。あんたのせいで、この木が怒っているわ」

「いくら混乱してからとは言え、真実をゆがめないでください。この木は生きていて、健康です。」

「だから・・・それが問題なのよ。あんたは、助けるべきではないものを助けてしまったの。」

「あなたがそれほど怒っているところを見ると、僕の夢は本当に、あなたの過去に関することだったようですね。僕にあなたの過去を見られたことがそんなに、恥ずかしかったんですか?」

「ええ、今、まさに、ものすごく恥ずかしい。だから、どういうことなのか確認しなければならない。」

チャンソンに近づき、ネクタイを引き寄せるマンウォル。

「な、なにするんですか?」

マナーの手を広げるチャンソン。 ← 僕は何もしてませんよ~~の意。

 

ドンと押されると同時に、なぜか、マンウォルの寝室に瞬間移動、ベッドに押し倒されてるチャンソン。

「こんなのだめです」

起き上がろうとするチャンソンを更に押さえつけるマンウォル。

「そのまま、じっとして」

「こんなこと、やめてください」

「ク・チャンソン、寝るわよ」

「チャン・マンウォルさん!」

「夢を見るには、寝なきゃ。あんたが、夢の中で、本当に私をみているのか、もしくは、このホテルで聞いたみんなの噂をもとに私を騙しているのか、私自身が確認しないとね。ク・チャンソン、寝なさい」

「こんな風にされたら、眠れませんよ。それに、もし、眠りについたとしても、また、あの夢をみるかどうか、保証だってできません。」

「それなら、夢を見るまで、私の隣で寝なさい」

さすがに、力をこめて、マンウォルを押しのけ、ベッドの上に身を起こすチャンソン。

「あなたの隣でなんか寝たくありません」

「いいから黙って、私がおとなしく言っている間に寝なさい」

開き直って、また、横になるチャンソン。

「いいですよ、寝ますよ。私の側で寝るか、寝てる私を見ていればいい。どっちでも好きにしてください」

「あんたが私に嘘をついてたことがわかったら、殺すわよ」

「嘘であってほしいと願ってますよね、僕があなたの過去を見たことが気に入らないから。

あなたがそんなに嫌なら、もう夢の中で見たことを言うつもりはありませんよ。殺そうと、生かそうと、ご自由に。望む通りにすればいい」

ああ、この時のマンウォルが、目がウルウルで。。。

「もういいわ。あんたの隣で寝るつもりはないから・・」

チャンソンを残し、寝室から出ていくマンウォル。

心配そうに見つめるチャンミン。


ああ、飲まなきゃいられないとばかりに、酒をラッパ飲みしてるマンウォル。

すぐに、寝室から出てくるチャンソン。

執務室の隣に寝室があるのね。

「僕が見た記憶は、それほどあなたを苦しめるものだったんですか?あの男性のせいで? あの男性のことを思い続けているから?」

「あの木のように、全身緑色になりたくないなら、黙りなさい」

「あの男性は誰なんですか?」

気になるんです。木になるよりも。。。(てへへ、苦笑)

「なぜ、聞くの? 自分のことかもしれないと思ってるの?」

少し、目をそらすチャンミン。

「それはおかしいですよ。僕が見たものが、自分の過去の記憶からだとして、僕は全然、記憶にない」

ふっと小さく笑うマンウォル。

「あんたは、決して、あの人なんかじゃない」

「なぜ、そんなことが言えるんですか?」

え?なんか、残念なの?(笑)

「その夢を見たときから、ずっと、あなたが私の頭から離れないんですよ」

うわ、あんた、自分が何をいってるか、気づいてるのか?というマンウォルの表情(笑)

ま、聞きようによっては、立派な告白だからね。。

「あなたと僕は、ずいぶん前に会っているのかもしれない」

それを聞き、つかつかとチャンソンに近づき、チャンソンの胸に手を置くマンウォル。

しばらくそのままでいて、ポンと手を離す。

マンウォル「あんたじゃない。何も感じない。もしあんたがあの人なら、絶対に、こんなような気持ちにはならない」

チャンソン「ああ、せいせいしました。“もしかして僕は、過去に、あなたが好きだった男なのか”と悩み続けるのは、あまりにも煩わしいですからね」

酒瓶を抱えたまま、さらにラッパ飲みのマンウォル。

こっちもわかりやすい。

「彼のようには何も感じなかった?彼のこと、ずいぶん、好きだったように見えましたよ」

「ク・チャンソン、ばかなことを言い続けるなら、相応の負担を支払うべきね」

「負担を支払う? どうやって? なんですか? 私に給与を払わないつもりですか? 僕はもう契約書にサインしましたよ」

あ、契約、結んだんだ。。

チャンソンを見据えるマンウォル。

「ク・チャンソン!今日から、幽霊の担当をしてもらうわ」

「・・・・・・」

 

******************

フロントで、客を案内するために、対応を求められ、固まるチャンソン。

見かねたヒョンジュンが、ちゃんとやれ、と合図を送る。

意を決しても、正視すらできないチャンソン。

「いつ、お亡くなりになりましたか?」

マニュアルで、そう聞くように決まっていても、実際に、だいぶ、傷んでいる幽霊を見ると、対応すらできない。

ヒョンジュンが変わって対応する。

「だいぶ、お時間がたっているようですね。 チェックインのお手伝いをさせていただきますね。まず初めに、身なりや髪を整えさせていただきます。では、こちらのエレベーターにお乗りください」

慣れた感じで案内するヒョンジュンと違い、固まったままのチャンソン。

女性客が、エレベーターに乗り込むと同時に、膝から崩れる。

無理無理無理無理~~~~~!

「どうしたんですか? 社長様は、シャンペンのケースごと飲んでも、まだ、怒ってるんですか?」

「どういうわけか、怒らせてしまったみたいだ。相当、激怒してるに違いない」

疑問に思っていることは、必ず聞いてしまうチャンソン。

「あの、チャン・マンウォル社長は過去にどんな罪を犯したんですか?例えば、なにか恋愛事件のようなものをしでかしたとか?」

「よく知りません」

「チャン・マンウォル社長に、誰か待っている人がいるとかいうことを聞いたことないか?」

「なにも知りません」

「そうなのか・・・」

 

夢の中で、寄り添っていた二人を思い出すチャンソン。

「彼のことを待っているわけじゃないのか?」

「支配人、社長様が何を考ええているのか、心配なんですか?」

「いえ、全然」

「社長様は、1番手のことも2番手のことも待っていませんよ、3番手だからってなにを気にする必要があるんですか? 今はあなたがここにいるんですから!」

「チ・ヒョンジュンさん、私は、チャン・マンウォル社長が何を考えていようが気にしてませんし、それに、私は3番手なんかじゃありません。0番手です、0番手」

「ああ、0番手、はいはい」

「本当ですったら」

「はい、あなたは0番手です」

完全に、おちょくられてる。。。

「考えても無駄だ。何も感情なんかないって言ったんだ」

急に、耳を押さえるヒョンジュン。

「なにか、不気味な感じがしませんか?お客様が大勢来られるような気がします。大丈夫ですか?」

緊張した面持ちで、

「いえ、無理です」

(笑)(笑)(笑)

 

~スカイバー~

結局、ソンビのところで話を聞くチャンソン。

ソンビ「まず最初に、お客様がここに到着されたとき、ほとんどの皆さんは、傷んだり、ボロボロの状態です。時には、なにかがくっついていたりします。ここで、身なりを整えた姿を見れば、あなたも平気なはずだ。」

たしかに、バーで飲んでいる客たちをみても、それほど、ショックは受けないチャンソン。

「私は今これを十分に処理するのに十分な経験があります。」と言ってるそばから、例の「コーヒーお代わり」幽霊が、隣に近づいてきただけで、飛び退くチャンソン。

「コーヒーのお代わりをいただけますか?」

「ああ、コーヒー豆を切らしているようです。少しお待ちいただけますか? お席にお持ちします」と、普通に対応するソンビ。

ふ~っと息を吐くチャンソン。

「ここで、お客様が、食べたり飲まれたりするものは、どのように調達するんですか?店から出前を取るわけにはいきませんよね?」

「我々は、来世から取り寄せます。うちのホテルで、お世話をしたり、来世への昇天をお手伝いしたお客様が、来世で、我々に報酬を支払ってくれるんです」

「つまり、幽霊たちが支払ってくれるってことですか?」

「皆さん、よい気運の力を残していかれるんです。その気運が、我々の庭に花を咲かせる。後悔が少なければ少ない人ほど、美しい花を咲かせます。うちの庭が花でいっぱいになると、麻姑神様がそれらを摘んで、我々が必要とするものと交換し、我々に送ってきてくれるんです」

「ああ、なるほど。それなら、なぜ、チャン・マンウォル社長は幽霊を通じて、たくさんの金を必要としているんですか?」

一瞬、ここだけの話だとも言いたげに声を潜めるソンビ。

「それは、社長様の贅沢な生活のためですよ。その金を、高価なシャンパンや、洋服、宝石、車に使うんです」

さもありなん、と頷くチャンソン。

「そのような態度が、何者かから罰をうけているんじゃないでしょうか?」

「あの女性は罰を受けていると言いましたよね・・・」

 

マンウォル:誰かが、私を傲慢でバカだといってるのね。私は同意したりしないけれど・・・

 

その時のマンウォルの言葉を思い出すチャンミン。

 

 

~巨木の庭~

青々とした葉を身に着けた巨木を見つめているマンウォル。

 

チャンソン:夢であなたを見ました。

麻姑神ハルモニ:葉が芽吹き、花が咲き、落ちれば、お前の時も、再び動き始めるだろうよ。

 

マンウォル「あの邪悪なおいぼれ婆さんが、こんなバカなやり方で私を欺こうとしてるんだ」

 

チャンソン:マンウォルというあなたの名前の書き方を教えていたあの男。あなたが、ここにこれほど長くとどまってまで、会いたいのは、その人なのではありませんか?

 

~回想/朝鮮時代のマンウォル~

追手から逃げ、街中の納屋に逃げ込んだマンウォル。足にけがを負っている。

外には、自分たちを探す兵士であふれている。

その時、一人で納屋に入ってきたチョンミョン。

短剣をかまえ、向かってくる相手に飛び掛かるマンウォル。

互角に戦うチョンミョンとマンウォル。

やがて、相手がチョンミョンだと気づき、驚くマンウォル。

チョンミョンは、最初からわかっていたのかも。。。

そこへ、兵士たちが納屋に入ってくる気配に、奥に隠れるマンウォル。

チョンミョンが納屋から出て、ここには誰もいない、他を探せと部下に命じる。

 

マンウォルの脚のけがを手当てするチョンミョン。

「高句麗から来た盗賊が取引しているときに、攻撃されたと、市場で聞いた。お前とお前の仲間かもしれないと思い、それで、確認しにきたんだ。俺が身軽で良かった。お前の剣でほとんど殺されるところだったな」

「いや、私が身軽だったから、お前に助けられた」

頬の切り傷を見せるチョンミョン。

「俺にはたくさんの義務があるが、これについては、お前はどうするつもりだ? 俺の顔には価値があるぞ。どうやって、償うつもりだ?」

「残念だったな、ヨンジュ城の公主は、お前の顔に憧れてるのにな。これからどうやって、彼女を誘惑するんだ?」

減らず口を叩くねぇ。

「公主だけが俺の顔に憧れてるんだと思うか?」

チョンミョンをにらみつけるマンウォル。足の痛みに、顔をゆがめる。

「幼稚なことをするな。行くぞ、俺に掴まれ」

 

その時、「放せって言ってるだろう」という声が聞こえてくる。

 

「黙れ! すぐにこいつを連れていけ。お前は何を待ってるんだ。」

捕まった人間が、自分の部下であるヨヌだと気づいたマンウォル。

すぐさま、助けに行こうと動きだすマンウォルを必死に止めるチョンミョン。

「今、お前が出て行けば、お前は捕まるんだぞ。俺の言うことを聞け。俺が必ずあいつを助け出し、お前のところに連れてきてやる・・・。約束する!」

必死に振りほどこうとするマンウォルの声を殺すよう、口元と身体を押さえこむチョンミョンのモシッタシーン、まじ、惚れる。


川沿いで、じっと待っているマンウォル。

そこに、約束通り、ヨヌを連れてやってくるチョンミョン。

「ヨヌ・・・」

思わず、駆け出したマンウォル。

まだ、痛みのある身体で、なんとか馬から降りるヨヌを抱きしめる。

「大丈夫か?」

「だいじょうぶです・・・」

ようやく、ヨヌの声を聞いて、少し安心するマンウォル。

 チョンミョンと目が合うマンウォル。

この軽さもいい!


素直に感謝の言葉は口にできない代わりに、自分をじっと見つめるマンウォルに笑ってしまうチョンミョン。

 

チャンソン:こんなにも長い間、その人を待っているんですね。

 

巨木を見つめるマンウォル。

「本当に青々しく、派手派手しい。こんなのありえないわ」

腹立ちまぎれに、巨木めがめて、シャンパングラスを投げつけると、巨木のバリアに守られ、手前で粉々に砕け散る。

 

******************

地下鉄に乗っているチャンソン。

ふと、記憶がよみがえってくる。

「ヨヌ・・・。あのうちの一人の名前は、ヨヌだ。彼は、チャン・マンウォルの盗賊団だった。」

あれ、ヨヌの件も夢で見たってこと?

 

かなり疲れがたまってるのか、首の後ろを捻ったりしていると、正面に、麻姑神ハルモニが立っているのに気づく。

じっと自分のことを見つめられて、すいている車内で、どうしようかと思っているとき、ハルモニが下げている花かごを見て、「あ、花を売っていらっしゃるんですか? おいくらですか? 一つ買いたいんですが・・・」と財布を取り出そうとする。

「ああ、いいんだよ。もうおまえさんには、あげたからね」

いたずらっぽい笑顔を浮かべ、チャンソンの隣に腰掛けるハルモニ。

「おまえさんの父親は死にかけた時、お前さんのために花を摘もうとしただろ。あの事件のおかげで、彼は盗みを働くことなく、勤勉な生活をおくったんだ。そして、お前さんのような出来た息子を育てあげたのさ。」

自分の父親のことをよく知るハルモニをじっと見つめるチャンソン。

 その口調にはどこか聞き覚えがあり・・・。


ハルモニ:おお 花! 花と言えば誕生日だろ!

 

チャンソン「あなたは、あの時の・・・・」

思い出したチャンソンを見て、うれしそうな麻姑神ハルモニ。

 

ハルモニ「それでどうだい? あのホテルで働いてみて・・」

チャンソン「あなたが、そうさせたんですか?」

「いや、私は通り道をあけただけさ」

「父があのホテルに行ったのは、偶然ではなかったとおっしゃってるんですか?」

「お前さんも知ってのとおり、私は木を育ててるが、まったく、あの木ときたら、とげのある枝で、他人を寄せ付けやしない。それで、あの木の面倒をおまえさんに見てもらいたいんだよ」

戸惑うチャンソン。

「いいかい? もし、あの木を育てるのに苦労したら、ここに来るといい」

名刺を渡す麻姑神ハルモニ。

受け取り、再び、ハルモニの方をみると、すでに、そこには誰もいない。周囲を見回し、次の駅で降りるチャンソン。


外は昼間ね。チャンソンの現世は常に夜勤明け(笑)

気づけば、人通りのない並木道まで来てしまったチャンソン。

視線の先には、麻姑神ハルモニが持っていたユリの花を手にした老人が座っている。

黒塗りのリムジンが静かに止まる。

よくよく見ると、三途の川行きのリムジンタクシー乗り場。]

早速、タクシーに乗り込もうとする老人。

ふと振り向くと、白い犬がこちらを見ているのに気づいたチャンソン。

吠えたてる犬の様子を見て、タクシーを止めるチャンソンを、道の向かい側から、見守っている引率使者。

「ちょっと待ってください」

後部座席を開け、「ご老人・・・」と声をかけると、白い犬のほうを指し示す。

「スンドル。バカだな。こんなところに来ちゃいけないだろ。まったく、わしが向かっているところは、お前なんかが付いてきちゃダメなところなんだぞ」

 

~老人の家~

ハラボジが亡くなっていると通報を受けた刑事が大家さんに、孤独死であることと、亡くなって数日が経っていることを説明している。

大家「扉は開いていたのに。なんで、あの犬は出て行かなかったんだろうねぇ。変だねぇ」

ああ、ハラボジの腕に抱かれて、スンドルも永遠の眠りについたのね。

 

「ここはお前がついてくるところじゃないんだぞ。ああ、なんて、可愛そうなことをしたんだ。。ああ、よしよし。いいな、一緒に行こう。 な? 一緒に行くんだぞ」

ハラボジとスンドル(犬)を見送るチャンソン。

 

ソンビ:麻姑神は、花を摘み、来世に向かう人々に、それを手渡すんです。麻姑神の別れと共に、魂は去り、いいところに行くんです。

 

ソンビの言葉を思い出すチャンソン。

「さっきのハルモニが、麻姑神なのか?」

先ほど受け取った名刺カードを取り出す。

薬局  京東市場薬種通り11-28 

 

******************

場面は一転し、あるパン屋さんの工房。


パン生地をこねている職人。傍らに立つ幽霊がそっと手を伸ばしてくる。

なにか気配を感じたのか、職人が一旦、その場を離れ、振り返ると、まるで誰かがこねているかのように、動いているパン生地。

恐怖で逃げだる震えるパン職人。

たまたま、お客さんとして、来ていたのは、サンチェスじゃん。

 

しかも、あれ、こねてたのは、サングラスガールだったよね。。。

まだ、成仏してなかったんだ・・・。

 

パンを買って帰ってきたサンチェスが、大声でチャンソンを呼ぶ。

「おい、チャンソン、出て来いよ、チャンソン!」

ですから、現実世界では、チャンソンは常に夜勤明け(笑)

 

しぶしぶ、起きてくるチャンソン。

「チャンソン、さぁ。 俺が信じられないパンを買ってきてやったぞ。俺がよくいくベーカリーで、幽霊の目撃騒ぎがあったんだよ。幽霊が捏ねた生地だって言うんで、それを買うために待ってたんだ」

「サンチェス、そういうことは言わないでくれよ。俺は、自分の家に帰ってきてさえ、幽霊のことなんか聞きたくないんだ」

「おい、もし、幽霊がこれを作ったせいで、俺にくっついて、家にやってきたら?」

と言い終える前に、サングラスガールが立っているのに気づいちゃったチャンソン。

オレンジジュースを盛大に吹き出す。

「な、なんで君がここに? なぜ、また、ここに来たんだよ?」

当然、チャンソンとしては、サングラスガールにそう訊ねますが・・・。

「チャンソンア、お前、何してるんだよ。怖いじゃないか。幽霊なんかどこにいるんだよ。ただのパンだろ」

幽霊が見えないサンチェスにしたら、チャンソンが変です(笑)

「こいつについてきたのか?」

首を振るサングラスガール。

チャンソンの視線の先を見るサンチェス(笑)

「じゃ、パンについてきたのか?」

頷くサングラスガール。

チャンソンには恩義を感じてるサングラスガール。

「チャンソンア、変な話をして悪かったよ。パン、食べようぜ、な?」

「俺はいいから、お前が食べろ。俺は仕事に戻らなきゃならないようだ・・・」

致しかたなく、自分の部屋に戻っていくチャンソン。

「おい、チャンソンア、お前がそんなふうにしたら、俺はこのパン、どうやって食べればいいんだよ」

なんとなく、周囲を見回すサンチェス。

パンをもって動くサンチェスの、そのまた後を、ついて歩くサングラスガール。(笑)

 

~ホテルデルーナ ロビー~

薄暗い中で、ソファに座っているサングラスガール。

つまり、今は現実社会では昼間です。

ソンビ「チャンスニが、ホテルからいなくなったあの客を戻してきた。。」

ヒョンジュン「彼女はホテルを出て、ベーカリーに行き、パンを作った・・・。そんなことすべきじゃないのに・・・」

ソフィ「あのお客様は、今日、リムジンで来世に向かうことになっていたわよね?」

ヒョンジュン「ええ。支配人がリムジンの予約を変更するために、社長様にサインを受け取りにいきました。彼女は、この世を去る前に、パンが欲しかったのかな?」

ソンビ「どっちにしろ、この世では、パンは食べることすらできないんだ、ここで、ルームサービスを頼めばいいのに・・・。なんで、また、パン屋になんか行ったんだ?」

ソフィ「ヒョンジュン、あんたは、お客様が来たことも出て行ったことも、もっと注意を払うことができないの?あんたも、来世に向かうバスに乗りたいの?」

あらあら、ソフィの言い方、いつものマンウォルみたい(笑)

「でも・・・、昨日は、団体客が来て、てんてこまいだったんですよ」

「ちゃんと仕事しなさいよ」

チャンソンに対してもそうだけど、ちょっと、当たりがキツイ客室係長。。。

「ああ、すごく怖かった、どうします? どうやって、彼女にバスに乗るように伝えればいいですか?」

後ろから、ソンビに抱き着くヒョンジュン。

「そうだな。 確かに伝えるのが難しいな。しかし、なぜ、あんなにイライラしてるんだろうな」

怒って出て行ったソフィを気にするソンビ。

「ああ、もうすぐ、25日か。。」

「もう、その日ですか? 私たちは、無事に通過できるでしょうか?」

「当然、そうしなきゃ。もし、また、42年前のようなことが起きたら、ソフィは確実に来世に連れていかれるだろう」

ようやく、後ろから抱き着いているヒョンジュンを離すソンビ。

 

★『ホテルデルーナ』4話(1)の雑感

 アップするのが遅くなりました。

4話はまるごと、一気に訳したので、とりあえず、順々にアップしていきます。


正式に、チャンソンのホテルデルーナでの『ホテリアー』人生が始まりました。

幽霊との関わりは、ちょっとした人情劇も含め、どんどん濃くなっていきますし、当然、マンウォルとの関係も、外野の声はうるさいものの、どんどん、結びつきは強くなってます。


チョンミョンも、品がいい。

マンウォルじゃなくても、堕ちます。

 

★『ホテルデルーナ』4話(2)に続く★