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ホテル・デルーナ호텔 델루나
【Episode 2】(1)
前回のおさらい
「あなたは戻り、息子をよく育てなさい。よく育てあげ、私によこしなさい」
20年前、瀕死の父ク・ヒョンモが現世に戻される条件として交わした約束により、ホテルデルーナで働くことを運命づけられていたク・チャンソン。
20年の歳月を経て、現れたマンウォルから逃げようともがくも、健闘虚しく、幽霊が見える状態にされてしまう。
20年前、失脚させられた恨みを持ったホームレス(元市長)に胸を刺されたマンウォル。
自分から逃げる最後のチャンスだというマンウォルの言葉通り、一旦、その場を離れるが、逆にリヤカーを引いて、マンウォルを助けるために戻ってきたチャンソン。
「(チャンスを諦めたんだから)これからは、逃げようとしたら、死ぬことになるわよ」
「あなたは、さっき、あなたを襲った老人を殺したんですか?」
無言のマンウォルをその場に残し、走って、様子を見に行くチャンソン。
そこには、異臭と、盛り上がった砂と・・・土留に突き刺さった鉄筋。
人間の原型をとどめない砂が、熱く熱を持ち始め、そこから伸びた手が、チャンソンの靴を掴む。
「わぁ、なんだ、これは!」
いつの間にか、現場に来ていたマンウォルの後ろにさっと隠れる。
心臓も弱いかもしれないけど(推定)、性格もちょっと臆病。
「あれ、なんなんですか?」
「燃えた直後の死者の魂の、残りの灰よ」
「あの老人は幽霊だったんですか?」
「あいつらの中には人間みたいに見えるものがいるって言ったじゃない」
「でも、そいつらは危険じゃないって言ったじゃないですか?」
「もし、深い恨みを抱いた霊に攻撃されたら、殺される可能性はあるわね。だから、そいつらから身を守る術を学ばないと・・」
「でも、それらを区別するのは難しいって・・・」
「だから、それこそが、あなたが良く見なきゃならない理由でしょうが!!」
「そんな、よく見るなんて・・・怖いこと・・・」
「何をそんなに怖がるのよ。私が側にいてあげるのに・・・」
******************
歩き出すマンウォル。
「ちょっと・・・」
マンウォルを呼び止めると、「あれ、僕の代わりに、取ってもらえませんか?」と脱げてしまった靴を指さす。
「僕が近づきすぎたら、危険じゃないですか、、、早く」
さすがに、消え入りそうな声で頼むチャンソン。
う~、キヨォ~(可愛い!)
吹き出すマンウォル。
「じゃ、私のことを、上司として呼び始める? “社長様”と・・」
「あなたは、社長じゃない。僕は、あなたのホテルで働きたくないと伝えました」
「まだ、ことの恐ろしさがわかってないようね」
さっさと歩きはじめるマンウォルを見て、仕方なく、靴を猛ダッシュでゲット。
「あの~、それで、もし、我々が、あれをあのままにして離れたら、人間の通行人には危険じゃないんですか?」
「あのゴミなら、すぐに回収されるわよ」
「誰に?」
「死神=(直符)使者・・・」
マンウォルが振り返ると、チョンソンが靴を履いている。
「あなた、また、それ履くつもり?」
「なぜです? 危険なんですか? これ、つい最近買ったばかりなんですよ。拭いたとしても、また、履いたらだめですか?」 ← 何をみても、危険だとビビるお年頃。(笑)
「捨てなさい。新しい靴を買いに行きましょ」
仕方なく、片方の靴を捨てるチャンソン。
ふと、「あ、俺のキャリーケース、どうなった?」とようやく思いだす。
背後では、マンウォルの言ったとおり、直符使者が死者の灰の回収に来ていました。
掃除機で吸われちゃうなんて・・・。
本当に、靴を買いにきた二人。
「あ、これがいいわ。履いてみて」
「いやですよ。僕の好みじゃない。」
「さっき履いてた、あのべったべたの茶色い靴よりは、全然いいわよ。うちのスタッフには、あんなの履かせられないわ。私、あの茶色、嫌いなの」
「ちょっと・・・、さっき、あの靴を捨てるように言ったのは・・・」
「べったべたの茶色だったからよ」
すでに、興味は自分の新しい靴・・・銀のハイヒールを見ているマンウォル。
「あれが、危険だからじゃなくて?」
「私、あれが危険だなんて、一言も言ってないわよ。 あ、あれが気に入らないのなら、こっちを履いてみて」
白黒のツートーンタイプを渡すマンウォル。
「嫌ですよ! さっきのと、まったく同じようなタイプのを選びます!」
「こっちにしなさいって。もうすぐ、この店も閉店時間よ」
「構いません」
その時、「本日はご来店いただきまして、ありがとうございます」という店内アナウンスが聞こえてくる。
「ほらね」
ショッピングモールから出てくる二人。
あ、チャンソン、ちゃんとスーツケース持ってる(笑)
「あ~あ、あんたがあんまりうるさいことばっかり言うから、私の靴を買うこともできなかった・・・」
「時間がもっとあったら、僕は決して、こんなの買いませんでしたよ」
マンウォルが2番目に薦めたツートーンを既に履いてるチャンソン。
「ええ、それはご愁傷様。すべての店には、閉店時間があるのよ。さぁ、新しい靴も買ってあげたんだから、明日から、働き始めなさいね」
それを受けて、またまた仕切り直すチャンソン。← 既に何度目?
チャンソン「事実を整理しましょう。まず、あなたは自分の望み通りのものを選び、そのうちの一つを購入したにすぎない。そして、僕はあなたのホテルで働くつもりもない。どうして、あなたは、なんとしてでも、僕を働かせようとするんですか?」
その時、ショッピングモールの灯りが一斉に消える。
シャッターが閉まっていく様子を、固い表情で見つめるマンウォル。
「あんたは、突然、(人生の)ドアを閉めざるを得なかった人々の満たされない想いを慰める存在になるのよ」
「何のドアですって?」
「人生の時を終えるドアよ・・・死。」
~自動車事故現場~
ひっくり返った車の中で息絶えた人を、近くで呆然と見つめる男性。
「キム・ギョングさん」
後ろから、声をかける黒づくめの引率使者(カン・ホンソク) ※一般的には、死神です。
普通の死者ならば、こうやって、天国まで行けちゃうの?
「私がお連れ致しましょう」
『天国行』とプレートに書かれた車に乗りこむキム・ギョングの魂。
ひっくり返った車のすぐそばまで寄ってきたのは、麻姑神様が扮した花売りハルモニ。
「お前さんは、長い旅に出るんだね。三途の川を無事に渡れるように、祈ってるよ」
ユリの花を1本手向けるハルモニ。
日本だと、三途の川は、船で渡るイメージだけど、このドラマでは、皆、なが~~~い橋を歩いて渡っていくのね。
一様に、麻姑神様にもらったユリの花を手に持って・・・。
橋の途中で星空を見上げるキム・ギョングの魂。
~ショッピングモールの前~
マンウォル「人は死ぬと、ほとんどが、三途の川にかけられた橋をわたって、その川を越え、別の世界に向かっていく。ただし、その中には、その行き方を見失う者もいる。あんたも見たでしょ。彼らは、自分が死んだことすら気づかずに、この世界にバカみたいに留まっているのよ。」
「あなたが立っているこの場所・・・すでに閉店したショッピングモールでさえ、まるでそうだと?」
「上手い例えだわ。よくわかってるじゃないの。うちのホテルにくる客たちは、来世への生き方を見失ってしまった死者の魂なの」
「つまり、あなたのホテルの客は、全て幽霊だということですか? それが、私に彼らを見えるようにした理由だということですね」
「うちのホテルにいらっしゃい。私の側にいる限り、あなたは安全よ」
そ~っと、スーツケースの持ち手に手を置くと・・・見越したように、
「no~no~no~、最も危険なことは、私の許可なく、逃げようとすることよ。しちゃだめよ。」
そこに、1台の白い車が停止する。
「ク・チャンソン、明日、あなたの新しい靴を履いて、地下鉄の4番線に乗りなさい」
「チャン・マンウォルさん・・・」
「上司として、私のことを呼ぶように言ったでしょ。“社長様”よ」
「あなたは・・・どこに立っているんですか?
あなたのドアはまだ、閉まってないんですか?
それとも、しまったドアにしがみ付いている人なんですか?」
ノ支配人が、マンウォルのために、後部座席のドアをあけて待機している。
「あなたは、僕のような普通の人間ではありませんよね。それは、今日、僕が体験したことに基づいて、確信して言えます。あなたは、強い復讐の意志がある者は、人間を殺すことが出来ると言ったし、私を殺すことが出来るとも言った。あなたもまた、怨鬼(ウォンギ=有害な霊)だということなんですか?」
「今、まさにあなたの側に立っている者は、おそらく、怨鬼ね」
横を向くと、例のサングラスガール。。。
「あ・・・」と慌てて、口を押えるチャンソン。
「すぐに、口を閉じたわね。さすがだわ。私が見込んだだけのことはある・・・」
それだけ言うと、車に乗り込んでいく。
帰り道、「怨鬼・・・」と、チャンソンの言葉を呟くマンウォル。
******************
マンウォルの車が通り過ぎた公園の舗道近くで、野良猫たちに餌をやる親子。その様子を背後で見ている何者か・・・の気配を感じ取り、後ろを振り向く女の子。(推定3~4歳)
笑顔で近づいていく。
猫たちが離れていった時、はじめて、娘がいないことに気づく母親。
「ユンソヤ~」
人形を抱いたユンソが、どんどん公園の奥に入っていくと・・・待ち構えていたのは、巨大なトラ。
ユンソ「ニャ~オ♪」
なんか、呼びかけとしては、違うような、合ってるような・・・(笑)
「ケリョン」を思い出すわ~~~。
「でっかい(子)猫ちゃんだ!」
う~~~んと、単位が・・・ちょっと違うかな。
10子猫=1猫で、 1000猫=1巨大トラ とか、そういうんじゃないよね(笑)
追いかけて来た母親が、大きな猫を見たというユンソを抱き締める。。
オンマには何も見えず、虎の影だけが黙って、ユーターンしていきました。
~ホテルデルーナ 月の巨木の庭~
巨木を見ながら、佇むマンウォルと、ノ支配人。
この巨木の生死が気になったマンウォル。
1000年以上も、葉っぱ一枚、花一輪でも成長したことがない。
チャンソンの問いかけを気にしているマンウォル。
チャンソン≪あなたは・・・どこに立っているんですか? あなたのドアはまだ、閉まってないんですか?それとも、しまったドアにしがみ付いている人なんですか?≫
社長様の分身のようなものだから、きっと生きていると元気付け、マンウォルの好きなシャンパンをすすめるノ支配人。
「そうね、ボトル1本と言わず、全箱飲むわよ」
その時、なにかの気配を感じるマンウォル。
「なにものかがいる・・・。ああ、特別なお客様がここにいらっしゃるのね。お迎えをすべきだわ」
悠然と、ホテルの前の道を歩く「でっかい猫ちゃん」じゃなく、1匹のトラ。
入り口で、待ち構えているマンウォル。
あれ、なんか、にっこり笑って、通り過ぎちゃったよ。
フロントマンのヒョンジュンも表に出てくる。
「社長様、今のは、トラですよね?」
「あのような神聖な動物の魂が歩き回るなんて・・・危険なのに」
「社長様が、あのトラを追い出したんですか?」
ムッとするマンウォル。
「あなた、ちゃんと仕事してんの? 気にせず、お客様をお迎えしなさい。」
「ちょうど60年ほど、ここで働いてますが、トラがお客様として来られたのは一度もありません。」
「よく聞きなさい。たくさんの幽霊たちは、この世に留まりたくて、ここで働きたがってるのよ。文句があるなら、来世へのバスに乗りなさい。止めないわよ」
「私が仕事が苦手なので、ク・チャンソンを引っ張り込んだって、わかってますから。文句じゃなくて、本当にラッキーだと思ってます」
「ついてるなら、なぜ、若くして死んだりしたの?」
さっさと、ホテルの中に入っていくマンウォル。
「あ~あ、いつもこうだ」
慌てて、「社長様、私は一生懸命働きますよ~」と追いかけるヒョンジュン。
~友人宅~
誕生日の鉢植えを見て、更に、頭を抱えているク・チャンソン。
「おい、いつきたんだよ。どこかに行く予定があるとか言ってなかったか?」
チャンソンの唯一の友人、サンチェス(チョ・ヒョンチョル)の家です。
「うちに泊まるって言ったから、楽しみにしてたのに、すぐに出ていくなんていうから、がっかりしてたんだぞ。まぁ、いいや、おい、歓迎のパーティーでもやるか。何飲む? ビール? ウィスキー? 焼酎か? 好きなの選べよ。 」
それどころじゃないチャンソン。
「なんで、そんなに静かなんだよ、おい、チャンソンガ」
なぜって・・・、外を見れば、サングラスガールがくっついてきちゃって、ずっと家の上がり縁に座ってるからですわ~~~(笑)
「返事もしないのかよ、じゃ、ビールにするぞ」
しないんじゃなくて、出来ないんです!
チャンソン≪あなたもまた、怨鬼だということなんですか?≫
それでも、あの時の、自分をじっと見つめていたマンウォルの顔が、頭から離れないチャンソン。
「(幽霊なのか、そうじゃないのか)どっちなんだよ?」
呟くと、その声に反応して、寄ってきちゃうサングラスガール(笑)
******************
一夜明けて・・・
インビテーションレターを持って、ホテルデルーナの場所にやってきたチャンソン。
ヒョンモ≪ピカピカ光るネオンサインの看板を見たんだ。外壁はツタで覆われていた。すごいホテルだったよ。≫
「“ホテルデルーナ” 思っていたより、普通だな・・・」
中に入るとまだ、薄暗く・・・「昼間は閉めてるのかな?」と呟くと、にゅ~と、カウンターから顔を出すヒョンジュン(フロントマン)。
「いらっしゃいませ」
「うわ~~~!」
「驚いたでしょ? あなたは幽霊じゃありませんよね」
「ええ」
「では、私たちの料金表をごらんになって、お決めください」
料金表をみて、驚くチャンソン。
「このホテルは、話にならないくらい、けた違いに高いですね」
要は、生きている人間を宿泊させないための料金設定ってことね。
「もし、私が客としてここに来たのであれば、とてもありえませんが、私は、ここに客としてきたわけではないんです」
インビテーションレターを見せるチャンソン。
「あああ! 新しい支配人の、ク・チャンソンさんですね」
「まだ、そのポジションを受け入れてはいません。ただ、来てみただけです」
「社長様があなたのお越しを待ってらっしゃいます。あちらからどうぞ。支配人様」
「だから、支配人じゃありませんよ」
「ええ、そうですね。こちらへどうぞ」
にっこにこのヒョンジュン。
一緒にエレベーターに乗り込んでる間も、肩の埃を払ったり、チャンソンに興味津々。
このフロントマン、いいわぁ(笑)
まだ、灯りがともっていないロビー階に到着する。
「今は、お客様はいらっしゃらないんですか?」
「お部屋は満室です。皆さま、お部屋でお休み中なので静かなんです」
「私が聞いていたのと違い、かなり普通のホテルのようですね。建物外に素晴らしいビーチがあったり、高層階にはスカイラウンジのようなものがあるとか・・・」
「ええ、その二つの施設は、私どもにとっても自慢なんですよ」
「つまり、それらは実際に存在するんですか?」
「ご自身で確認されますか?支配人様」
「いや、結構だ。見る必要などない。それから、さっきも言ったが、私はこのホテルの支配人なんかじゃない!」
「じゃ、ヒョン(兄貴)?」
その時、背後から、ノ支配人が声をかけてくる。
「ク・チャンソンさん、社長様がお待ちでございます」
ノ支配人についていくチャンソン。
「あなたは、今ここを、通常のホテルの午前3時頃だとお考えになってください」
「あのフロントマンは満室だと言っていましたが、それはつまり、幽霊で満室だということですか?」
無言のノ支配人の背中を指で触ってみるチャンソン。
立ち止まるノ支配人。
「私は、あなたと同じく、人間ですよ」
失礼を詫びるように、視線を下げるチャンソン。
~マンウォルの執務室~
壁にかけられた、たくさんの肖像画や古い写真の、その時々のマンウォルの姿を見ていくチャンソン。
「(彼女は)ここから、ここまで、ずっと生き続けているのか・・・?」
改めて、緊張を覚えるチャンソン。
執務室に入ってくるノ支配人。
「オーナーはすぐに参ります」
「失礼ですが・・・あなたは長年、このホテルで働いてこられましたか?」
「働き始めたのは、40歳を過ぎた頃からですね。かれこれ30年になりますか・・・。」
「3、30年ですか?」
「私はこのホテルで唯一、年齢通りに、年老いていく人間です。そして今、ク・チャンソンssiが私の仕事を引き継ぐことになるのです。」
チャンソンを残し、部屋を出ていくノ支配人。
「30年だって? ってことは、俺もあんなに年を取るまでここにいることになるってことなのか?」
え? あなたの心配はそこですか?(笑)
そこへバタンとドアが開くと、マンウォル登場。
「なんで、こんなに遅かったのよ? 靴・・・も、昨日、私が選んであげたのじゃないし。」
「私が通常、勤務するホテルでは、あの靴はあまりにも派手です。それに、ちょっと立ち寄ってみただけで、すぐに戻らねばなりません。」
「ふ、サングラスガールは休憩中みたいね。」
「あ、あの幽霊、あなたが彼女を、僕のところに留まらせたんですか? 彼女に対して何一つできない僕のところに、ついてこさせたんですか」
「ああ、それはね、あの子は自分と関係を持った人間の周囲に、まとわりつくのよ。一度でも、関係性を持ったら、自動的に永遠に続くのよ」
「僕のことをワイファイか何かだと思ってるんですか?」
「あはは、上手いこと言うわね。よくわかってるじゃないの。なおさら気に入ったわ」
「僕は気に入られたくなんかありません。それに、ああいった幽霊を見るのも嫌です」
「でも、見なきゃ!それに、慣れなきゃね。今から、その幽霊たちがあんたのお客様なんだから」
「これは新興宗教か何かですか?ここは幽霊の面倒を見るムダン(祈祷師)が所有する家なんですか?」
ムッとするマンウォル。
「ホテルよ。チュン区役所に届け出だってしてるわよ」
1988年に登録されてた(笑)
「僕は一晩中、ホテルサイトを検索しましたけど、いくら探しても、ホテルデルーナは1件も見つけられませんでしたよ」
「当然、ホテルサイトなんかで見つけられなかったでしょうね。このホテルは人間用じゃないって言ったじゃない!(怒)」
「ああ、ここは幽霊を癒すところだと言ってましたね。それなら、このホテルでは、お客様にどのようなサービスを提供してるんですか?悪魔祓いですか?」
「そんなんじゃないわ。癒しよ」
なんか、お互い、身振り合戦になってた! 案外、似たもの同士です。
******************
ある客室に、客室係長のソフィが、ルームサービスの料理を運んでくる。
テーブル一杯に広げられたご馳走をガツガツ食べる女性の幽霊。
「生きている間に、食べることが出来なかったもの、全てをお召し上がりくださいませ。お望みの料理は全てお出しいたしますので・・・」
ひたすら食べ続ける姿を見て、満足そうに微笑むソフィ。
今度は、薪を運んでくるソフィ。
冬山で遭難死した男性客の部屋で、暖炉に薪をくべる。
「お客様、温かくなってきましたか?お客様が温かくなるまで、薪をくべ続けますからね」
次の部屋には、大量の書籍。
「お客様はずっと、本を読み続けていらっしゃいますね。まもなく、この部屋の本を全て読み終わりますよね。好きなだけ、お勉強してくださいませ。」
次の本を手に取る老婆。
「読みたい本がございましたら、どのような本でもご用意いたしますね」
「ありがとう」
マンウォル「デルーナにはね、かつては人間だった霊たちが、生きている間に成しえなかったことをするために来ることもあるの。言い換えれば、充電しにくるような感じね。人間のためだけじゃない。幽霊だって、後悔なく、この世を去るために必要なのよ。」
「お客様が幽霊なら、支配人だって、幽霊でいいじゃないですか。なぜ、人間である必要があるんですか?」
「人間にしかできないことがあるからでしょ!うちの事業登録をしたり、税金を払ったり、衛生検査を受けたりとか、とにかく・・・いろいろよ。やらなきゃいけないことがたくさんあるんだからね」
ようやく、本題に入るチャンソン。
内ポケットから、父親がマンウォルから借りた金額を貯め続けてきたという通帳を取り出す。
「これを受け取り、私を解放してください」
差し出された通帳を受け取り、中を確認するマンウォル。
これって、マンウォルが欲しがってるとおりの人材だってことを、ますます自らプレゼンしちゃったんじゃないの、チャンソン。(笑)
「ま、くれるって言うんだから、もらっておくわ」
「それなら、これで、我々は同等ですよね?では、失礼します」
「いいわ。一緒に出掛けようと、あなたを待ってたの。行きましょ」
「ちょっと、まって・・・あなたと一緒にいくつもりはありませんよ」
「じゃ、一人で行くつもりなの?」
「ええ」
「そう・・・いいわよ。どうぞ・・」
執務室を出たところで、はたと立ち止まるチャンソン。
それでも、一歩、廊下を歩き始めたところで、すぐに、大きな音(ラップ音)とともに、女性の嬌声が聞こえてくる。
エレベーターに乗り、ロビー階を押すと、「3階もお願いします」と聞こえてくる。
「あ。はい」と咄嗟に返事をして、ボタンを押しかけたところで、自分以外、誰も乗っていなかったことに気づく。
自分の指の上から、3階のボタンを押す指の先を見ようとして、宙に浮いている女性を見上げるチャンソン。
手を振られて、慌てて「開」のボタンを連打する。
優雅にお茶を飲んでいるマンウォルのもとに、「なぜだ~~~」と叫びながら、まだ、幽霊が見えるままなことに文句を言うチャンソン。
「あんたは、私に借りていたお金を返しただけ。そっちは、私があげた誕生日プレゼントよ。その目、大事にね」
「揶揄ってるのか? こんな・・・幽霊が見えるままって・・・これでどうやって 普通の生活を送れると思うんですか?」
「だから、あんたには、ここで働くしか選択肢がないって・・・」
「私の目を、元に戻してください!」
「私、出かけるの。どうする? 私と一緒に行く? 嫌なら、ここにいれば? 」
冷たく言い放つマンウォル。
「一旦出かけたあとで、話しましょう」
マンウォルの後ろにぴたっと張り付くチャンソン。(笑)
ロビー階を連れ立って歩く2人を、階段の上から見ているノ支配人と、バーテンダー。
バーテンダー「あの新人は、ずいぶんと臆病者のようです。なんだか、心配になってきました」
ノ支配人「私には、とても勇敢に見えるがね」
幽霊の気配を感じるだけで、マンウォルの両腕を掴み、キョロキョロ周囲を見回すチャンソン。
うざったそうに、振りほどくマンウォル(笑)
ノ支配人「私などは、幽霊なんかよりも、社長様のほうがよっぽど怖いが、あの青年は、社長様と何のためらいもなく、話ができるようだ」
バーテンダー「それは、なぜ、社長様がこのホテルの主人でいられるのかを知らないからですよ」
自ら、エレベーターのボタンを押し、「急いで」と、マンウォルを促すチャンソン。
バーテンダー「ここの幽霊たちのなかで、社長様が最も恐ろしく、最も怖いというのに・・」
自分にぴったりくっついているチャンソンをウザがってるマンウォル。(笑)
駐車場にやってきた二人。
(と言っていいのかな?展示場みたいだけどね(笑))
高級車がズラリと並んでいるのを見て、感嘆の声を隠せないチャンソン。
マンウォル「今日は・・・これがいいわね」
赤のオープンカーをお選びになられました。
チャンソン「ここにある車、全部、あなたのなんですか?」
マンウォル「うちのお客様は全部幽霊だって、あなたに言ったわよね。彼らが運転すると思う?」
チャンソンに、ポンと鍵を投げ、自ら助手席に座るマンウォル。
チャンソン「大した高級車をたくさん持ってるんですね。」
マンウォル「あんたは、私のことを怨鬼だって思ってたのに、あのスポーツカーたちを見た後では、人間のように見えたってところかしら」
チャンソン「死者の魂で稼ぐ・・・いえ、癒すことによって、大金を得ているようですね」
マンウォル「あなたは、幽霊が見えることを嫌がってるけど、この車みたいな素晴らしいものは好きみたいね。私のために働きたくなった?」
チャンソン「私には、超能力を使い、彼らを癒すことによって、これほどの巨額の富を手にできるのか、という可能性が理解できないんです。」
マンウォル「とにかく、ホテルの利益率について、関心を持ち始めたってことね。 幽霊の代わりに最初に、私の車を見せるべきだったわ」
チャンソン「関心なんてありません」
はいはい、と頷くマンウォル。
今度は、急に、笑みをうかべるチャンソン。
「なぜ、笑うのよ」
「幽霊がシートベルトをしてるのを見て、なんだか、おかしくなったんですよ。あなたの行先まで運転しますから、私の目を直してくださいね」
マンウォルが鼻で嗤う。
「なぜ、そんな忍び笑いを?」
「ただ、私があなたの目を治すと信じてるんだな、って思ったら、おかしくて・・・」
「取引したじゃないですか。もし、あなたが私の目を治さなかったら、私は働きにいくことが出来ないんですよ」
「そうよ、あなたは、他のホテルで働きに行くことなんて出来ないの。だって、今は他のなにかの面倒を見なきゃならなくなったからよ」
会話不成立(笑)
チャンソン「今から、どこにいくつもりなんですか?」
風を受けながら、「トラを捕まえにね・・・」と呟くマンウォル。
「あはは、面白いことをいいますね。」
「あははは・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
一瞬、無言で見つめ合う二人。(笑)
博物館の剥製のトラの前に立つマンウォル。
「これ・・・朝鮮半島で確認されている最後の“白頭虎”だったって。」
側の説明プレートを読み上げるチャンソン。
「このトラが、北朝鮮からの贈り物だっていうニュースを見た時のことを思いだしましたよ。このトラは、他のトラと仲良くすることも交わることもしなかったそうです。最後の瞬間まで、孤高で過ごしたんですね」
「このトラは死んでしまったのに、まだ生きているような感じに見えるわ、ここに展示されてると・・・。」
マンウォルの呟いている姿をじっと凝視するチャンソン。
マンウォル《私は死者じゃない。まだ、死んだりしてない。ただ、ここにいるだけ》
マンドゥ屋でのマンウォルの言葉を思い出す。
時計を見て、時間がないと促そうとするも、哀し気に、トラの剥製を見つめ続けるマンウォルの姿を見て、それ以上、言葉を掛けられないチャンソン。
~会長の寝室~
男性(チャンソンの勤務予定のホテルの会長)がベッドで眠っている。
うなされ、うっすらと目を開けると、トラが歩いているのが目に入る。
男性に向かって、吠えるトラ。
虎に飛び掛かられたところで、目を覚ます男性。
悲鳴をききつけ、
「会長様、また、同じ悪夢をご覧になったのですか?」と駆けつけてくる部下。
荒い息をしながら、頷く会長。
虎の剥製を見たあと、食堂に入ったマンウォルとチャンソン。
さきほどから、ずっと考え事をしているマンウォル。
時計を見て、時間を気にしているチャンソン。
チャンソン「うちのホテルの会長が、北朝鮮からトラを購入したんです。随分以前に、北朝鮮を訪れた時、親交の証として、トラを受け取ったそうです。」
マンウォル「そう・・・」
「ですが、あなたは、トラを探しに行くと言いました。それなのに、なぜ、赤米粥の食堂に来たんですか? この店は、トラになにか関連があるんですか?」
「赤米の御粥は、トラの大好物なのよ。私がトラのことを考えるとき、赤米の粥を思い出すのは、当然なことじゃない?」
「それのなにが、当然なことなのか、僕にはさっぱりわかりませんが・・・」
ふん、と拗ねたように、携帯を見始めるマンウォル。
「ただ、赤米粥が食べたかっただけなんじゃないですか?」
「この食堂は、“食後に死んだ男たち”に出たのよ」
またかい(笑)
「キム・ジュンヒョンはね・・・」
「また、キム・ジュンヒョンか!」
やっぱり、チャンソンも突っ込んだ!(笑)
「一口で、餅菓子を5つも食べたのよ。これこれこれ、彼は普通の人間じゃないわ。あんたなら、一口で何個食べられる?」
「だから、僕は仕事に行かなきゃならないって言ってるじゃないですか。もう食事をしている時間なんかないんですよ!」
「これを食べてる間くらい、ゆっくり食べなきゃ。もし、急いで食べたら、熱い餅菓子で、あなたの上あごをやけどするかもしれないわ」
「お金なら渡しましたよ。受け取ったのなら、この目を直してください」
箸をとめるマンウォル。
「昔ね、なぜ、餅菓子屋がトラに食べられたのかわかる? 虎が“餅菓子をくれたら、餅菓子屋の命を助けてやる”って言った時、餅菓子を渡しちゃったからよ。それが、餅菓子屋が生きたまま、食べられた理由なの。最初にもっと交渉すべきだったわよね」
はぁ・・・と溜息をつくチャンソン。
「それが、僕が、生涯、あのサングラスガールと共に生きていかなければならない理由ってことですか?」
「ううん、うちのホテルに連れてきて。数日間、滞在させたら、バスに乗せて送りだしてあげる。ああ、もし、彼女がちゃんとした人生を送っていたら、リムジンで行くこともできるわね」
★『ホテルデルーナ』2話(1)雑感★
ズバリ、会話劇かと思うくらいの、台詞の応酬・・・ですね。
IUと、ヨ・ジングは大変だと思います。
ラブコメにありがちな、マシンガントークじゃなく、常に“あー言えばこー言う”スタイルで、会話を続ける二人。
言い回しや比喩、被せなど、テンポが狂うと台無しというか、暗転しても、次の書割の前に登場する、出ずっぱりの舞台を見ているようです。
特に、この1~2話は、会わなかった20年の間を埋めるとでもいうか、チャンソンがどの程度まで、この特異な事態を把握しているのか、を、全て、セリフで表現させていて、それを追い込むマンウォルは、常に確認の一言を挟み続けるといった具合です。
その分、ちょっと冗長というか、説明過多になる部分もあります。
それでも、絶妙な加減で、ヒントのように、視線だけで語らせたりもするので、結局、画面に釘付けです(笑)。
ノ支配人、まだまだ、出てきてくれないと・・・。(涙)