ネタバレOKの方のみ、おすすみください。お願い

 

 [第12話:夢から覚めるとき] 

 

大学の食堂でも、学生たちから噂されるユミ。

「ねえ、彼女のお母さんは、アダルトビデオ女優だったって」

「本当?」

「うん。」

「ワオ。」

「チュ・ヘリは、その女性のせいで、番組で泣いたらしわ」

「奔騰?娘にしろ、母親にしろ、すごいな」

「それって彼女のこと?」

「うん。」

たまらず逃げ出すユミ。

「彼女だろ?」

「ああ、そうだよ」

ユミを見ては、コソコソと・・・。

 

~回想~

「わしが何もしないのは、ジヌクのためにも、あいつ自身で後始末さえたいからだ。君にもわかっていてほしい。それに、君たちの間には、なにも確かなものがないようだ。」

 

会長の言葉を思い出し、激しく動揺し、校舎を飛び出すユミ。

 

チャン秘書の後押しもあり、ユミの行方を追って、テジョン大学まで、車を飛ばしたジヌク。

 

「すみません、イ・ユミ栄養士はどこに行きましたか?」

「彼女は何も言わずに出て行ってしまい、どこに行ったかわかりません」

 

自宅に戻っていたユミ。

「みんな、オンマのせいよ」

「なによ、私がなにしたっていうのよ」

ユミの剣幕に、化粧の手を止めるオンマ。

「なに考えてるの? テレビであんなこと言うなんて」

「別に・・だって、あのとおりじゃない。それに、あの男のほうが恥しらずでしょ。思い通り、あんたと恋愛して、ドングを自分の息子だと言ってみたり、その上、あんたを捨てたじゃない。ホント、男らしくない・・・」

「は?恋愛?あの人とは、そんな関係じゃないのよ。ただ、一晩限りの相手で、それ以上の関係じゃないの。」

え?っと驚くオンマ。

「死ぬまで誰にも言わないつもりの秘密だった。それを、どうして、オンマが公表なんてするのよ。なぜよ?!」

内心、焦りまくってるオンマ。

「だ・・だから何よ。それのどこが悪いのよ?男と会うのが罪なの?」

「テレビ番組に、娘を売って幸せ?オンマは自分以外の人のことなんてどうでもいいのね。私が今までどれだけ辛かったか、どんな気分だったか、何も知らないでしょ。私のことなんか、どうでもいいんだもの。オンマは本当に私のオンマなの?」

「わかったわよ!これからは、番組であんたの話をしなきゃいいんでしょ。それで、母親のいないものとして、生きていきなさいよ」

「そうしたかったわよ。オンマが大騒ぎさえ起こさなければ、あんなリゾートで結婚式なんてあげなければ・・ううん、あんなビデオになんか出なければ、ううん、ふつうのお母さんでいてくれたら、こんなに最悪なことにはなってなかった。アダルトビデオ女優の娘として生きてくるのが、どれほど辛かったかわかる?」

 

~回想~

高校生のときに、友達にからかわれたり、噂されたり・・・、今回のことでも、必ず、その陰口がついてまわるユミ。

 

「私のことを、アダルトビデオ女優の娘といい続ける人たち相手に、どれだけ苦労したか。オンマは好きでやってたかもしれない。でも、私は違う。恥ずかしくて仕方がなかった。こんなふうに自分を覆い隠しても、みんなの前で、裸をさらしてるような気分だった。これ以上は我慢できない。おかしくなりそう。」

言い終えて、玄関を出ると、ヒョンテが立っていた。

「・・ユミ」

何も言わずに、外階段を駆け下りるユミ。

 

運転中のジヌク。

ユミの携帯は、依然電源オフ。

「イ・ユミ、どこに行ったんだ?」

 

傷ついたユミが頼るとしたら・・・ヒョンテの店に探しにきたジヌク。

ジヌクを見るなり、殴り飛ばすヒョンテ。

「おい、こいつ・・・」

「イ・ユミは、どこに行った?イ・ユミは、どこに行ったんだ?」

「俺は、線を越えるなと、お前に確かに警告したよな。ユミが傷つくのも、黙って姿を隠すのも怖れてたんだ。全部、おまえのせいだぞ。わかってるのか?」

心からユミを想うヒョンテの言葉に、言い返せないジヌク。

 

ひとり、涙をこらえながら、高速バスに乗るユミ。

不在着信32件、未読メール16件。

<イ・ユミさん、大丈夫か?これを呼んだら連絡してくれ>

<いまどこだ?>

<とにかく電話にでてくれ>

ジヌクのメッセージをみて、目を閉じるユミ。

 

傍らでドングが眠る中、オンマもユミに言われた言葉にショックを受けて考え中。

 

<私が今までどれだけ辛かったか、どんな気分だったか、何も知らないでしょ。私のことなんか、どうでもいいんだもの。オンマは本当に私のオンマなの?>

「そうよ。私が、お腹を痛めて生んだ・・大事な娘よ。」

 

ヒョンテと対峙するジヌク。

「どこに行くとも言わなかったのか?」

「すべてのことから逃げ出そうとしてるときに、お前なら言うのかよ?」

呆然とするジヌクに対し、ヒョンテがとうとう、目を閉じて下を向き、ため息をつく。

「海がみたいって、言ってた。お前たちが初めて会ったのは東海なんだろ。」

ハッとして、すぐに向かおうとするも、一旦、足を止めるジヌク。

「ありがとう」

「つかまえろよ。また、一度でもユミを泣かしたら。容赦しないからな」

「お前は、それでも離れないんだろう?」

急ぎ、ユミを探すために、その場をあとにするジヌク。

 

よくある(勝負ついてる)男同士の決着シーンなんだけど、やっぱり『ト・ボンスン』の、ミニョクとグクトゥの屋上での会話を思い出しました。うん、今となっては、グクトゥの切なさも捨てがたい。

 

運転しながら、焦りが止まらないジヌク。

 

~テボクの社屋厨房~

「ユミ先生、どうなっちゃうの?全国民から辱められて・・」

ウンジの言葉をさえぎるジェニ。

ジェニ「彼女はまた、移されるみたいよ。大丈夫かしら」

シンファ「電話してみたけど、電源切ってるみたいだ」

調理長「こういうときは、そっとしておいてあげるものよ。連絡を待ちましょう」

 

厨房の外から、チャン秘書がこっちを見ているのに気付いたジェニ。

「2人、大丈夫だよね」

不安でたまらないチャン秘書を、両手を広げてハグしてあげるジェニ。

子供のように抱きつくチャン秘書。

セクシー調理師は、母性の人だったのね(笑)

 

思い出の江原道の海に到着したユミ。

波打ち際に寄り添う恋人たちの後姿を見つめている。

 

3年前、せっかく来たんだから、楽しめよというジヌクのアドバイスどおり、つり橋や展望台を自撮棒片手に1人で巡っても、周囲はカップルだらけだったことを思い出すユミ。

 

「逃げだしてくるには、あんまりふさわしくない場所だったかも・・・」

 

相変わらず『ご注文はお2人様から』の看板を掲げる通り沿いのレストラン。

「はいはい、こんな時間に、空腹な私がわるいんですよね」

 

そこへ、店から出てきた従業員がぶちまけたバケツの水を全身にかぶるユミ。

「ああ、びっくりした。お客さんですか?」

「いえ・・その・・」

「じゃ、なんでそんなところに、突っ立ってるのよ!」

戸を閉めて、中に引っ込んでしまう。

あとに残されたびしょぬれのユミ。

あわてて駆け寄ってくれる1人の女性。

「あらあら、大変。びしょぬれじゃないの。あの人、いつもあんな調子なの。代わりに謝るわ」

「そんな大丈夫です。どうして、おば様が謝られるんです?」

「もしよかったら、うちの店で乾かさない?」

「え?」

「うわ、こんなに濡れて・・・」

 

「さ、これ」と、タオルを手渡す女性(ジヌクの実母)

「ありがとうございます」

「食事はすんだの?私、これから遅い昼食をとるんだけど、一緒にどう?」

「いえいえ、そんな・・・大丈夫です・・」

ギュルギュル~~

「うふふ・・・あなたのお腹は大丈夫じゃないみたいね、一緒に食べましょ」

「いいんでしょうか。ご迷惑ばかりかけてるみたいで・・・」

「アイゴ~、迷惑なんかじゃないわよ。1人より誰かと一緒に食べた方が美味しいのよ。さ、こっちに腰掛けて」

 

ジヌクもほどなく到着、ユミが見ていたように、海辺ではしゃぐカップルたちをみている。

 

「こういうの、好きかどうかわからないけど、食べてみて」

あわび粥を、ユミに振舞う女性。

「・・・おいしい」

「ああ、よかった」

「本当においしいです。このあわび粥の作り方の秘密はなんでしょう。どうしたら、こんなにおいしくなりますか」

「そんな・・・話せないほどの秘密なんてないわよ。ああ、あわびを茹でるときにね、あわびの殻でとった出汁でゆでてみて。殻からとてもいい香りがでるのよ、それに、鰹節をちょっと加えるの」

「ちょっと待ってくださいね」

メモをとるユミ。

「お料理が好きみたいね」

「上手じゃないですけど、好きなんです。私、栄養士なんです」

「あら、栄養士の先生だったのね」

 

ジヌクが、母親の好物のあわび粥の話をしたのを思い出すユミ。

 

「あわび粥が好きだっていう人のことを思い出しました。その人のお母さんが作るあわび粥が恋しいって言ってました。どこにいっても、同じ味のものは食べられないからって」

「そうなのね」

「いつか、そのおいしいあわび粥の作り方を見つけたかったけど、もうその人には作ってあげられないんです」

「その人のことが、とても好きなのね」

それには答えず、食べ終わったら、お皿を洗うと申し出るユミ。

微笑む女性。

 

ユミに似た後姿の人に声をかけ、謝るジヌク。

 

「休ませていただき、ご馳走にもなって、本当にありがとうございました」

「そんな、たいしたことじゃないのに。あ、そうだ、ところで、自転車には乗れる?」

「え?」

「うちに自転車があるの。乗ってみない?いろいろ見てまわるのなら、歩くよりいいわよ」

「本当ですか。それなら、ちょっとお借りして、帰るときに戻しておきます」

「そうなさい」

 

異様なほど親切なジヌクオンマ(笑)

 

早速、自転車で走り回るユミ。

ただ、何を見てもジヌクとの思い出がよぎって、一層、寂しくなる。

 

「どこだ?どこに隠れた?イ・ユミ」

探し回るジヌク。

場所を変えようと車に乗り込み、自転車のユミと、気付かぬまま、すれ違ってしまう。

 

とうとう、あの晩の浜辺にたどりついたユミ。

~回想~

ワインで気分が良くなり、砂浜で踊りだしたユミと、それを恥ずかしがるジヌク。

 

こんなに傷つくとわかっていたら、ここで、はじめたりしなかったのに。

逃げ出してきたくせに、なぜ、もっと傷つこうとするの?

いつまで、すでに失った彼を恋しがるの?

 

イ・ユミ、会いたいよ。俺の記憶から、決して消えない。

~回想~

<あ、これ見て。ナイス!お金見つけた!すごい!1989これは私が生まれた年よ。ラッキー。>

<まじで?君の一日が幸運だというには、あまりにもクレイジーだったと思わないのか?>

<百の悪い事が起こっても、たった1つの良いことが起これば、その日は幸運な日よ。この広大な砂のベッドの中で、500ウォンを見つけたわ。それも私が生まれた年だった、私はラッキーだったのよ。さぁ、贈り物よ。>

 

「見つけるまで、そこで待ってろ。」

 

自転車を押しながら歩いているうちに、ジヌクが車をとめた、すでに使われなくなっていた停留所に気付いたユミ、

~回想~

コンビニのおにぎりを食べるユミを。無視できずに、通りかかって行き過ぎ、また戻ってきたジヌク。

 

「そうよ、思い出を一つ一つ消していかなきゃ」

 

ん?あれは・・・

拾い上げた500ウォンが転がり、誰かの靴がそれを止める。

しゃがんだユミが見上げると、そこにはジヌクの姿が。

500ウォンを拾うジヌク。

「イ・ユミ。一日中、君を探すのに、どれだけ苦労したかわかるか?」

戸惑うユミを、ただ黙って抱きしめるジヌク。

ジヌクの気持ちは十分わかっているユミも、背中に手を回す。

 

「君のことが心配で死にそうだった」

「なぜ、こんなところまで来たの?」

「君は探すなと言った。君が永遠に姿を消しそうで怖かったから、思いとどまっていたのに・・・」

「なぜ、そんなに痩せちゃったの?」

「君のことが心配で、何も食べられなかった」

「なぜ、そんなバカみたいなことするの?」

「だからもう、俺から逃げるのは辞めてくれ」

 

波打ち際を歩く2人。

「前に、不眠症だって言っただろ」

「いいえ」

「ドングくらいの年の頃、母が突然出て行ったんだ」

 

~回想~

母の膝枕で横になってる幼い頃のジヌク。

オンマみたいな匂いがする。この毛布、オンマがいるみたい。

そうなの?

眠くなっちゃった。

そう、おやすみ。

 

起きたとき、いくら呼んでも母の姿はなく・・・。

 

「だから、ドングの世話をやいたのかもな。俺みたいになるのを恐れたんだ」

「まだお母さんのこと、許せませんか?」

「いや。母にも、彼女なりの理由があったんだろうと思えるようになった。 海のそばで生まれ育った人間にとって、苦痛だったのかも。どんなに大きな屋敷でも、海とは比べものにならない」

「私はまだ、母を赦せません。こうやって、全部母のせいにしてきたんです。母が、アダルトビデオ女優だってわかってから、ずっと、思春期の学生みたいでした。男の子たちに嘲笑されるのが心配で、息苦しいときも、服を着込んでくるまってた。 簡単な女に見られたくなくて、誰とも付き合わなかった。 単純でわかりきったロマンス小説に夢中になったの。バカみたいでしょ」

じっと黙って、ユミの顔を見つめているジヌク。

 

夜になり、浜辺で、子供たちと花火に興じるユミとジヌク。

 

「本部長・・いえ、チャ・ジヌクさんに出会えて、幸せでした。こんなに、素敵な人と恋に落ちるなんて、信じられなかった。夢のような時間でした。」

「そんなこと言うな。俺にとって、君は夢なんかじゃない」

ユミを、自分のほうに向けさせるジヌク。

「俺は、まだ、イ・ユミと一緒にやりたいことが、たくさんある。これから、君とそれをしながら、年をとっていくつもりだ。俺は絶対に君と離れない」

なんどもキスを重ねる2人。

 

砂浜に停めた車の中で、寄り添って眠るジヌクとユミ。

ユミが目を覚まし、眠るジヌクを見つめながら、再会してからの自分たちのことを思い出す。

 

ああ、またよからぬことを考えているわね・・・。

 

<ありがとう・・・。私の最初で最後の恋は、あなたです>

ジヌクにそっと口付けるユミ。

 

 

[Epilogue12-1:あなたと離れて]

オフィスのデスク周りを整理するユミ。

誰もいないオフィス、ユミのデスクに腰掛けるジヌク。

すでに彼女は去った。

すごく会いたい。会いたくておかしくなりそうだ。実感はわかないのに、涙は溢れてくる。

こんなんじゃだめだ。彼女のことは忘れるんだ。

 

[Epilogue12-2:恋人たちはお互いにすれ違う]

同じ時間に同じ場所で、すれちがう。

自転車のユミと、車で探すジヌク。

 

[Epilogue12-3:コインに]

いまや、何の意味もないってわかってるけど、コインに祈りましょう。

表か、裏か

コインを投げて、一方は失い、もし、もう一方であれば、ずっと一緒。

お互いに阻止できなければ、永遠に一緒にいる。

 

コインに祈ってみよう

ささいなことだとわかっていても コインに祈ってみよう

君は表、俺が裏

コインを投げて、一方は失い、もし、もう一方であれば、ずっと一緒。

お互いに阻止できなければ、永遠に一緒にいる。

 

 

★切ないロマンス エピソード13 “最終回”につづく★

ラス前にも関わらず、なんか普通のテンションなんですが、いいのかな?

いや、よくないはず・・・。(苦笑)

 

チャン秘書のアシスト、さらにそのチャン秘書を包み込むジェニの包容力・・・良かったです。

 

ジヌクのオンマ、美人で品があって、物言いも穏やかだから、さら~~っと見ちゃうけど、あれが普通の食堂のアジュンマだったら、相当、おせっかいだけど、人柄のあったかいおばちゃんキャラだよね。

 

しかし、一度も、心からの笑顔を見せてないあたりからも、まだユミが、ジヌクとともに生きていく覚悟を決めていないのはあきらかで。

そんなユミのオーラに、ジヌクは不安を募らせるばかり。

それでも、ユミを見つけて、ほっとしたのか、車の中で眠ってしまう痛恨のミス・・・。

 

すべては最終回に照準を合わせてますね。

さて、納得のいく終焉をむかえられるのでしょうか?

でも、なんとか完走は出来そうです。チョキ