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■     切ないロマンス(じれったいロマンス) エピソード6(1):行こう

 

ユミをおいかけてきたジヌク。

「これはアクシデントだ。決して意図的ではなかった」

「本部長。本当に申し訳ありませんでした。」

頭を下げて、ジヌクに謝罪するユミ。 

そんなユミに、急に謝られて混乱するジヌク。

「なにをやってる?」

「心の底から謝罪したいと思います。あなたのプロポーズを台無しにして申し訳ありませんでした。」

「どういう意味だ?プロポーズって?」

「宝石箱のことです。私が、チュ・ヘリさんへの贈り物を壊したので、怒っているんでしょう。もう一度、心から謝罪したいと思います。」

一礼して去るユミ。

 

チュ・ヘリの電話を無視するジヌク。

「これ、どうしましょう」

チャン秘書とジヌクの視線の先には、ユミのランチセットが・・・。

 

休憩中、元気のない様子のユミを気にしている調理長。

 [週間献立表:10月16日~10月27日]

 

チャン秘書からの電話に、わざと元気よく出るユミ。

「はい、20 人分のお弁当でしたら準備しています」

 

「今すぐ病院に来てください。」

「病院? ・・・本部長が?」

 

タクシーで、Daebok病院に駆けつけるユミ。

 

~病室~

「どうしましょう・・。何が起こったんです?本部長・・・」

「なぜ、ここに来た?」

「私が彼女を呼びました。本部長は、彼女のお弁当によって、胃腸炎を起こしたので。」

「私の昼食のせい? チュ・ヘリさんのではなくて・・・」

「私は2個半のサンドイッチランチを食べ、そして、本部長は3個半を食べました。その後、突然の激痛を感じられたため、病院に運んだんです。私は、主治医と話してきますね。」

 

呆然と立ったままのユミ。

「戻らないなら、なぜ、座らない?首が痛い。」

いままでの入院とは違い、本当に具合の悪そうなジヌク。

「本部長、本当に私のお弁当をいくつも食べたんですか?なぜ、そんな馬鹿なことを?捨てればよかったのに・・・。」

「だって、君は、俺が一口も食べずに、君の料理を捨てたことに激怒しただろ。まさに、俺のオフィスの前で。」

 

~回想~

ジヌクの指示で料理を捨てていたナ秘書を見かけたユミ。

<食べ物を無駄にしないように、彼に伝えてください。何が食べたいのか、どこがイヤなのか、言ってくれなければ、どうしようもできません。>

 

「ああ・・・本部長がそれを見ていたなんて知りませんでした。」

「君は、鼻の穴をふくらませたクマみたいだった。君には侮れない力があると思ったんだ。イ・ユミさん」

ちらりと、ユミの服装をチェックし、ユミとは反対側に顔を向けるするジヌク。

「今日は、彼とデートじゃないようだな?」

「彼は私の彼氏じゃありません。彼はただの友達です。親友です。それに、私たちは一緒に住んでいません。彼は一階の店舗のオーナーで、私は二階を借りています。」

目を閉じていても、口角があがるジヌク。

「本部長は誤解してます」

「じゃ、なぜ、彼はあんなふうに振舞ったんだ?」

「本部長が私に叫んでいたので、彼は友人として私の側で守ろうとしたんだと思います。」

「男と女の間に、友情なんてあるかよ」

「彼は、男じゃなくて、ただのジョン・ヒョンテです。」

「君も誤解してる・・・。チュ・ヘリとは何の関係もない。そして、あの宝石箱、彼女とは何の関係もない。主人公は、別にいる」

「主人公?」

「そういうことだ・・・主人公」

眠ってしまうジヌク。

ジヌクのふとんを掛けなおすユミの様子を、ガラス戸越しに見ているチャン秘書。

その手には・・・処方薬の袋 [内科:チャ・ジヌク 鎮静剤] 。

 

ユミの手を握り、眠りに落ちるジヌク。

夜まで病室にいるユミ。

「もう、病気にならないで。」

ジヌクの髪をなでるユミ。

 

食材を運ぼうとしている調理長を見かけ、制するユミ。

「ああ、私がやります。調理長は腰を痛めていらっしゃるのに」

「・・ん」

「昨日、献立表を完成できませんでした。申し訳ありません。本部長に突然呼ばれてしまって・・・本当に申し訳ありません。」

「今日には終わらせて」

「はい。」

「私も昨日は言いすぎて悪かったわ。私の腰のせいなの。手術を受けなければならないのに、そな時間もないし。理解頂けるとありがたいわ」

「大丈夫です。」

「でも、今日のあなたは、とても明るく見えます。いつも死にそうな顔してるのに・・・彼氏でもできた?」

「えええ?いいえ。とんでもないです! 彼氏なんていません!」

 

「どうしちゃったの?ただ、いないって言えばいいだけなのに」

 

~病室~

着替えているジヌク。一日で退院ね。

「先日は、栄養失調で入院し、今度は食べ過ぎで運びこまれるとは・・・」

「会社には誰にも言うな。会長にでも知られたら、面倒だ。」

「かしこまりました。一晩中ぐっすりと眠れたのは、ひさしぶりでしたね。彼女は、家に戻る前、夜遅くまで本部長に付き添ってましたよ。栄養士さんについて話していますが・・」

「何?別に聞いてないぞ。仕事に戻る前に、自宅でシャワーを浴びるぞ」

「かしこまりました。」

 

~車中~

「昨日、キャンセルした会議の準備をするから、詳細を教えてくれ」

「かしこまりました。」

<彼女が夜遅くまで滞在?>

<「もう、病気にならないで。」>

ユミにそっとキスされたような・・・

<あれは、どういう意味だ?>

<夢ではなかった?>

悩んでいるところに、ユミが、朝食用のサムゲタンのお粥を持って入ってきました。

「もう大丈夫ですか?」

「ああ」

「では、失礼します」

「いや、座って。」

向かい側に座るユミ。

「責任を取ってください。」

「え?何の?」

ユミの背後に回るジヌク。完全にバックハグ状態です。

<これって何ごと?>

「俺が胃腸炎になったこと、そして、その結果として、仕事に巨大なトラブルを引き起こしたこと、俺の個人的な栄養士としての義務を果たしていないこと・・・そのすべての責任を取って。宝石箱のことも忘れないようにしないと。これらすべてを一気に解決してみよう。」

「どのように私はお返事すれば・・・」

「俺と一緒に食事しよう。」

「私と食事って・・・何ですって?」

「申し訳ないと思うなら、俺と一緒に食べろ」

「話にならないわ」

「イヤなのか?」

「いいえ。そうではありませんが・・・私は、別に間違ったことはしてなくて・・・本当に本部長は、一緒に食べるように求めてるんですか?」

「だから言っただろう。理由は、君が作る食べ物を信頼することができないからだ。俺と一緒に食べるように求めているのは、わずか10回。それ以上でも以下でもない。」

ジヌクから目をそらすユミ。

「ちょうど、俺の宝石箱は百万ウォンの価値があったとしよう。そして、1回10万ウォンの修理代金返済として、それぞれの食事として考ればいい。単に君にチャンスを与えているんだ。君次第だ。仕事を辞めたいか、または、俺と一緒に食事するか?」

 

自分の席に戻ってきたユミ。

「これは一体どういうこと?彼は食事の時間で、私を拷問しようとしてるの?

 

<チャン・ウジンです。もし夕食がまだでしたら、ご一緒にいかが?>

<話したいことがあります。もし、忙しければ、また次回にでも。>

チャン秘書からの誘いに、急いで返信するジェニ。

 

まだ、病室での夜のことを考えているジヌク。

<あれは夢か?私が知らない何かがある。そうだ。10回は十分すぎる。たとえ、おいしくても、10回以上食べれば、相当疲れるはずだ。>

 

<あなたはお疲れでは?私は無条件でOKです。ケブルと焼酎でコール?>

ジェニからの返信に、おもわずガッツポーズのチャン秘書。

ごめんなさい。ケブル(ユムシ)は、私にはハードルが高いかも。。

 

「今日は7時に・・」

一瞬で切り替えるチャン秘書。

「7時に、車を用意して、美味い店を見つけてくれ」

「おいしい店?」

「今日は何か予定があったか?」

「ええ。予定あります!」

「おまえじゃない。俺。誰がチャン秘書と一緒に食事するって言った?」

「ああ、本部長は商談が入ってますが、さほど緊急ではありません」

「じゃ、明日に延期して。」

「かしこまりました」

「あ、それから・・・それは、派手すぎるぞ」

「なんのことですか?」

「チャン秘書の服。派手すぎる」

「この服は、私の誇りとサインのようなものです。台無しにしないでください。」

「好きにしろ」

 

<だから言っただろう。理由は、君が作る食べ物を信頼することができないからだ。俺と一緒に食べるように求めているのは、わずか10回。それ以上でも以下でもない。>

<単に君にチャンスを与えているんだ。>

ジヌクのことばを思い返すユミ。

 

「ちょっと待って。私は食事に誘われて、こんなに侮辱されたことははじめてよ。彼って、聞いた人を必ず不愉快にさせる言葉を知ってるにちがいないわ」

「どうかしたんですか?」

独り言にしては大きいユミの呟きを気にするウジン。

「ああ、一瞬、考え事してたわ」

 

待ち合わせは、今夜7時、会社の前。

ジヌクの車に乗り込むユミ。

「考えたんですけど・・」

「何が食べたい?フレンチ、日本食、韓国や中華?すべて予約済みだ。食べたいものを選んでくれ」

「私はこれが正しいとは思いません。」

「何?何が正しくないのか?君が責任を取ると言い、俺は君にチャンスを与えた。」

「正確には、私はあなたの栄養士としての責任を取ることに合意したんです。」

「それで? 」

「私たちが、どこで食べるかは、私が選びます。私は栄養士だから。だから、デートじゃないって言ってるんです。仕事の一環です。」

「おい、いつデートだって言った!いいだろう。イ・ユミ栄養士・・・どこで食べるかは、選んでくれ」

 

「じゃ、ここを右折してください」

「右折ね。行こう。」

急にハンドルを切った勢いで、ジヌクの太ももに倒れこむユミ。

高級車のくせに、“あんじょんべると”が役に立ってないけどいいの?(笑)

うっかり触れてしまったジヌクの太ももから慌てて手を離し、フリーズするユミ。

「私の太ももは、多くの人々を驚かせます。」

「注意して運転してください!! 」

ジヌクの肩を叩いて抗議するユミ。

「君は、今私を叩いたのか?」

 

「ここか?」

どじょう汁専門 추어탕  전문

 

「(外見は)魅力的に見えなくても、ここは有名なレストランです。」

「私は、君も知ってのとおり、かなり好みにうるさいほうだ。私は、非衛生的な場所が嫌いだ。床に座るタイプの店のようだが。そんなの無理だ。この長い脚を見ろ」

無視するユミ。

「イ・ユミさん、イ・ユミさん。待って!」

 

跳ね防止のエプロンを手渡すユミ。

「こうやって首にかけてください。本部長のきれいで高価な服が汚れないように。」

「俺はよだれかけなんていらない。結構です。」

「誰もが、ここではこうするんですよ。そんなに大したことないのに。もしかして、ドジョウスープ食べるのはじめてですか?」

「はじめてだ・・・と同時に最後だろうな」

「試してみてください。身体が弱ってると感じたときには、これが最高なんです。これは、刻んだシソの実です。お好みに合わせていくつかを追加してくださいね。私はいっぱい入れるのがすきなんです。」

ユミの真似をして、一口食べてみるジヌク。

「美味しいでしょ?」

「ええ、見た目よりはましです。」

「さぁ、今度はそこにご飯を入れて混ぜます。そして、カクテキ(さいの目に切った大根キムチ)と一緒に試してみてください。最高ですよ」

「なにをさせたいんだ?」

「ご飯のあなたのボウルを追加します。ね、こうやって・・・」

カクテキがボチャン。

「もう!カクテキのせいで・・・」

当然、ジヌクのワイシャツに染みが・・・。

「だから言ったでしょう?私はエプロンを付けるようにって。じっとしてて。」

何のためらいもなく、おしぼりで染みを拭くユミ。

「イ・ユミさん、君は何してる?なぜ、君は俺の許可なく、男の胸に触れていますか?」

「ああ、そんなつもりじゃなくて・・・」

「君は、車の中でもそうだった。こういう接触について恥ずかしくない人なんだな」

「私がいつ?!」

 

「うん、うまい」

 

店の外に出てきた2人。

「手を出して」

「また、ずいぶん積極的だな」

「食べて。消臭用の飴です。」

 

「それは何でしょう? 」

「ああ。持ち帰り用のドジョウスープを頼みました」

「誰のために?まさか・・・」

「彼ではありません」

「じゃ、それは何ですか?」

「私の母のためです。うちの母はここの常連客です。」

「君は、お母さんと一緒に住んでるのか?」

「はい、最近そのようになりました。」

「それは良かった」

「え?」

「いいえ、なんでもない。行こう。」

 

~帰りの車中~

「君は、母親と仲が良いんだな」

「いいえ、私たちは毎日けんかばっかりです。数日前にもケンカしました。本部長はどうですか?」

「母についてあまり覚えていないんだ。幼いときに、両親が別れ・・」

「あっ、すみません。」

「俺の母・・・江原道に住んでる。アワビのお粥が好きで、作るのも好きらしい」

「次回は、アワビのお粥を食べに行きましょうか?」

「結構だ。どっちにしろ、私の母のお粥と比較することはできないから」

ジヌクをじっと見つめるユミ。

 

「家まで送ろうと思ってたのに」

「ドング・・・いえ、飼い犬のための食品を購入する必要があって、店に寄らなければなりません」

「それじゃ・・ここで。」

走り去るジヌク。

「私は、オンマを養うべきじゃないわ」

 

家に帰り着き、着替えるときにワイシャツの染みに気付くジヌク。

<じっとしてて>

<もう病気にならないで>

 

<あれは夢だった?だが、良い夢だった。>

 

どじょう汁を食べながら、ライバル女優の出演ドラマを見ているオンマ。

「ちょっと、彼女の巨乳を見て!ああ、彼女、しわも取ったわ。彼女は彼女の顔面にお金をつぎ込んでるのよ。でも、何でドングのおやつと、私のためのドジョウスープを購入してきたの?」

「食べるか、呪うか、どっちかにして。」

「あの女が、女優になれたのは私のおかげよ。私が、あんたを妊娠して、あんたの父親と結婚してなかったら・・・、私は「バーストになるだろう2」で主演してたわ。だって、そうやって、彼女はスターになったんだから!」

「だから、いつも私が言ってるでしょ。なぜ、オンマは妊娠したの?オンマは「バーストになるだろう。」の続編を全部やるべきだった。」

「どうして、彼女が私よりも良いのよ?顔も体をもあらゆる方法で優れてるでしょ。」

 

翌朝、早く起き出して、身支度をするオンマ。

化粧も服もバッチリ。

「うわー、今日は美しいですね。どこかお出かけですか?」

「ああ、古い友人をたずねて、放送局に行くつもりなの。ヒョンテ、そこまでエスコートしてくれない?」

「いいですよ。お送りします。」

 

スクーターに二人乗り。

ヘルメットを脱ぐオンマ。

「あら、髪が・・・。あ、でも、ユミには黙っててね」

「ああ、はい。」

意気揚々と放送局に入ってくオンマと入れ違いに現れたのは、チュ・ヘリ。

「ちょっと!すみません!あなた、そうよね?お店からきた人でしょ?これ、持って言ってね」

いつもながら一方的なユミ。

提供衣装の返却と間違ってる?

「あの・・・すみませんが、待ってください!」

「ああ、ごめんなさい。わたしったら。事前に支払わなければならないのよね?お釣りは返さなくていいわ。」

「すみません、そうじゃなくて・・・」

「ごめんなさい。写真ならまた今度。私は生放送を撮影しなければならないので、もう戻らないと。ごめんなさいね。ありがとう」

 

「あの女性は誰だ?」

 

★切ないロマンス6話(2) に続く★