■ 『ポンダンポンダンLOVE』前編(2)
久しぶりに身体を動かして、楽しそうに笑うダンビ。
息があがっているものの、同じように身体を動かして爽快そうな世宗。
寝転んだまま、おもわず、ポンと隣のダンビの胸を叩く。
ハッとなる2人。
「正直に言え。余を騙すな」
ダンビに覆いかぶさるように、半身を起こす世宗。
世宗に至近距離で見つめられ、ドキドキが止まないダンビ。
「走ったせいで心臓が跳ねてみたい・・・」
「それじゃない、出せ」
きょとんと考えるダンビ。
「ああああ~~、これのこと? な~んだ、すっかり忘れてました」
懐から、最初にもらったみかんを差し出す。
触られたのはみかんだったかどうかもわかんない・・・わけないよね?(笑)
「もうよい。帰るぞ。」
先に立ち上がる世宗。
「忍びで外に出る。帰る方向が一緒であれば、ついてくるか?」
差し出された世宗の手を取り、立ち上がるダンビ。
「もう退宮時間をすぎてますけど」
「そんなものは王の自由だ」
世宗の逆襲(笑)。
「ここで待ってろ。王命だ。」
うなづくダンビの笑顔が、世宗には見えてないけど、可愛いの。
日頃、着せてもらってばかりの世宗、外出着に着替えるのも四苦八苦。
内官長の申し出も断る世宗。
お忍びって、一体誰に対してだったのかな
世宗を待ちながら、みかんに顔を描くダンビ。
鏡を見ながら、妙に浮き足立っている自分に気づき、胸に手をやる世宗。
<ふだんはわからなくても、好きな人にときめく時とかに、ここに心臓があるなってわかるんです>
待ちくたびれて眠ってしまったダンビを、ヨンが迎えに来ました。
「こんなところで寝てると冷えるぞ」
このとき、ヨンが自分の手じゃなくて刀を向けるの。もちろん、鞘におさまった状態だけど、それにつかまる感じで、ダンビが立ち上がるのね。おもわず、ずっと持ったまま、連れられていくのかと思ったけど違ってました(笑)。
まだ来ない世宗に、後ろ髪を引かれながら、とぼとぼと、ヨンと一緒に帰宅するダンビ。
まだ心臓に手を当てている世宗。あわてて。鏡を伏せる。
くすっ! こういう恋の気付きの瞬間、大好物。
自分の娘、王妃に世継ぎを生ませたい大臣。
王の食事に媚薬を含ませる。
「いかに王が聖君といえども、結局はひとりの男にすぎぬ。この父が床をともにさせる準備をいたしました」
王の好物トッポッキに、たっぷりと強壮剤がふりかけられる。
いつからお食事は、ダンビと2人っきりで取るようになったんでしょう。
箸をダンビに渡し、自分は本を読み始める世宗。
黙って、王の食事をもぐもぐと食べ始めるダンビ。
ああ、この雰囲気、『お昼12時のシンデレラ』(大陸ドラマ)を思い出すわ~~。
「昨日はかなり待ったか?」
「ちょっとだけ」
嘘をつくダンビ。
ちらりとダンビを盗み見る世宗。たまっていた書類に目を通すために、約束を守れなかった。当分、忙しいから外に出られないと、誤魔化す。
「ところで、世話になっている先では、十分な食事も出ないのであろう。他の宿に変えたらどうだ?」
くぅ~~~~。
ヨンのところに身を寄せてるのは知ってるはず。男所帯に置いておくのが急に心配になりましたね。
「え?」
「ま、余には関係のないことだが」
昨日、渡したかったみかんをそっと袖に隠すダンビ。
<王様が来られなければ、自分から行くのです>
父親に発破をかけられ、行動を起こす王妃。
「3.14だから、広さはπの2乗、それを高さにかける・・」
ぼ~~っとダンビを見つめる世宗
「聞いてます?」
「ああ、そういうことだったのか、πといったか?」
王妃が世宗の部屋の前に。
「来たと伝えよ」
「王妃様がお見えです」
はっと振り返るダンビ。
まるで、密会を見つかったかのような二人の表情。
「ここに来た理由はわかっておるが、まだ日課が残っておるのだ」
そこにいたのは、世宗ひとり。
ダンビ、隠れたようです。
「何にそれほど、熱中されておいでなのです?どうせ、日照りと干ばつが続けば、何を学ぼうと一緒ではありませんか」
王の前で、服の結びを解こうとする王妃。
強壮剤入りのトッポッキを食べたのは、ダンビでした。
意識が朦朧となるダンビ。
王妃の手を止める世宗。
「聖君ぶらないでください。王様も結局は権力争いをされる方。」
「聖君になる前に、必要なのは権力だ。だからこそ、負けたくないのだ」
紐を結びなおす世宗。
「王様。わたくしは、さびしいのです」
すがりつく王妃に自分を見るようにいう世宗。
「そんな恐れ多いこと・・・」
「構わぬ」
恐る恐る世宗を見上げる王妃。
「ここ宮中に、寂しくないものなどおらぬ。無理に来なくともよい」
涙ぐむ王妃。
そこに、限界を迎えたダンビが、ふらふらと出てきて、ぶっ倒れるところを世宗が抱きとめます。
「コサマ、どうした?おい。顔が真っ赤だぞ」
やさしく抱きしめ、必死に呼びかける世宗の姿に、ショックを受ける王妃。
「どこか具合が悪いのか?しっかりしろ」
怒りに満ちて、部屋に戻る王妃。
おそらく、そんなことに気も留めてない世宗。
「困ったな、医者は呼べないし・・・」
女の子なのがばれちゃうもんね。
「エアコン・・・」うわごとのように呟くダンビ。
暑いのね。
「お化けの夢見ちゃった」
完全に媚薬にやられ、ちっちゃな女の子みたいな口調で、世宗に迫りだすダンビ。
「こんなにイケメンなのに、なんで性格は最悪なのかしら」
頬擦りされても必死に我慢の世宗、外の廊下には、みな控えているのに、大声出されてはたまりません。
「頼むから静かにしてくれ!」
口を押さえ込んだら、急におとなしくなったダンビ。
焦って呼吸を確かめようと顔を近づけた世宗に、またしても、抱きつくダンビ。
「本当にひどいわね。雨が降ったら帰ってやるんだから。毒薬でもなんでも持ってきなさいよ」
「無礼な奴め。 好きで近くに置いていると思うか」
はい!
「私は、すこし好きよ」
酔っ払ったときのように、本音が出たダンビ。
強壮剤にそんな成分入ってたのかしら、昔は。
ダンビを見つめてしまう世宗。
「でも、私はただの高3で、あなたは王様でしょ。花よりかっこいい王様」
言いたい放題のダンビに呆れる世宗。
「しかたなく置いてやってるんだぞ。雨が降ったら終わりだ」
世宗の腰に抱きつき、甘えるダンビ。
「ん~~ん~~ん、雨が降ったら帰るわよ。家に帰るんだから。もう疲れちゃった。帰って気楽に暮らしたい・・・」
すこし寂しげな世宗。そのまま眠りに落ちたダンビ。
横抱きにしたダンビにキスしようとして、途中で我に帰る世宗。
「一体、何を・・・」
ダンビを抱き上げ、自分の寝所に寝かせる。
夜が更けて、ダンビが目を覚ましたときには、世宗の胸に寄りかかっていました。
「死にたいのか?酒でも飲んだのか?」
「・・・よく覚えてません」
「夜が明ける前に、王宮から出るのだ」
ぱっと身を起こすダンビ。
「すぐ帰ります!」
「一緒に行こう。」
「え?」
「送っていく」
何気ない一言にも、ドキドキするダンビ。
城門を出る二人。
「昔は世子(皇太子)になるのが夢だった。世子から王になれば何でも出来ると思ったが、それで終わりじゃなかった。宮では位が上がれば上がるほど、忍耐を強いられる。」
※このへんは、別途「世宗大王」系のドラマをご覧ください。
「うわぁ。朝鮮時代の王は楽なのかと思ってました。」
「余の願いが成就すれば、官位を与えよう。立派な瓦屋根の家と馬も用意してやる」
「要りませんよ。どうせ馬には乗れませんから大丈夫です。どっちにしろ、雨が降れば帰りますからね」
「では、今 いうべきだな」
ぐっとダンビの肩を抱き寄せ
「いろいろ感謝しておる。おまえのおかげで最近は楽しく過ごせている。ありがとう」
「私だって、頭が悪いのに、誰かに教えるなんて楽しいです」
照れくさそうに答えるダンビ。
「お前の頭が悪いというなら、一体誰ならいいと言うのだ。いっそ友になるのはどうだ?これからは余を王と思わず、朝鮮の一人の男として友になるのは・・。」
「友ですか?・・・ええ、そうしましょう」
家に帰り着いていたふたり、
「ここか?」
想像以上のボロ屋で驚いたみたい。
「馬はともかく・・・瓦屋根は必要だろう」
だから、ヨンだって住んでるんだってばよ・・・。庶民は瓦屋根なんかに住めないんだって!
「じゃ、あした会おう」
行き掛ける世宗を「あ、待って、チング(友)・・・」と呼び止めるダンビ。
みかんをぽ~んと渡す。
うれしそうに受け取る世宗。
世宗を見送っていると、「ぬな~~(お姉ちゃん)」塀の向こうで弟くんが、ダンビのブラを頭にかぶってる(笑)。
「し~~」
あわてて、口を押さえて、ブラも取り上げるダンビ。
弟くんが起きてたってことは、そんなに遅い時間でもなかったのかな。
世宗とダンビをつけていた間者。
王妃の父と、もう一人の高官が密談中。
「天の子を殺さずにそばに置いただと?」
「うちの王妃様をないがしろにするとは許せぬ」
「いずれにしろ、王を欺いた大罪人ではないか。いつ殺してもかまわぬであろう」
夜中、いきなり引っ立てられるダンビ。
「大罪人をこちらへ」
何がなんだかわからないうちに、突然、縛られ、役人たちから、筵に跪かされるダンビ。
「王妃様を愚弄するとはなんたる不届き者。目をくりぬく刑に処すべきです」
同じころ、世宗も、高官から詰め寄られていました。
「なぜ大罪人をそばにおいていたのか、ご説明ください」
うんざりした面持ちで、学識のある高官に合図を送る世宗。
「入れ」
呼ばれたのはヨン。
「これは、降雨計、降水量を正確に測ることが出来る器です。」
「おまえが作ったのか」
「はい」
「もともとは飲料用の器でしたが、天の子の言葉を聞き、改良したものとか。」
「これだけではない。あのものは驚くべき知識を有している。気候の理(仕組み)を知るために傍に置いたのだ。その道具の使い方もそのものが知っておる」」
「王様、日照りは続いております。祈雨祭を中断させ、王妃様を愚弄した罪で厳しく罰すべきです。ご了察ください」
「「「「ご了察ください」」」」
「刑を執行しろ」
四肢と首に縄をかけられるダンビ。
「干ばつのときは太陽を責め、洪水のときは雨を責め・・ほかに何もしないのか?民は飲み水もないのに、私は金のさじで肉を食べている。干ばつのときは雨に備え、洪水の時には干ばつに備える。それが民を守る我々の役目ではないのか?」
世宗の言葉をじっと聞く高官たち。
「そこまで、民のことをお考えになられているのでしたら、ここでお話になるのではなく、その実力を確かめるべきです。王様のおっしゃるとおり、長い干ばつの後の雨に備えるのです」
八つ裂きの刑だったの?
縄が強く張り、宙に浮くダンビ。
そこに、間一髪、ヨンの剣が縄を切り・・・地面に落ちるダンビ。
ヨンの片手には、刑の執行停止の王命が・・・。
「曇りの日でも時間を知ることが出来れば、民はどれだけ助かることでしょう。」
難題を突きつける高官。
「太陽が出ていないときに、どうやって時間をはかるのだ」
さすがの世宗も、簡単には答えは見つからない。
この国の太陽、すなわち自分だ
「これは、天の子ではなく、王様を試しているのです。半月では無理です。あの者は用済みです。捨てねばなりません」
そんな会話を立ち聞きしてしまうダンビ。
「もう王様には会えないな」
「私はそんな特別な人間じゃないのに・・・」
家に戻された失意のダンビ。
「ただの高3なのに、本当に殺されちゃうのかな」
「ああ。俺やお前のようなものが、簡単に捨てられるのは当然だろう。イヤなら、問題でも解いてみるんだな」
「もう一度助けてくれたら、部屋代は私が払います」
「俺だって、お前を利用したに過ぎない。自分で解決しろ」
・・・と冷たいことを言われても、すがりつくのがダンビの生命力の源。
立ち上がったヨンの手をつかんで離しません。
「ん~~」
子犬のようなウルウル目&上目遣いでヨンを見つめるダンビ。
ははは、ヨンが設計図片手に、なんか作ってるし(笑)。
半円にした竹筒に水を通しているダンビ。
一人で、つまらなさそうにご飯を食べ・・・ようとして、すぐ箸を置いてしまう世宗。
リュックから、定理集を取り出し、計算を始めるダンビ。
夜、そのまま転寝しているダンビのもとに、世宗がたずねてきました。
ダンビの寝顔を見つめる世宗。
目を覚ましたダンビ。
計算を書き込んだ紙のすみに、自分が世宗にあげたみかんに描いた顔の絵が描かれているのに気づき、世宗の姿を探しますが、もうそこに彼の姿はなく・・・。
鼻血を出すダンビ。
<鼻血なんか出したことないな>
現代にいたころは、そんなダンビでした。
なかなか、アイデアがまとまらず、焦りが出てきている
ダンビのパーカーを抱きしめて眠っている弟くん。推定4~5歳。
ヨンが、引き剥がして、その柄をまじまじと見つめています。
広場で、ボールを蹴る世宗。
~回想~
講義中、一生懸命話すダンビを見つめて、気づかれそうになると書物に隠れたり。
最初に送っていこうとしたあの晩、あわてて戻ったら、ちょうど、ヨンに連れられたダンビが出て行くところだったこと・・・。
媚薬騒動で、自分の胸にすがり付いて眠るダンビの背中をやさしくトントンしたり・・・(ダンビ、ぱっちり目開いてたね。(笑))
思い返して、ダンビ恋しさが募る世宗。
何度蹴ってもゴール出来なかったボールが、ようやくシュート!
~回想~
ダンビは用済みだと役人に言われたとき
「その時間があれば十分だ。あの者なら必ず出来ると信じている」
世宗の答えはこうだったんですね。
「x=7.68・・・解けた。すごい」
おもわず自分に感心するダンビ。
広場に寝転んだ世宗の顔に水滴が・・・。
「雨だ・・・」
手の平で雨粒を受けるダンビ。
<雨が降れば去ってもよい>
まだ寝転んでいる世宗。
<雨が降れば帰りますからね>
ダンビの声に立ち上がり、走り出す世宗。
♪カジマ~~
本降りになり、制服に着替え、帰り支度をしたダンビ。
水溜りを見つめる。
そっと足を入れてみる・・・深く入っていける感触。
ヨンの家に龍衣のまま、来ちゃった世宗。
そこに、ダンビの姿はなく、雨にぬれた水時計の設計図が残されているだけ。
油性だったの?あのサインペン(笑)
ダンビ、王宮で水時計本体を組み立ててました。
「また違うわ・・・」
計算どおりにいかず、誤差が生じるようです。
そこへ駆けつけてきた世宗。
暗い表情のダンビ。
「水で時間が計れると思ったんです」
~回想~
雨漏りのスピードと秒数がリンクし、「3・・2・・1」のカウントダウンと同時に終業のチャイムがなったことをイメージしていたダンビ。
「時間がたてば水は溜まるから・・・。今まで死ぬ気で、なにかをがんばったことなんてありませんでした。がんばっても出来なかったから。もっと無力感に苛まれるから。でも、今回は本当にがんばりました。本当は数学が苦手なんです」
泣き出すダンビ。
近づく世宗。
「大丈夫だ。余も相当努力をしたが・・・」
ダンビの手を自分の胸に当てると、その鼓動が伝わる。
「答えがでない」
そのまま、ダンビを抱き寄せ、抱きしめる世宗。
世宗の胸の中にすっぽりと包まれたダンビの目には、地面の水溜りが見えている。
いま、この手を振り解いて、あの水溜りに飛び込めば、元の世界に戻れる・・・。
背中に回した手で、世宗を抱きしめるダンビ。
さくさくと話がすすむので、ストレスフリーです。
惹かれている点では、一歩リードの世宗。ダンビが女の子であることもわかった上で、自分の鼓動も確認済み。
かたや、はからずも、ぶちまけたダンビの本音には、世宗に芽生えた憧れだけでなく、現代に帰りたい理由として“精神的疲れ”もあげています。
それでいて、本能的に世宗に甘えまくりです。なんてかわいい。理性と闘う世宗もね。
話は、ダンビが過去で成し遂げることになってしまった『水時計』の製作に絡んできました。
多分、気持ちのどこかで、雨さえ降れば現代に帰ればいいんだから、と、あくまでも一時的な滞在のつもりでいたのに、“死罪”を突きつけられたことで、文字通り、死ぬ気でがんばる対象が出来てしまったダンビ。
人生がかかった受験を逃げ出しても、結局はどこに行っても、眼前に壁は立ちはだかる。
だから、今度は、雨が降っても、世宗の腕を振りほどかず、今は残ると、彼を抱きしめることで伝えるところとか、結構、トキメキ以外の部分も、自然とダンビを応援したくなります。
後半は、王妃もカッターナイフも大活躍