■ Episode18(2) 望もうが望むまいが
ハンソンを抱いて、大広間に入ってくるソヌ。
講義中、談笑していた皆が、一斉に立ち上がる。
ゆっくりと ハンソンを下すソヌ。
皆が集まってくる。
ヨウル「何? どうしたの?」
血のついた袖。
ヨウル「どうしたんだ? おい、どうしたんだよ」
泣き出すヨウル。
ウィファが、深いため息とともに、ハンソンの脈を確認する。
言葉もなく立ち尽くす花郎たち。
タンセが、死のうとしているところに、ソヌがやってくる。
「生きてなどいたくないだろう。でも、死んだらだめだ。俺もわかる。その気持ち」
顔をゆがめるタンセ。
「これを あいつが、じいさんにあてて書いたらしいが、俺には、お前に宛てて書いたように思える。」
両手で受け取るタンセ。
立ち去る際に、「それから、言っておくが、お前は、まだ俺の郎徒だ」といい、出ていく。
手紙を読むタンセ。
『お祖父様、 ハンソンです。 僕は、今、仙門の中で、最善を尽くしています。 はじめ、お祖父様から、ここに来させられたときは、そうするしかなかったけれど、 今はここが大好きです。 僕は ここで友人から多くを学びました。困難な土地でも 道をつくれるということ。 また、一人、二人と、共に足跡を残すことも学びました。一緒に歩けば、荒れた土地に道をつくることができることも学びました。だから、この手紙を書きました。これからは“僕自身で罰を受けます”と、お祖父様に申しあげたいです。兄さんに罪はありません。僕は、身分とか骨品とかそういうのは、よく知りませんが、僕の兄さんはタンセ兄だけです。この世で、いつも僕の傍にいてくれた、たったひとりの兄さんです。誰よりも信頼できる人です。』
嗚咽を上げながら、手紙を顔に押し当てるタンセ。
ハンソンの棺を前に、皆が整列し、ウィファ公の言葉を聞いている。
「涙が枯れ果てるまで、いくらでも泣くがいい。まだ、この神国には、花郎を利用し、思い通りにしようと考える者どもがいる。しかし、二度と、二度と友人を失ってはならない。」
「お祖父様、僕はここで、大人になる方法を学びます。他人に頼らず、自らの判断で責任を取れるように。」
ウィファ公の言葉を、直立不動で、真摯に聞く花郎たち。
「他人によってつくられた生き方を黙認してはならぬ。お前たちは、将棋の駒ではないのだ。お前たちは誰よりも自由だ。おまえたちは花郎だ。お前たちが花郎だという事実、それを決して忘れてはならない。」
ソク家の位牌が並ぶ部屋で、涙を流すソク老人。
「お祖父様、僕は 花郎で、僕と一緒に歩いてくれると言ってくれる友人に会いました。快適に生活しています。家門とか権力とか考えず、僕は花郎として生きます」
笑顔のハンソン。
ハンソンの死は、太后にも知らされました。
「気の毒に。若い命を失ったことは残念であった。しかし、彼の死は無駄ではなかった。
今、民はそのソヌを王だと信じている。」
禁衛長「 そんなに単純な話ではありません。民は、ソヌ郎を王だと思っています。信じる者にとって、ソヌは王様です。そして、待ちわびる期待と興奮は、一日一日大きくなってきています。」
「そんなものは、無駄で、偽りの喜びにすぎぬ。」
「しかし、一度 活気づいたものを、元に戻すことは 不可能かもしれません。」
その時、ヨンシル公以下、重鎮たちが大挙、押しかけ、ジソに譲位を迫り始める。
「譲位してください」「後退される時期です」「百済との戦争を控え、なぜ、陛下はまだ、一人でその重責につこうとされますか?」「これ以上、遅らせることはできません」
賤民村から戻ってきたアンジ公に、次々と頭を下げ、挨拶する民たち。
疫病から民を救った、と評判になっているようです。
フィギョン公が出迎える。
「医師として賤民村を救ったのに、少しも嬉しそうにみえないな。」
「薬がなかったのです。 やむなく、毒草を使いました。血を吐き、激痛の中で死んでいく患者をみて、私は、医者であったのか、殺人者であったのかと、困惑しています。 戦場のようなあの場所に比べて、ここはすべてがあまりにもなかったようで・・・。」
アンジ公の戸惑いの表情は、これが原因だったのですね。
しかし、フィギョン公の表情は、もっと暗い。
「あの場所だけが、戦場なのではない。 そなたの娘が、源花になった。」
「源花ですと? アロを源花にしたと言われたのか?」
「毒草を使ったあなたが 何を言うのだ?」
「なぜ・・・」
「これが、神国の現在の現状なのだ。 マンマン村では、彼らを治療するための薬すらなかったのだろう。 さぁ、そなたは今なにをするのだ? 空から薬が降ってくるのを待つのか? それとも、今後も毒草を使用するのか? あなたの息子、いや、私の息子を、我々は王にしなければならぬ。」
さすが、アロ。もう若い官女たちと仲良くなってます。
そこへ、スクミョン公主が入ってきました。
「すぐに、誰とでも親しくなるのだな。抜け目のないことだ・・・」
「この状況を我慢し、受け入れようと、模索しています」
「生きているかどうかもわからぬ兄のこともか」
「それは、どういう意味ですか? 兄に何かがあったのですか?」
「王に間違われて、また仙門で攻撃された」
動揺を隠すアロ。
「なにが起こったのか、聞きたくはないか?」
「兄が無事だったとわかってますから」
「なぜ、そう思う?」
「信じているからです。 彼が大丈夫だと確信しています」
「お前のせいで、彼の人生は、脅かされているというのにそうやって、慰めているのだな。」
「公主様は、理由をみつけては、挑発したいのかもしれませんが、私は迷いません。私は生き残らなければなりません。それが、兄を生かし、守る唯一の方法ですから。」
きっぱりと、宣言するアロ。
「明日、南毛公主をまつる聖殿に行く」
アロが捕らわれている月城に、苦々しくやってきたアンジ公。
ジソ太后を訪ねてきました。
「アロを、源花にしたそうですね」
「源花は、花郎の統率者だ。あの娘にとっても、光栄なはず。」
「まだ、あなたは、私を好き勝手にできると思っているのですか?」
「わらわは、この国の太后だ。王位を守るためであれば、なんでもする」
「あなたの息子は、王座に座ることはないでしょう。そこには、私の息子が座ることになる。」
「いったい、賤民が玉座に座るなど・・なにを言っているのだ。そなたは、そんなことが可能だと思っているのか」
「どうも、誤解されているようですね。あの子には、神国の玉座に座る資格があります。」
「資格だと?」
「チュンジョン・・・あの子は、彼女と、神国の王子フィギョン公の間に生まれた息子であり、完全なる聖骨です。」
それだけ言うと、出ていくアンジ公。座り込むジソ。
源花の衣装に着替えるアロ。
「時間だ。出かけるとしよう」
スクミョンとともに、南毛の聖殿に向かう。
~風月主の執務室~
「風月主は、パク・ヨンシルを取り込め、と言ったな」
「陛下は、そうされましたか?」
「いや、したくない。」
「陛下 それはどういう意味ですか? やりたくなくてもしなければならない場合があります。目標を達成するためには、嫌なことでも。」
「もう、これ以上、花郎を傷付けたくない。私は、彼らを守らねばならない。」
「どうしようとお考えですか? 敵と手を結ぶのを嫌がり、陛下のために王に成りすました友人をも守れずにいる。このような状況で、どうやって、この仙門を、花郎たちを守ろうとされますか?」
馬を走らせるソヌ。それをつけてくる禁衛長。
~南毛公主をまつる聖殿~
位牌と肖像画に、線香をともす。
出発前に、ソヌを殺すように、禁衛長に命じる太后の言葉を立ち聞きしてしまったスクミョン。
「源花の聖殿にいくことは知られているので、彼は確実にそこに出向くだろう。ミスは許されない。」
「南毛公主と チュンジョン、ちょうど私たちのようだな。公主と半血。恐ろしいか?」
「恐ろしくはありませんが、お聞きしたいことがあります。源花になったのは、私が王の顔を見たからですか?それとも、神国の王になりすましたソヌ郎と兄妹だったからですか?」
「そなたには、光栄なことであろう。これは、そなたが、誰であるか、何をしたかに関わらず、我々にとって、そなたが利用できるからに他ならない。そなたは、兄のために生き延びると答えたが、いや、そう仕向けられているのだ。そなたのせいだ。そなたと一緒にいるから、ソヌは危険にさらされるのだ。そなたのせいで、大事を成そうと思っても 彼は進みたくても、進むことができないのだ。」
自分を守ろうと、今まで 怪我を繰り返し、危険な目にあってきたソヌの姿を思い出すアロ。
トゴにつかまったときも、自分をかばって矢を受けたときも、南扶余で捕えられた時も、すべて、自分を守ろうとした結果だと、暗たんたる気持ちになる。
~回想~
「お前が死んだら、俺も死ぬ。お前が大丈夫でなければ、俺もだ。だから、俺のことを心配するのなら、お前はまず 自分を大切にしろ」
そこへ、駆けつけてきたソヌの姿をみて、驚くアロ。
見つめあう二人。涙をこぼすアロに、一歩一歩近づくソヌ。
「これは 夢なの? 私がここにいるって どうやってわかったの?」
「お前がどこにいても、俺は見つけてやる。お前がいるところなら、どこにでも行く。俺の傍にいなければだめだ。」
そのとき、急に、ソヌを押しやり、前に飛び出すアロ。
胸に 矢がささったアロをそのまま、抱きかかえる。
意識のないアロ。
目を開けろ。目を開けるんだ。取り乱し、泣きわめくソヌ。
震えがとまらない太后。
「いまや、誰が王か、皆知っているのに、どうして譲位されないのか」
「どのくらい長く、太后殿下は この国を支配されるおつもりか」
太后派のキム・スプ公は、王室の問題で、臣下の我々が口をだすべきではないとかばうも、明らかに劣勢。
そのとき、表の戸が開き、サムメクチョンが入ってくる。
顔色がかわるジソ。
ざわつく重鎮たちの前をゆっくりと、太后の前まで歩みでて、振り返る。
「あれは、誰です?」
小声でささやきあう重鎮たち。
「私が 神国の王 真興だ」
はぁ~ ハンソンを失った悲しみは、来週まで癒えそうもありません。
あえて、小学生の文章風のように訳してしまいましたが、ハンソンの手紙は・・・ぐっときました。
ソク老人には、まさか、むせび泣いただけで終わらせるわけじゃあるまいなと、一言、文句言ってやりたいですけど、まぁ、今回も一番悪いのは、家門再興を餌に、爺さんに王殺害をもちかけたヨンシル公だけどね。
ひねりなく、フィギョン公が、犬鳥郎の父でした。
チュンジョンがお腹の子について、聖骨って言ってたけど、そうなると、チュンジョン自体も王族のはずなのに、スクミョンは、チュンジョンのことを「半血」だって言ってたものね。同じ源花だったナンモ(南毛)は、あれだけ 公主公主って言われてるのに。
ムミョンを出産したあとの生死についても、気になるし・・・。
ま、来週、そのあたりクリアになって、最終回を迎えることでしょう。
ああ、もう この気持ちのまま、1週間を過ごすなんて。。。