■ 第17話 盟友同志
緊急事態発生。ギルトンをかばって、矢を受けたチャンフィを、ギルトンとイノクが空き倉庫に連れてきます。
息も絶え絶えな様子のチャンフィに、動揺しまくりのイノク
ギ「矢を抜くぞ」
イ「若君~」
しっかりと、若君の手を握り締めるイノク。
血があふれる。
イ「若君、しっかりして。身体が冷たくなっているわ。出血のせい?」
ギ「そうじゃない。(傷を確かめて)毒矢にやられたんだ」
ノ尚宮は、なんとしてでも解毒剤を若君に投与する必要があるのに、ヨンムン商団には、ギルトンアボジが乗り込んできて、身動きがとれません。王子が矢を受けた際、イノクとギルトンを見かけたギルトンアボジ自身が、ヨンムン商団で取り調べを行う中、時間だけが刻一刻とすぎていく。
ギルトン「矢を放ったのは誰だ。そいつを責めないから、話すんだ」
若君「お前には誰も責められない。矢を受けたのは私だ」
ギ「・・・ノ様か」
口をつぐむ若君の様子に、イノクも確信する。
ギ(イノクに)「気を緩めずに看病してろ」
イ「若君・・・」
解毒剤を取りに行くギルトンと替り、出血箇所を抑えるイノク。
イ「若君、大丈夫?気を失わないで、私を見て」
若「見ている、しっかりと」
イ「ギルトンが解毒剤を捕りに行ったわ。どうしよう 血がだくさん出てる」
取り乱すイノク。
若「前にもこんなことがあったな。」
イ「また、こんな目にあうなんて」
若「あの日、お前に刀を突き付けた」
イ「私があれこれしつこく聞いたからよ。当然だわ(泣)」
若「眠っているお前を殺そうとした」
イ「でも、殺さなかったわ(泣)」
若「私はお前とは違うからと殺そうとしたが、思いとどまった。その時、わかったのだ。お前だけは絶対に殺せないと」
イ「若君はいい人だもの(泣)」
若「お前が私を人間にした。結局お前に影響されて、無謀に振る舞い、このざまだ。私がこうなったのはお前のせいだ。」
イ「私が悪かったわ。だからもう何も言わないで(泣)」
若「泣くな。泣いてばかりのお前を、私のせいで、泣かせたくない。私は大丈夫だ。簡単に死なない」
イ「当たり前よ。私は運がいいもの。私と一緒にいれば、死なないわ」
若「なら、ずっと 私のそばにいろ。お前の運にあやかれるように そばにいろ」
イ「若君にもツキがまわるようにそばにいる」
若「約束だ」
血だらけの手で、チャンフィの体温を確かめる。
イ「コムジャ 大丈夫 体が冷たいわ」
かたく結ばれているもう一方の手と手。
イ「温めないと」
自分の胸に抱くように、寄り添うイノク。
イ「もう少しの辛抱よ、きっと助かる。大丈夫よ、若君 、死なないで」
自分に言い聞かせるように、泣きながら、チャンフィに声を掛け続ける。
ううう・・・耐えて、耐えて、ギルトンのもとに送り出したイノクに対して、朦朧とした意識の中で、そばにいてほしいと、口に出してしまったチャンフィ。
チャンフィの心も身体も限界であることを感じるイノクが、一切、チャンフィを否定したり、拒否したりしないところとか・・・もうだめ、涙腺決壊!
ああ、しゃくにさわる。なぜ、よりによって、ウネに頼まなければならないの~~~。
ギルトンにとっても、苦渋の選択。
しかし、この緊急事態に、「生理痛の薬」を受け取りに・・・男の人がなかなか口出しできないデリケートゾーンをこころえていらっしゃる。ホント、よく頭が回るものだと、妙なところで、脚本に感心しちゃったわよ。
お互いの守る相手のために、年齢を超えて、牽制しあう ウネとノ尚宮・・・。
「もし、なにかあったら、ただじゃおかないわよ!」火花バチバチ。
まぁ、イノクはこういう対立キャラではないものね。
ノ尚宮から、無事に、解毒剤を受け散るウネ。
イ「若君、しっかりしてよ。目を覚ましてよ。私を見て。若君、私を見てよ。若君は大切な人なの。死なないで~」
身体に震えが来ているチャンフィ。
イ「ギルトンが戻ったわ。もう大丈夫」
解毒剤を飲ませる。
イ「ギルトン、体中に毒がまわりきっているかも」
ギ「まだ、間に合うはずだ」
イノクのボロボロっぶりが、ちょっと気になるギルトン。
ギ「(イノクに)泣くな。。」
ギ「(チャンフィに向かい)マヌケを不安にさせるな。しっかりしろ」
しっかりと、うなずく若君。いつもながら、すごい恋愛パワーだわ。
イ「コムジャ 大丈夫?」
若「泣くな・・・」
イ「ツキがおちるからもう泣かないわ」
もう一度、イノク見つめ、なにかを想うギルトン。
少し、落ち着いた若君を、根城に運ぶため、ウネと一緒に籠にのる作戦がとられる。左議政の娘を取り込んだのを気に入らない若様、そうよねぇ。不本意ながらも、ウネが「命の恩人」となってしまいました。
ギルトンは、ノ尚宮に、釘を刺しに来ました。
ここの会話も好きです。いままで、チャンフィだけを見つめ、必死に守ってきたノ尚宮に、こんなことを言ってくれる人って、周囲にいなかったことでしょう。プライドが高く、自分たちの世界に戻ることにのみ、執念を燃やすノ尚宮には、ギルトンの話す「物事の本質」を受けいれることが出来ないんだろうけれど。
「気に入らないものをすべて排除していったら、今の王と同じことになる。(自分の育てた)王子を信じろ。でなければ、今度は殺すことになるぞ」
成長すれば、成長するほど、自分以外の者たちの影響を受けていくっていう寂しさ。
知らない世界に飛び出したわが子を受けいれられない母親のような一面もあり・・・。
無事に、官軍の検問も突破。
根城で、少し会話ができるくらいになりました。
イ「ギルトンを助けてくれてありがとう」
若「礼はいらぬ。何も考えず、とっさに飛び出しただけだ」
イ「照れないで。偉いわ 若君」
若「皆もそう見てくれれば、人を守れるのだろうか。切に守りたいものを正面から見据えて、望まれる人になり、失うことを恐れなければ、守れるのだろうな」
イ「切に守りたいものって?」
若「大勢でもあり・・・」
イノクを見つめ、
若「一人でもある」
複雑なイノク。
イ「切に守りたいものって、ギルトンのことなの?」
違いますってば!
若「彼は同志だ。私が守る者ではない。切なる思いもない。(逆に)彼には奪われそうで怖い」
イ「ギルトンが何を奪うの?」
もう一度、イノクを見つめる。
若「相変わらずだな。。。バカなお前を忘れようとしたが、思いは募るばかりだ。これからは正直になる」
困惑するイノク。
若「今日はとても疲れた。話すのはやめよう。もう眠りたい」
イ「(気づかなくて)ごめんなさい。出ていくからゆっくり休んで」
若「傍にいろ。約束しただろ?ツキが回るように、そばにいると。」
イ「死なないようにそういっただけよ」
若「眠ったまま、死ぬかもしれないのだぞ。無事に眠っているか、見守っていてくれ」
イ「そうするから、ぐっすり眠って」
くぅ~、宣言通り、素直になったチャンフィは、思いっきり駄々っ子です。
ウネは、ギルトンの傷に気づくだけなんだね。
ギ「巨人のせいだ。誰かのせいで、俺の手当は後回しだ・・・」
くすっ(笑)
ウネを泊まる部屋に案内するギルトン。態度を軟化させるウネ。
お茶を持ってくるギルトン。
ウネ「初めて優しくしてくれた。あなたは優しくなり、私は正直になる・・・」
チャンフィとの比較。
ギ「すまないが、これが最後だと思ってくれ。最初で最後だから、正直に話し合おう。何のつもりかわからんが、おとなしく自分の居場所に戻れ」
ウネ「約束が違う」
ギ「俺の考えが足りなかったようだ。お前は兄のいいなずけだ。俺を泥棒に仕立てた兄が憎かった。身分を隠してたお前も憎かった。だから道を外れても放っておいた。俺は悪いヤツだ。お前が煩わしくて、終わらせたいのに、今日、助けを求めた。俺に利用されるな。悔しいだろ」
ウネ「分かってたわ。私はバカじゃない」
ギ「そう思ってた。だから、ここまでついてきたのは意外だった」
下を向き、湯気の出てる茶碗を握りしめ、
ウネ「少しも温かくない。。。」
ギ「今日は泊まって、明日帰れ。」
出ていくギルトン。
一人になってから、怒りに満ちた表情のウネ。
ウネ「私は、線を超えるようなマネはしない。あなたに線を越えさせる。私のものにするわ。そのあとは、どうしようかしら。」
悔しいのはわかる。よく、わかるけど・・・・。
チャンフィの寝顔を確認するイノク。
イ「よかった。よく眠ってる。ギルトンもケガしているのに、手当してないわ。」
若君を残し、部屋をあとにする。
薬を煎じながら、お嬢様とギルトン・・2人で何をしているのかしら、と心配するイノク
イ「(あの二人)ずっと一緒にいる・・・。」
そういうあなたも、さっきまで、王子につきっきりで、ギルトンをやきもきさせていたようですけど。
薬を煎じているうちに、柱にもたれて眠ってしまったイノク。
ギ「マヌケ、待たずに寝たのか、本当にひどいな。ここも痛いし、ここも血が出た。あちこと痛いのに、痛くてたまらない。今すぐ手当が必要だ。応急処置がな。。。」
眠っているイノクに、キスするギルトン。
ギ「あ、 治った。」
可愛い言い訳を考えたね。おなじように、柱にもたれるギルトン。
ギルトンアボジが個人的に、イノクの素性を調べ始めました
結局、こうなってしまうのね。
薬を煎じているイノク。
ギ「若君の?」
イ「あんたのも煎じるから待ってて。あんな巨人に殴られたのに、痛いのを我慢して」
ギ「大したことないって」
煎じている手をとめ、立ち上がると、黙って、ギルトンの左二の腕を押す。
痛そうに押さえるギルトン。
ちゃんと、ケガをしたところをわかっているイノク。
イ「大将は痛くても言えないのね。尊敬するわ」
ギ「尊敬?少しもうれしくない。」
イ「すぐ薬を煎じるから、待ってて。」
ギ「必要ない。苦い薬は若君にやる。もう薬はもらった。効果抜群で、全然痛くない。」
イ「一体どんな薬?効く薬なら若君にも分けて」
ギ「だめだ。 分けられん。俺のものだ」
クゥ~~~~~!
ギ「モンチョンガ~ 」
席をたつギルトン
イ「器の小さい大将ね」
驚異の回復力のチャンフィ、すでに外出着に着替えております。
チスが迎えにきています。
ギ「とっさに俺を助けたんだろ。恩に着る。」
若「とっさの行動ではあったが、収穫はあった。もう、お前は私を裏切れない」
ギ「自信満々だな」
若「これで完全にお前を味方につけられた。」
ギ「今回も逆だ。俺のために死ねる奴を俺が得たんだ。」
若「お互いを得たのだな。」
ギ「なんだかな。照れくさくてたまらん。」
(さあ、いった、いった)と手で合図
若「帰るところだ。」
イノクとウネ。
ウネ「ここにいる間は元気でね」
イ「ずっとここにいるわ」
ウネ「そう、おじいさんから話は?」
イ「何の?」
ウネ「なんでもない。まだ、探れてないのね。会ってみるわ」
「頭痛の種」を消す薬を、届けさせるように依頼するウネ。
高い代価を払うことになるかも、と意味深な表情を見せる・・・。
根城に急ぐハラボジと、ギルトンとイノクの二人の時間をちょっとでも稼いでやりたい和尚。わざとゆっくり歩いたり、食事をしたり・・・雪の中で、もうめちゃくちゃ(笑)
イノクと若君
イ「ムク犬さんが待ってるわ」
頭を下げるイノク。ギルトンと仲間になったことを告げるチャンフィ。
若「私がそばにいることを忘れるな。大切な人だと言ってくれたよな。その言葉のおかげで、しばらくは耐えられそうだ」
真剣な様子のチャンフィに、戸惑うイノク。
ヘンだわ。若君に申し訳ない気がする。あああ、イノクがようやく考え始めました。
「・・・どうしてかな。」
商団にて
ノ尚宮が、心配しているところへ、若君、御帰還。
「心配するな。私は大丈夫だ。二度と勝手に動くな。約束しろ」
「ならば、王子も約束してください。命をさらすような危険なことは二度としないと。」
「とっさのことで何も考えなかった」
「片時も忘れてはなりません。王子のために、命をささげる私や手下がいるのです。」
「忘れたのではなく、守るためだ」
それを聞き、頭を下げるノ尚宮。
「二度と、王子の許可なく、動いたりしません。あの者を手放すまで待ちます。」
「手放さない。絶対にな。」
活貧党の仲間が、王子と手を組むことを了承する。
元党首の仇のヨンムンではあるものの、捨て身でギルトンを助けた姿を実際に見たことが大きな理由になった様子です。
巷の噂でも、活貧党と手を組む王子の人気が高くなってきている。
ウネとイニョンの会話
彼が死ねば、あなたのものになるとでも?
もともと、あの娼館ですべてを見聞きしたウネにとって、イニョンは軽蔑の対象でしかない。
心変わりしても、あなたを好きになることはない、と厳しい言葉を投げかけるウネ。
根城もにぎわってる。有名になったことで人があつまり、根城もどんどん拡大してきた。武器づくりに余念がない。
世の中は、活貧党の噂でもちきりに。その中で、幽霊の人殺しの話が話題になる。
役人を、幽霊が殺す事件が連続して3件もおきる。
鮮やかな手並みなどから、根拠もないのに、ギルトンの仕業にされてしまう。。。
とんだ濡れ衣に、誰の仕業が調べることに。
四寅剣を名目として、両班を集める計画もあるなか、仲間のギルトンに、両班殺しの噂があるのはまずい。チスに、調べるよう、命じる王子。
下々のことまで、よくご存じでいらっしゃいます。
今回はかなり、気になっているイノク、一生懸命考えています。
「若君が来るなと言ったのを、真に受けたから、スネたのかな。心を許せるのは私だけなのに、気が利かなかったわ・・・。」
左議政は、イニョンとの縁談をあきらめる。それにしても、なんで、ウネの気に入る相手を見つけよう、なんて、娼館に来るかな。ばあやですら「学府」で探せばって言ってるじゃん
あいつに似てる奴を捜せ。 ← そこは、ちょっと親心を感じます。
よりによって、両班に変装したギルトンに目をつける左議政。
妓生に乱暴を働く両班をやっつけるギルトン。偶然、せしめた絹の襟飾りのせいで、幽霊たちに狙われる。
ギルトンですら、気配をつかむのが難しい。
お前の命をもらう。
畜生、怖いじゃないか。。って、幽霊をこわがるなんて、意外と可愛い。
★第18話に続く★
ふう、若君の回復力も大したものです。
これからは、正直になると宣言しました。さすがのイノクも混乱しはじめてる感じです。
ギルトンが気にしていたとおり、イノクの取り乱し方も単なる知人に対するものを超えてました。
そりゃ、若君のラブベクトルの強さに、拍車がかかってまいりましたもの。
ギルトンも、特効薬を大事にしないと、お薬ごといなくなってしまうかもしれないよ~~~。
緊急事態とはいえ、ウネを巻き込んだことで、事態は複雑になってきました。
ウネ、ノ尚宮、御し難い女性陣に道理をとくギルトンですが、なかなか一筋縄ではいきません。
両班だけをターゲットにしたいわけではないのに、その横暴ぶりが目につくのは、やはり 根底に「身分制度」への不信をギルトンが持っているせいでしょうか。