■ 第10話 目には目を

 

いくら鈍いイノクにも、この目の前の状況が、人身売買に他ならないことは気付くものの、覗いているところを見つかり、逃げるイノク。

武芸に自信のあるイノクとはいえ、チョルチュの「鉄杖」にはかなわず、危機一髪、若君が到着。

官軍を呼んでくる、というイノク。

チョルチュが捕まれば、ヨンムンにとっても痛手。逆に、騒ぎにしないように言われ、娘たちを救出できない若君。

 

すでに、娘たちは移され、空になった倉庫に、官軍を呼んできたイノクは、信じてもらえず、嘘をついて混乱させた罰としてお尻たたきの刑をくらい、倍近くはれ上がってしまいます。

(愛の爆弾を投下するのが生きがいのスグンの○○が、半分つぶれてしまった話は、御愛嬌です。)

 

売られている娘たちを救うヒントは、チョルチュが洩らした父親の名前、チョンダム村のシムさんを尋ねること。

一足先に シムさんに話を聞きに来ていたギルトンとニアミスするイノク。

なぜに、あの後姿に気づかないかぁ・・・(泣)

 

だんだんと、チョルチュの悪事の全容がつかめてくるギルトン。

作戦を練らなければ・・・。

 

◆若君とイノク

イ「チョルチュは大勢の娘を監禁しているわ」

若「私とは関係ない。お前も昨晩のことは忘れるのだ」

イ「見てないからそう言えるのよ、みんな ケモノみたいに縛られていたわ。売り飛ばされないようにして」

若「なぜ私に頼む?」

イ「それは・・・若君には力もあるし、いい人だもの」

若「私は、いい人ではない」

イ「いいえ、若君はいい人よ。私をチョルチュから助けてくれたもの・・・」

若「そうだ。なら、感謝でもして帰れ!」

声を荒げるチャンフィ。若君に、キレられて、突然、閃くイノク。

だいぶ、察しがよくなってきました。

イ「・・・若君、私が首を突っ込んだら、若君が困るの?もしかして、若君もかかわっているの?すべてを知っていながら、倉庫を貸したってこと?」

若「「そうだ・・・、知りつつ、見逃したのだから、娘たちを救えない」

若君が消極的だった理由がわかり、後ずさるイノク。

イ「それでも、私はほっておけないわ。ごめんなさい」

 

ううう、一言もかえせない若君。

ホントは、ホントは、たとえ、イノクの頼みでなくても、助けてあげたいに決まってる(泣)。

この様子を陰で見ていたノ尚宮の危機感アンテナは反応しまくり。またしても、イノクと王子を引き離す作戦に出る。

 

捕えられた娘たちの中でも、リーダー的存在のチョンは、たくましく、度胸もあり、賢い娘。

イノクが落としたサングラスの破片で、縄を切ろうと、他の娘とも協力する。

 

「目には目を」作戦

①    ギルトンが人参商人になりすまし、賭博で大損する

②    賭博相手のチョルチュに、人参を担保に借金するという話をふる

③    人参を10万で買い取り、全部売れば、100万両になると皮算用のチョルチュに、一日一万両の利子を了承させる

④    出航の時期を引き伸ばし、利子を膨らませる

⑤    娘たちの親に、戦う気力をもたせ、出航の邪魔をさせる

⑥    チョルチュから奪った金で、親たちの借金を帳消しにする

⑦    貧乏に負けず、親たちは、自分たち自身の力で、娘たちを取り戻す

 

自分で奪い返さなければ、また失う。助けてあげる~という「上から支援」ではだめ。

自分の境遇を嘆いていて始まらない。

共にたたかうことを教えるギルトンの言葉が、親たちの心を打つ。

この辺りが、「ギルトンには、人を動かす力がある」につながってくるのでしょう。

 

毎日、毎日、役所をまわり、役人に訴え続けるイノク。相変わらず、尻たたきの罰をくらう。

 

チョンの父親シムさんに、泣きながら、何の力になれないことを謝るイノク。

その姿を遠目にみる若君。

「自分の通り過ぎた道でイノクが泣いていた。涙が、人でなしの自分を責めているようだ」

本当に、心を痛めるチャンフィ。

げ、ノ尚宮ったら、イノクを清に連れて行くように、チョルチュに頼んでるよ~。

若君の関係を考えて、毒ガス室のときのように、自分では手を下さないことにしたのかしら。

 

脱走を図る娘たち。

チョンだけが逃げのび、父親のもとに戻ってくる。チョン父子を逃がすイノク。

「自分が囮になるわ。自分は、矢のように走れるし、トラも捕まえたことがある」

チョンの着物を羽織り、飛び出していくイノク。

直後に、シムさん宅に助けに来たギルトンは、チョンから、「自分の身代わりになって、囮になった女性」を助けてほしいと、頼まれる。

そんなことを口走る女がいるなんて、イノク以外には考えられないが、あまりの無鉄砲さに耳を疑い、信じられない思いで、シムさんに、身代わりになった女性の名を問うギルトン。

イノクだと確信した瞬間、走り出すギルトン(泣)

尻たたきのせいで、動きが鈍いイノク。

なんとか間に合ったギルトン。

最初は、イノクの口を押え、その次は目をおさえて、あくまでも自分の姿を見せず、まだ、ギルトンは自分の正体を明かすつもりはないようです。

もう、いいじゃん、もう十分じゃん(号泣)

正面向いて、抱きしめてあげようよ~~~!!!

 

★第11話に続く★

 

世間的には、盗賊であるところの、ギルトンの言ってることが一番、まともです。

途上国への国際的な援助や支援の際に、お金を渡すだけではだめで、その国が自立できるような技術や教育体制を整えることだと、よく言われるけれど、今回の人身売買騒動もただ、ギルトン達だけが娘を救出するっていうだけじゃだめなんだよね。

こういうエピソードって好きです。

 

それに対し、直感的に 人助けに奔走するイノク。馬鹿にされようが、お尻を叩かれようが、「救いたい」の一心で動き回ります。

 

あからさまに、イノクに気をかけ、見境いなくなっている今の若君にとって、イノクはウィークポイントです。

チョルチュにも見透かされるほど。

そんなイノクの存在が、不安で仕方がないノ尚宮。

 

思わず、イノクを助けに走ってしまうギルトン。

守りたくて、遠ざけても、遠ざけても、気が付けば、イノクも同じ道を進んでいるのです。

内心では、「一緒に行こう」だから。

涙腺は、もうグズグズです。