そのラーメンのスープをレンゲで一口啜った瞬間、彼女はくるっとボクの方を向いてこう言った。


 「わたし、またここに来ます。」


あまり長時間並ぶのもダルいからと夕方の開店直後を狙った訪問、それでもボクたちは一巡目に入れなかった。カウンター7席だけの規模では仕方がない、そう諦めて、それでも店内に入って食券は購入して待つ。8.9番目だからニ巡目の先頭だけれど、他人の食事の進み具合が気になる。ほどなく先客が席を立ち、そこが片付けられるとボクたちが案内された。そして提供された丼からスープを掬って飲んだところで、冒頭の発言が生まれた。彼女の目は、どこか見知らぬ遠いところを、だが真っ直ぐに見据えているようだった。


醤油を体験済みだったボクが選んだのは、塩の全部のせ。手打ちの多加水麺はそれ自体がすでに旨く、動物系と魚介系が合わさるスープは重層的な香りと深いコクを有し、かといって自分が主役になることなく麺を最大限に引き立てている。これは丁寧な仕事が施された具材も同様で、どれをとっても半端なく旨いのにどれもが本気で脇役に達しているのがスゴイ。味が澄み切っていて、食べ進んでもくどさのかけらもない。


 ↓しお 全部のせら〜麺

 ↓某雑誌風ショット

  ↓お目当ての手打ち麺

 ↓豚バラ

 ↓豚肩ロース

 ↓卓上調味料

 ↓何も残せない

 ↓1430円の価値

 ↓待つ間のほっこり

 ↓退店後も伸びる行列

 ↓座右の銘か


「ご馳走さまでした、美味しかったです。」そう伝えると、言葉が返ってきた。「ありがとうございます。また、ぜひおいでください。お待ちしております。」静かな言葉を背に受けつつ歩き始めると、彼女が呟いた。「あの言葉は、心の底から出ています。わたし、わかります。上辺だけの実のない挨拶をするお店もありますけど、今のは違います。わたし、やっぱり、またここへ来ます。一人でも並んでも、また食べます。今日は、ありがとうございました。」


彼女のたっての望みで連れていったが、反応はこちらの想像をはるかに超えた。もはや名店の呼び声さえ高い、森下の「手打ち 蓮」。並ぶのがどうこう、ではない。並べば食べられる、のだ。並んだ人だけがありつける蓮のラーメンには、一人の人間を動かすエネルギーと魅力がある。




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