本日は最近のサイスポ(自転車雑誌 サイクルスポーツ)について思った事をツラツラと。。
サイスポですが、先々月号(?)からデザインが変わりました。
こんな感じ。
聞くところによると、5月に編集長に就任したホイール系のムックばかり出している背高の吉本さんの英断(独断⁉︎)がきっかっけとか。個人的にはこのデザインは好きです。ガキっぽさがなくなっていいと思います。この機会しかないので言っておきますと、雑誌の表紙に露出度高いの女のコを載せるのは正直勘弁して欲しいです。本屋に買うと決めた雑誌が一冊しか残っていない状況下で、他の本も眺めたい時には、必然的に雑誌を持って本屋中をウロつく事になるので、小心者の僕にはかなり気恥ずかしいのです。
って事で、クール系へのデザイン変更は、ウブな僕からするとかなーり評判いいのです。前世紀的なデザインも好きですが、彼女を家に呼んだ時に部屋に置いてあるとカッコイイのは新しい方ですネ。ま、そんな事は彼女がいないので問題にならないのですが。
と、表紙の印象はこんなところとして、、
今月(昨日発売)の記事にこんなモノがありました。
この記事を本屋の見本で見かけたので購入に至ったわけですが、帰って読んでみると、、コリャたまげた!! 僕が心の奥底で感じていながらも文字に表せないおかげでこのブログに上げる事ができなかった、機械式と電動変速のフィーリングの差が書き表されれいます。実に見事!!
しかし、今日は こんなビックリ記事を発見した事を書きたかった訳ではありません。
考え過ぎかもしれませんが、僕はこの機械式と電動の差についての記事に、従来までの自転車雑誌の記事とはまるで異なった要素を感じてしまったのです。
というのも、ポジショニングやメンテナンス系の「How to」系の記事や、「news」系記事が多かった自転車雑誌に、フィーリングに係る比較系記事、しかもメーカーの意図とは恐らく逆の「機械式」にスポットを当てるこの記事に斬新さを覚えたのです。僕が大いに感銘を受けた同じサイスポの以前の記事「自転車道」にも似た要素がありましたが、それとこれとは客観性が違います。
剛性が高い、振動吸収性が良い、エアロ効果が高い、など一つの指標を元に優劣をつけていた過去の記事とは異なり、この特集では「○○がイイんだよ。だから△△が悪くともコレが好きなんだ!」という個人の価値観に指標を移した新しい考え方で記事が書かれており、読んでいて生産性があるのです。ここでいう生産性とは、新しい製品の新しいテクノロジーを知る事ではなく、これまで使ってきた物でも、新しい価値観、新しい感じ方、を知る事、です。
新しい価値観に触れるって事は、一過性のニューテクノロジーを知る事なんかより当然よほど重要な訳です。なぜなら、我々が評価する製品の評価軸はその価値観に基づくものであり、新たな価値観を発見する事は新たな 良さ を発見する事でもあるためです。新たな良さを発見した結果どうなるのかは仔細に及びませんが、専門誌に求められる事はこの価値観の発掘だと思うのです。
試乗会もある程度浸透し、ネットの普及でこんなテキトーなブログも製品レビューします。ユーザーが製品に触れる機会、発信する機会も増えました。そんな時に、自転車ネタを専門にしてる人に行って欲しいのは、その広い知見から生み出される活発な議論だと思うのです。
さらに言えば、ネットが普及した今、ひと月に一度しか出ない雑誌で新製品の記事を出すってのも滑稽な話です。
そして、これらの少しは発展性のある記事を取り扱ったのが、今月のサイスポの「機械式変速が大好きだ!」という記事なのです。少なくとも僕はそう感じました。
また、今月の特集の大本命「ロードバイク 究極の選択」の記事内では、フラッグシップモデルが最高とは限らないというワードが出てきます。まさしく僕がドグマF8とGan rs に乗った時と同じ感想ですが、高価格=完全上位互換 の構図もこの記事では批判しています。
そして、この記事で最終的に言いたい事はどんな事なのか、2017年7月の「ロードホイールインプレッション」という特集の中でこんな一言を見つけました。
「我々ユーザーも熟成する必要がある」、、と。安井行生さんです。この特集は、インプレ記事にしては稀に見る纏まりの良さだったのですが、僕はこの一言に尽きると思います。我々が軽いもの、剛性の高いものばかり求めていてはダメで、本当に自分の好きな物を探す事ができなければ、この業界は大切な「自分の持つフィーリング」という一番大切な価値観を失いかねないなと思えてなりません。
そんな事を考えつつ、色々な本を読み返してみますと、、
吉本さんと安井さんのムックの中に(これはムックにしては珍しく新品で買いました)
こんな一節が。
うん。やっぱ僕んたが自分に真っ直ぐ正直にしなきゃダメなんですな。
と、こんな感じでかなり業界の体質やユーザーレベルを変えようと努力している様に見えるサイスポでした。表紙や紙面の変更と共に、「cs gear change」なんて連載がスタートした事からも読み取れます。
一つ、イチ読者からの提案。先月と今月はたて続けに購入しましたが、記事が充実しすぎていて読むのがツライ! 個人的には月イチの雑誌は、読んでる最中の妄想含めるとかなーり熱を入れて読むので、サクッと読みきれない。。リニューアル後は一つあたりの記事の内容がそれなりに充実しているので、(少なくとも今月は)特集を一つ減らしても良いかな、、と。その代わりもう少し安くして欲しいです(笑)。
個人的には、リニューアル後増えた様に感じる対話形式の識者の議論はかなり面白いと感じるので、インプレ一つ取っても、複数人のジャーナリストらが一つの製品を元に、感じられた感覚や、その製品の業界内の立ち位置などを話し合って欲しいです。各製品をそれぞれ評価するのではなく、全体から見たときの良し悪しや、性能の特徴、目指されたカタチ、を大いに話し合って、「○○のシートステーは△△のステーの様に しなやかだと全体としてもっとアグレッシブになってブルベの後半で心を支える存在になるのになぁ〜」みたいな対談を記事にして欲しいのです。
その対談には、業界に詳しくない一般ライダーや、全くの異業種(パティシエとか)からの人も入れると面白くなるかと思います。
何にしろ、一つの製品をその製品単体で見るのではなく、様々な他のことに話を昇華させて欲しい。せっかく乗ってるんだから、インプレをインプレで終わらせるのでは勿体無いです。一つあたりを濃くして、量は減らしても良いかなと思った次第です。
とにかく、奇想天外で、新しい事を見たいのです。
サイスポ、頑張って欲しいところです。
個人的なサイスポの応援記事でした。