古事記も日本書紀も藤原不比等が書かせたものだという。
著者は「証明した」というが、せいぜい推測の域でしかない。
古代出雲に王国が存在したというテーゼは、考古学的発見によって実証されつつあるといって良いだろうが、梅原氏の手柄ではない。
天孫一族が九州から畿内まで東征したという説に至っては、まったく賛同できない。古代においてあの距離を、大軍団で長期遠征するなどとても考えられない。
スサノヲをケガレととらえ、祓いの対象とする見方には同感である。大国主命を出雲の大王とするのも良い。
出雲大社を建てたのは誰かという問いかけは、なかなかおもしろい。梅原説は不比等であるが、確かに相当の権力がなければできないことであり、その可能性は否めない。他の藤原氏か、天皇家である可能性もある。
検討してみたいテーマではある。
事実と推測、決めつけが混ざり合った著書なので、内容を自分なりに整理して、参考にすべき部分を抽出してみたい。