今、話題の新書


内田樹 著 / 『日本辺境論』


読みごたえあり。


新書にしては少々難解なので

行きつ戻りつして 読んでいる。


日本人は 「どうしてこうなったのか」 については なぜか問わない。

そして、 「いつからかは知らないけれど、そう決まっているのだから、

その通りにしよう」 と考える。


既成事実の前には実に従順に譲歩してしまう。


という記述にはドキっとした。


ほんとに その通りだ。


すぐに 思い浮かべたのは、

今回の 「天皇会見騒動」 のこと。


いわゆる "1ヵ月前ルール" について

「どうしてこうなったのか」 を問わない。


他の国は 今まできちんと守っていたんでしょ!

天皇陛下に もし何かあったら 責任取れるの?


という非難の前に、そんな疑問は かき消される。


天皇陛下は 日々どのように過ごされているのか。

今後1カ月の予定はどれくらい決まっているのか。

天皇陛下や役人は 準備にどれくらい要するのか。


そういうことには 全くと言っていいほど触れられない。


だから 小沢さんが反発したのも、うなずけるのだが・・・


"天皇の政治利用" という観点からは マズイ発言があった。


天皇を政治的に利用することを禁止しているのは、

天皇の権威をカサに 権力を振り回すのを防ぐため。


だから、


「天皇陛下は ○○○ と おっしゃられる(はず)」

「天皇陛下は ○○○ を 望んでおられる(はず)」


とか、言ってはいけない。


そんなこと言ったら 文句が言えなくなるから。


だけど、小沢さんは言ってしまった。


あの発言に危険性を感じてしまう。


日本国憲法が権威と権力を分けたのは最高の智慧だと思う。


たとえ選挙に勝っても、最高の権威者(天皇)には なれない


ということは


ヒトラーのような独裁者の出現を防ぐ素晴らしい仕組みなのだ。