中学生の頃、ゲームの上手い友人がゲームセンターで自分のプレイを録音したテープが出てきた。
ゲームの名はダライアス。モニタを三つ横につなげた超ワイドスクリーンの専用筐体にはイヤホンジャックがついていて、そいつを使ってウォークマンで録音したんじゃなかったかと思う。
すこし伸びたカセットテープをデッキに放り込んでみると、懐かしいコイン投入音に続いて、雑音混じりにあのすばらしい音楽が響いてきた。遠慮がちにミサイルの発射音が聞こえてくる。発射音が音楽の邪魔になるのを恐れているからだ。ノーマルバージョンなのでレーザー以降にパワーアップさせることはない。そして目指すはタツノオトシゴこと最強グリーンコロナタス。
聞きながら頭の中でシーンが浮かび上がってくる。
キングフォスルの見慣れた青い機影。エレクトリックファンの誘導弾が苦手だった。デュアルシェアーズのハサミの下にもぐりこみ、ファッティグラトンは速攻で勝負を決めに行く。キーンベイオネットとは縦軸をあわせちゃ駄目で、アイアンハンマーは見掛け倒し。そして強敵グリーンコロナタス。すさまじくかっこいい音楽の盛り上がりとともに浮上してくるあの姿が目に浮かぶよう。三日月避けで頑張りながらヘルメットを破壊して、苦戦の末に勝利。高らかになる勝利の音楽。一瞬静まって穏やかに始まるエンディング。そして余韻に浸るネームエントリー。ため息が出るほど素晴らしい。
maxellの60分テープを巻き戻して、藤原ひさしが描いたギルガメスとカイのカセットレーベルがついてるケースに戻した。