龍之介09 | 陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

陽炎の帯の上へちらりと逆まに映る鴉の影―どーすかΩ

この部屋の中にいるヤツに会いたいのなら もっと、寿命をのばしてからおいで

印象


偸安の念

炉辺の幸福

なつかしい玉子焼の色、みかんの橙色


それを打ち破る滔々たる夜の漆黒

太陽光の届かない夜の色


妖婆、アグニの神、運

神懸かり、神降ろしの、蟇のような老巫女

婆娑羅、アグニ

観音

女の涙


エゴイズムのない愛

さわやかな愛


一人の人間にもたれかかるたくさんの人々

それをつくる醜い偸安の念

人間の薄暗い、抑圧された欲


エゴイズムは悪だろうか?

野性、殺しても生きる力、弱肉強食の、他方での爽やかさ

自分ばかりを恃むひとたちなら、そのほうが爽やかではないか?


生は爽やかでありうるか

清涼たる火花

そのために生活を犠牲にすることはただしいのか

清涼たる花火を作れるのか→戯作三昧、地獄変

ただ待つ・与えられる・見るしかないのか→尾生の信、舞踏会、蜘蛛の糸、好色


可能性の垣間見と、転落するしかないカンダタ

地へと向かう?折れた梯子


自己解放を希う痛々しい叫びと、どうしようもない弱さ醜さ


自分を犠牲にして、身を引いて、奪い合いの醜さから逃げること

そのあとに感じる寂しさ

裏口から戻ってくるエゴイズム


さまよえる猶太人

贖罪も独りよがりではないか


生きるために仕方なくすること

恨むまいな


あばばばば

保吉は女を後ろにしながら、我知らずにやにや笑ひ出した。女はもう「あの女」ではない。度胸の好い母の一人である。一たび子の為になつたが最後、古来如何なる悪事をも犯した、恐ろしい「母」の一人である。この変化は勿論女の為にはあらゆる祝福を与へても好い。しかし娘じみた細君の代りに図々しい母を見出したのは、……保吉は歩みつづけたまま、茫然と家々の空を見上げた。空には南風の渡る中に円い春の月が一つ、白じろとかすかにかかつてゐる。……
恥じらいと居直り


先生が死んで、しかし尚且気の軽くなるのを感じる


真っ白な蓮華