僕が以前住んでいたぼろマンションの駐車場には
白くてでっかいデブネコがときどき遊びに来ることがあって、
ここで日向ぼっこをしていた。
彼/彼女は近所の子供たちに追い回されたり、石を投げられたり、
とにかく大変な目にあっていた。
僕は、母がネコが好きじゃなかったりして
ネコたちとあまり接点がなかったので距離をとってただ、見ていた。
本当は子供達に注意して止めさせるべきだったのかもしれない。
でも、白いデブネコはホントにまるまると太っていて、
にもかかわらず、とてもすばしっこかったので
ちょっかいを出したくなる気持ちもわからないではなかった。
・・・・・
僕は現在もネコたちとうまく距離をとることができない。
でも、それはなんとなく苦手という以上に哀しい理由があったりする。
僕がやはりこのマンションに住んでいた頃のこと。
このマンションの下にも駐車場はあったけれど、
駐車スペースがあまり広くないので、多くの車は停められないことと
一部しか屋根がないので雨の日に不便だということから、
一本太い道路を越えた僕のマンションの向かい側にある、
広い駐車スペースがあって屋根がついている月極の駐車場に
車を停めていた。
僕は小学校中学年ぐらいで、この年の冬は特に寒さが厳しかった。
ある日、僕は車で、家族とどこかに出かけた。
このころ乗っていた車は青いやつじゃなくてその前の
深緑色のやつ。我が家では、専ら僕の母が車を運転する。
駐車場をでて道路を右折する。
ここで母が違和感に気づく。
「ん?なんかハンドルが重いなー。故障かな?」
「んー?調子が悪いんだったら診てもらった方がいいんじゃないの」
「うん、これはホントに故障かも。今度点検に出してみる」
点検業者からの結果を受け取って僕たちは
とてもショックを受ける。
操向装置というのかな、ハンドルでタイヤの向きを変える
その連結部分に、ネコの遺骸が挟まっていたそうだ。
この年の冬は特に寒さが厳しかった。
ネコくんは、おそらく寒さから逃れるためにエンジンの
僕たちは知らなかったとはいえ、車に乗ることで
ネコくんを殺してしまった。
このあと、車はネコくんが安らかに成仏できるように
神社に祈祷をお願いした。
・・・・・
僕は現在もネコたちとうまく距離をとることができない。
でも、それはなんとなく苦手という以上に哀しい理由があったりする。
僕が毎朝学校に通うとき、京成線を使うんだけれど
家から駅までの道に店舗への卸し専門の八百屋さんの前を通る。
このお家では二匹の、灰色と黒の縞模様のネコを飼っている。
僕は、ネコたちと少しでも近づきたいと思って、
彼女たちと顔をあわせたら挨拶をすることにしている。
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こんにちはー、ひょろです。
上のは本当にあったはなし。
小学校中学年とはいえ、まだ幼かった僕に
少なからずショックを与えた。
現実味が失われて聞こえたけれど、この経験は
潜在的な意識のレベルでおそらく僕の考える
「死」のモチーフになっていると思う。
ショックが強かったのでよく覚えてないんだけど
僕が唯一ペットとして飼っていたコクワガタが
死んだときよりも悲しかった。
ネコくんが天国の暖かなところで楽しく遊んでいることを
切に願っています。