息子の学校には一応指定の制服がある。 着用は任意。

女子が女子高生ブランドを前面に押し出すためのものか…。

当然のことながら、息子は私服。


面接に私服で行くわけにはいかない。

先立って妻と3人で某紳士服チェーンへ出かけた。


整然と掛け並べられたピシっとしたスーツ。

それらを野暮ったい格好で物色するマイルドヤンキー。

アンバランスな空気の中、選び出された濃紺のスーツ。

まる子ちゃん風の縦線がスーツに浮かび上がる。


店員の採寸。 少し緊張顔の息子。

縦線も空しく、選び出されたスーツは息子の身体にフィット。

息子と共にカーテンの向こうへと消えていった。


数分後、目の前に現れた好青年。

馬子にも衣装。 化ければ化けるものだ。

心なしか、背筋もピンと伸びているように感じた。


通信と言えども、それなりに進路指導がある。

ダメ出しされた赤線の入ったエントリーシート。

手書きの想定質問が書かれた何枚ものピンクの付箋。


面接前日、その付箋の答えを一緒に考えてくれと息子。

予想通りのピンクの中、ずっしりと影を落としている1枚のピンク。


"転校したのはなぜですか?"


これはきつい。 答えにくい。

馬鹿正直にも言えないし、嘘をつく事もはばかれる。

色々と考えた末、事実をマイルドに伝えることにした。

マイルドヤンキーなのだから。


学校では素直に面接の練習も受けた様子。

ノックの仕方、入退室の仕方、お辞儀の仕方。


いざ、本番 … ドアがない。 入り口にドアがない。

出鼻を挫かれ、戸惑ったと笑いながら話す息子。

それでも心配していた"転校"の質問はなく、

20分程の面接も無難に切り抜けたようだ。


勉強には全く興味が向かないが、頭の回転は良い。

ああ言えば、こう言うタイプ。 

何を言っても瞬時に切り返えしてくる。

面接には向いているのかもしれない。


しかし、逆の目で見ると口で失敗するタイプ。

口は災いの元。 語るに落ちる。

沈黙は金、雄弁は銀。 男は黙ってサッポロビール。(古)

時には寡黙さも必要なのだぞ、息子よ。


今回はAO入試のエントリーと面接だけ。

実際の出願はまだ先。 もちろん合否判定は更にその先だ。

息子は全て終わったかのごとく、その翼を大きく広げている。

もうすぐスクーリングが始まるのだが…。