ここデンマ‐クでは8月が学校の年度初め。
陽に焼けた子供たちが学校へ向かう自転車を走らせる日常が戻ってきて、

もう2か月が過ぎようとしている。

その中にリュックを背負い学校に向かうMartinを見かけたときは少々驚き、とても新鮮に映った。
なぜなら彼はOttoの会社で鍛冶職人として見習いをしていると思っていたから。。。

 

まだ幼い小学生のころから工場のメンテナンスの作業場が彼の居場所だった。
最初は古い窓ガラス越しに中を見ていたけれど、そのうち中にちょこちょこ出入りをはじめ

毎日学校から帰ると職人さんが仕事を終えるまでずーっと横にいる男の子だった。

 

ある日学校からOttoの会社にMartinについて相談があると一本の電話が入った。

学校の授業が合わず、またPVでもいろんなフラストレ-ションを抱えていた彼はクラスの中でエネルギ-を持て余し、その行動がちょっとした問題になっていた。

そこで学校が彼とご両親との面談の後自治体と話し合った結果、週に数時間彼をOttoの工場のメンテナンス部門で預かってもらえないかという話になったそうだ。もちろん卒業に必要な単位は修得しなくてはいけないけれど、科目のなかの工作やプロジェクトなどの時間を使って『課外学習』として。

本人はもちろんそれを望んでいたし、鍛冶職人のマイスタ-はとても喜んでいたので預かることにしたのだ。

その後中学を卒業した彼はとてもまじめに仕事を覚え、今では随分といろんなことができるようになっていると聞いていた。

 

ところが最近鍛冶の仕事に誇りを持っているMartinなのだけれどここ数年いろんな経験をし、気づいたことがあったよう。

去年の終わりに相談を受けたOttoがそれなら学校へ通ってみてはどうかと提案したそうだ。

教育支援はしっかり開かれているデンマ‐ク。
早速彼の望みや将来の可能性を見つけ出す為『Vejleder/進路相談を受けるスペシャリスト』と言われる人とコンタクトを取り

週に数回英語と数学、化学の授業をとることになったというわけ。

 

『鍛冶の仕事は本当に好き。そしてとても大切だと思っているし、自分に合っている。
マイスタ-は厳しいけれど温かい人だし、あんな風にいろんなことができる職人になりたい。
周りの職人さんたちもとてもHYGGELIGだし居心地いいよ。

でも、仕事を覚えたら覚えるほど、もっといろいろ知りたくなるっていうか。。。

Ottoが数年前に連れて行ってくれた見本市で面白そうな新しいテクノロジ-を使った生産ラインの機械を見てさ。

あれすごく気になって説明書もらっておいたんだ。僕ドイツ語得意だからドイツ語で。でも僕のドイツ語は漫画やテレビを見るには問題ないけど専門用語はちんぷんかんぷん。(苦笑  英語もおんなじ。 でも勉強できないし、まあいいっかって思ってたんだけど。。。

そんな話を去年Ottoにチョットしたんだよね、そしたら学校行ってみたらッていわれて。 

今更って思ったけど読めないから(治せる技術があるのに)治せないっていうの嫌じゃん。、

なにより知りたいことが知れたらHYGGELIGでしょ?(笑』

 

 

『すきなもの』、『心地のいいもの』、『こうありたい自分』

HYGGEな生き方で自分を生きてるMartin、もうすぐ21歳。

未来が明るい、穏やかで芯のある若手の鍛冶職人である。