若い低血糖症の患者様 | 旧ハイジーア通信

若い低血糖症の患者様

20代前半の若い患者様のケースです。


・ うつ症状がある
・ 涙もろい
・ 落ち込みやすい
・ パニック症状(動悸など)があり、外に出られない
・ 上記の症状がひどくなると自傷行為(リストカットなど)をしてしまう
・ 人と会いたくなくなり、出かけなくなった
・ 特に月経前 に症状がひどい
・ 鎮痛剤が効かないほど生理痛がひどい


といった症状があり、当院 を受診されました。


当院で行った血液検査 では、以下のような様々な栄養欠乏 が見られました。


・ 強いタン白質不足
・ 全体的なミネラル不足(鉄・亜鉛・カリウム・カルシウムなど)
・ 脂肪肝の傾向
・ ビタミンB群不足
・ 低血糖の傾向


などです。


症状から機能性低血糖症 が強く疑われたため、5時間ブドウ糖負荷試験を行ったところ、典型的な無反応性低血糖症のパターンを示しました。


低血糖症には大きく分けて、反応性低血糖症と、無反応性低血糖症があります。


無反応性低血糖症とは、名前のとおりブドウ糖負荷に対して血糖値が上昇しない、あたかも反応していないようなパターンを呈するタイプの低血糖症です。


正常では、ブドウ糖負荷により血糖値は負荷前より50%以上上昇します。
そして、最低値が負荷前の80%未満にはならないのが正常です。
(機能性低血糖症の診断基準についてはこちら


反応性低血糖症とは、血糖値はブドウ糖負荷に対して50%以上上昇しますが(時には200以上に異常に上昇する場合もあります)、その後異常に血糖値が急激に下降し、低血糖に陥るというパターンです。


割合としては、無反応性低血糖症よりも反応性低血糖症のほうが圧倒的に多いです。


無反応性低血糖症は、実際にはブドウ糖に反応していないわけではなく、30分より短いスパンでインスリンの異常分泌→血糖値の下降が起きているために、データ上反応していないように見えているというだけであり(ブドウ糖負荷試験では30分おきに採血を行うため細かい変動をキャッチできない)、実は反応性低血糖症より重症である場合が多いと言われています。


強い うつ症状 を呈したり、リストカットなどをする場合、このパターンが多いと言われています。


この患者様には栄養素の処方を行うとともに、食事の指導(甘いものを控える、タン白質・野菜等を中心に食べる、主食は減らしてGI値の低いものにするなど)をさせていただきました。


そして先日、3ヵ月後の採血のデータをもとにカウンセリングをさせていただいたところ、とても改善していると報告してくれました。


・ 落ち込みにくくなった
・ 自傷行為がなくなった
・ 家族から「一体今日は何時に帰ってくるの?」と言われるほど、外に出ることが多くなった(*もともと外交的な患者様のようです)
・ 精神的にとても楽になった
・ 仕事をやめたが、まあいいか、と思える(前はとても落ち込んでいた)
・ しばらく甘いものをやめていて調子がよかったところに、久しぶりにケーキを食べたらパニック症状が出たので驚いた


とのことでした。


血液データも大変素晴らしく改善されており、とても喜んでいらっしゃいました。


低血糖症の改善には個人差があり、改善にはもっと時間がかかる場合も多いのですが、とても素直に改善されたケースでした。


しかし月経痛がまだ改善できていないので、栄養素の処方を変更して栄養療法を続けていただく予定です。