頭痛と低血糖
今日は頭痛についての話です。
頭痛持ちの方って結構多いですよね。
頭痛にはいろいろな原因がありますが、結構多い原因が低血糖症 によるものなのです。
・吐き気を伴う頭痛(特に月経前)
・頭に輪がかかったようなしめつけ(MRI検査で異常なし)
・時々不整脈や動悸
・月経痛
を主訴に、栄養療法を行った若い女性の患者さんです。
血液データは複合的な栄養障害で、タン白質不足・ビタミンB群欠乏・鉄欠乏・亜鉛欠乏、という散々たる結果でした。
それだけでもいろいろな症状が起こりうるのですが、びっくりしたのが糖代謝でした。
その方は知人で、たまたま体調の話をしていて「じゃあ採血しようか!」といきなり採血することになったので、食後1時間しかたっていない状態での検査だったのですが、なんと、
血糖値が60!
しかなかったのです。
食後1時間だったら当然血糖値は上がっているはずなのに、60mg/dlしかない、というのはかなり異常です。
他の糖代謝を見る項目、グリコアルブミンや中性脂肪、遊離脂肪酸などには目立った異常はなかったのですが、血糖60というのは、それだけで機能性低血糖症を強烈に疑う所見です。
特に食後であった、と言うことが問題です(もちろん食前でも問題なのですが…)。
血糖値というのは本来ホメオスターシス(生体恒常性)によって90~100くらいの一定の範囲内に収まっているはずなので、血糖調節のシステムにかなりの破綻を来たしている、ということになります。
この方は、甘いものはほとんど食べないのですが、とにかく
「白いごはんが大好き!」
という方でした。
ご本人が希望されなかったので5時間の糖負荷試験は行わなかったのですが、ごはんを控えてタン白質を多く食べることと、栄養療法を行っていただきました。
栄養療法を始めて1ヶ月目くらいで生理がきた時、いつもだったら生理前に起きるはずの頭痛がありませんでした。
頑固な頭痛が低血糖によって起きており、糖質の摂り方の改善、栄養療法によって改善した、と考えられるケースでした。
また、中学生の頃からひどくてつらかった生理痛もすっかり治ったので驚いている、とのことでした。
まだ栄養療法を行って3ヶ月たっていないのに、素晴らしい改善です。
低血糖で頭痛が起きる原因としては、脳に糖を優先的に配分するため血管拡張が起こるとか、または低血糖により分泌されたアドレナリンが血管収縮することによる、などといわれています。
そういう私も実を言うと頭痛持ちでした。
なぜ今日このテーマについて書いたかというと、先日久々に自分も採血をしてデータを見たのですが、低血糖の兆候があったので、ちょっとショックだったのです・・・。
確かに、最近横着して食事がいいかげんになっていて、パンやサンドイッチやおにぎりなどの炭水化物が多かったのです(甘いものはあまり食べなかったのですが…)。
そしてそのせいか、しばらくぶりに、頭痛が時々していたのでした。
そして、勤務医時代、朝ごはんを食べない日に決まって頭痛が起きていたことを思い出しました。
その頃は、「朝食を抜くと頭痛が起きる」という関連性は自覚していましたが、どうしてそうなるのか、ということはさっぱりわかりませんでした。
今思うと、低血糖になっていたのでしょうね。
それから気をつけて、タン白質と野菜中心の食事に戻したら、頭痛はなくなりました。
頭痛持ちの方は、糖質を控えてみられるか、未精製の穀物に変えてみられることをおすすめいたします。