雨、時々雷雨

雨、時々雷雨

駄文を投げていきます。
気に入っていたたければ何よりです。
最近は究極ゼロにハマっております。
しかしアニメが終わってしまいました。
どうやって燃料を補給すればいいんでしょう?

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授業にイマイチ集中できない俺は、窓の向こうを眺めていた。こんな退屈な時こそ侵略者が攻め来ればいいのに。…ちょっと不謹慎か。
侵略者といえば守護者。世界のために戦うなんてカッコイイし、憧れる!…とか口に出せばみんな笑うんだろうけど、まだそう思ってたりするんだよな。

「遠野さん、57ページの5行目から次の段落まで読んで下さい」
「はい!えぇっと…」

外では梅雨よろしく雨が降っていた。黒雲は水平線まで広がっていて、二度と光り輝く太陽を見上げることができない様な感じがする。そんなことはありえないけど、ありえてしまうんだ。
唐突にチャイムがなった。

非常事態警報が発令されました。生徒の皆さんは速やかにシェルターへと移動して下さい。繰り返します…

来た。非常事態警報。侵略者が宣戦布告をした時に発令される、あの…!

「仕方ないですね。早くても30分はかかりますから、続きは明日に。さあ、皆さん移動しますよ!」

先生の指示に従い、教室を出る。こっそり残ってしまおうか。なんて考えていたら頭にゲンコツが落ちてきた。

「いってえ!なにすんだ莉花!」

痛さで涙目になりながら抗議の声をあげた。殴った本人は人差し指をたて、こう宣言する。

「四月一日莉花のルール第26条!非常事態警報が発令されたら慌てず騒がずすぐシェルター!」
「お前のルールだろ?俺には関係な」
「あ・り・ま・す!ほら、行くわよ!」

襟を捕まれた俺は、ズルズルと引き摩られるようにしてシェルターについた。あまり、シェルターという空間が好きじゃない。

(…?どうして外に?)

すれ違いに霧ヶ谷はシェルターを出て行った。生徒会メンバーだから出てもいいのか?いや、そんなことはないだろう。侵略者が来てる以上外に安全はない。先生が許さないはずだ。

「なあ莉花、トイレ行きたいんだけど。行ってもいいか?」
「はぁ?もう。こんな時に?」
「すぐ帰って来るからさ。行ってくる!」
「ちょ!零ー!!」

人目を盗んで移動する。案外簡単に校舎まで来れた。見える範囲を探して見るけど霧ヶ谷の姿は…ない。

「…やっぱ外に出てる訳ないよな」

渡り廊下から外も見たけどいない。。諦めてシェルターに戻ろうと踵を返したその時、背後で盛大な破壊音が轟いた。嫌な予感しかしない。ゆっくり振り返ってみればそこには

「侵略者…!」

巨大なトカゲのような ― そう、確かこういうのは竜とか言うんだ ― 侵略者は校庭に叩き付けられたが、すぐ唸り声を上げながら飛び上がった。視線の先には一人の少女。彼女はびしょ濡れになっていたが、そんなことは気にも止めていないのか、跳躍し、侵略者を蹴り飛ばした。

「もしかして…守護者!?」

重力に従い落ちて来た少女は、声で気が付いたのかこっちを見た。長い銀髪を高いとこで一つに結い、本当はふわふわしてるだろう青い服を着ている少女は、とても侵略者と戦う守護者には見えない。

「…少し隠れてて下さい」
「お、おう」

俺は校舎に引っ込み、窓から様子を伺う。少女は調度腰にあるケースからカードを一枚取り出していた。

「…」

少女が何か呟くと、応えるようにカードは光を放ち、目を開けた時には代わりに2~3mはあるだろうランスに変わった。まさか、と思ったがそのランスを侵略者に向かい、投擲する。人間で言うなら心臓の位置に、それは深々と刺さった。

「すっげえ…」

思わず声に出る。致命傷を負った侵略者は、紫の光を伴った爆発を起こし、消滅した。
顔に張り付いた前髪を掻き上げ、気怠げに溜息を吐く少女は、どここらどうみても美少女だ。そんな少女はランスをカードに戻しながら俺に詰め寄っていた。

「何で外に居るんですか。非常事態警報が発令されてるはずです。どうやって外に出たんです」

顔が近づく。あんまりにも近いから、流石の俺も顔を赤くした。

「黙ってないで答えろ」
「…可愛いから、見とれてた///」
「なっ…///」

答えになってない答えに、胸倉を掴んでいた少女も顔を赤くする。空気を求める金魚みたいに口をぱくぱくさせ、耳まで赤くなっていた。

「ふ、ふざけたことを言ってないで、早く避難しろぉ!!」

照れ隠しの腹パンを食らう。鳩尾にクリティカルヒット。少女のだろう悲鳴を聞きながら、俺は意識を手放した。



「…失敗した」
「後で教師に預けましょうね」
「そうだな」
「…どうかなさいましたか?」
「なんでもない。急いで終わらせるぞ」
「了解です、霧ヶ谷様」