中学生時代
どんな運動をやっても

 

敵なしと言って
言いすぎないレベルで
運動神経が抜群だったAさん。



特定の部活には所属せず
常にどこかしらの
運動部に呼ばれていた。
 

特に球技はピカイチで
都大会や全国大会で

何度も貢献していた。
 

ところが
高校に進学すると
全く運動をしなくなった。


 

Aさんとは
たまたま中・高と一緒だった。
 

仲良く遊ぶ仲ではなかったが

ある時、運動をやめた理由が
無性に気になった。
 

そこで
直接聞いてみることにした。



授業が終わるとすぐに
帰宅することは知っていた。
 

放課後に下駄箱で待ち構える。
待つこと数分—
 

Aさんが下駄箱に来た。


 

早速Aさんに声をかけた。
クラスは違えど面識はある。
 

ひさしぶり、などと
他愛無い話をしながら
高校を出発した。


 

運動をやめてしまった理由を
質問してみる。
 

Aさんは眉をひそめ
数十秒の沈黙—
私はAさんの返答を待った。
 

しばらく無言で
並んで歩いていた。


そして
ふっと深呼吸をすると
ゆっくりと語り始めた。
 

『霊が視えるようになった』
 

それがきっかけだと言う。


 

今度は私が言葉に詰まった。
 

口をパクパクするが
全く言葉が出てこない。
 

その様子を横目で見ながら、
Aさんは話を続けた…


 

中学3年の夏ぐらいから
ぼんやりとした光が
視えるようになった。
 

それが徐々に
人の形に視えるようになる。
 

中学を卒業する頃には、
はっきりと霊だと
分かるようになったそうだ。



休憩時間に友人達と
バスケやサッカーなどの
球技をすると
 

一瞬の判断では
人か霊かが分からなかった。
 

パスやポジション取りで
ミスが頻発したそうだ。


 

幸い部活は
3年の夏で引退をしていた。
 

大会に参加することも
呼ばれることもなくなっていたので
 

誰に気づかれることはなく
今まで隠し通してきたそうだ。


 

話の流れで
今は何をしてるのかと尋ねる。
 

PCゲームにハマっているようだ。
 

チームで音声チャットをしながら
敵と対戦しているらしい。


でもね…
とAさんは続ける。
 

『ゲームも邪魔してくるんだ』
 

どうやら霊の声まで
聞こえるようになったらしい。

Aさんは霊感も、
敵なしになりそうだ—

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【YouTubeショートverはこちら👇】

 


【stand.fm verこちら👇】