Official髭男dismの「アポトーシス」という曲、ご存じですか?
私は、演奏する機会があって知ったのですが。
タイトルの「アポトーシス」とは、細胞の死。
それはネガティブなものではなく、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理された細胞の死のことを指すそうです。
髭ダンの「アポトーシス」
描かれるのは、老夫婦。
老婆は自らの死を悟り、愛する妻の死に怯える夫に「そんなに怯えないで、ダーリン」
と話しかけます。
でも「そう言った私の方こそ、怖くてたまらないのだけど」
と、心境を吐露するのです。
足音を立てずに近づく、逃げることのできない「死」に抗うように、お互いの愛を確かめ合う老夫婦。
でも、「落ち葉も、蝉も、古びれていく駅も朽ちていく校舎も。私たちと同じだって、ちゃんとわかっているよ」と頭では理解しようと努める老婆。
ロウソクが増えていくバースデーケーキは、年々食べ切れる量が減っていく。
火を吹き消した後に訪れる、温かい幸せが、
いっときの物でいつか終わってしまうだなんて。
あんまりだ、って誰彼構わずすがりたくなってしまう。
でも、最後には愛する夫の側で、眠りにつく老婆。
そんなお話しです。
すごく素敵なので、良かったら観てみてくださいね。
私は、一昨年父が癌で亡くなったとき、何度もこの曲を聴いて涙を流しました。
最期のときは、妻と娘と孫たちに囲まれて逝った父。心残りは私のことだったみたい。
ひとり親になって、
心を壊して正社員で働けなくなって、
同じ頃不登校になってしまった子供達。
ひと駅先とはいえ、離れて住む私と子供達のことを、いつだって気にかけてくれていた父。
最期は私の手を握って、最期の息を吐いて、
「がんばれ」
って言いました。
あぁ、まだ涙が出てきます。
子煩悩だった父。娘2人だったから余計ですね。
大丈夫。
中学に通えなかった娘は、高校には一度も休まず通って特待生に。4月からは就職して、頑張って働いてるよ。
私は…睡眠導入剤の服薬は続けてるけど、
週二だった出勤は、今は週四まで増えて。
支えてくれるといいな、と思える人にも出会えてるよ。
アポトーシスの物語のように、愛するパートナーの側で人生の幕がおろせたら…
きっと幸せ、ですね。