「そんなんだから、子供が不登校になるんだよ!」
と言い捨て、一方的に電話を切った今妻ハルコ。
はぁぁぁぁぁ!???
言い返したいことは山ほどあるのに、非通知電話だから電話を折り返せない。
一方的に捨て台詞を言い放たれ、言い返すことすら出来ない私は、侮辱された憤りと悲しみで、体の震えを抑えるのが精一杯だった。
確かにその頃、小学校高学年に差し掛かった長男が、学校に行き渋るようになっていた。
元主人ケンジにもそのことは伝えていたが、
「学校には必ず行かせてください。日本じゃ学歴がなければ稼ぐことができませんから。」
「学校に行かないのであれば働かせてください。学校に行けないなんて甘えです。」
と、的外れな返信ばかりが来ていて、私は辟易していた。
【学校に行ってほしい】
そんなこと、あんたに言われなくても私が一番思ってる。
学校の担任は勿論、学校カウンセラー、市の支援センター…いろんなところに相談に行っている。
その上で、
「学校に行けない君は、悪くない」
「学校に行けなくても大丈夫」
と子供に伝える。それが大事、と口を揃えて専門家が言う。
それから時が過ぎた今現在は、わかる。
どうしても行きたくない子供に、「学校に行きなさい」は、地獄の言葉。
でも、その頃必死で正社員で働いていた私に、「行かなくてもいいよ」と声をかけるのは、とてもとても辛いことだった。
それこそ気を病んでしまう程に。
そんな私の気持ちも知らないケンジが、好き勝手な言葉を並べて私に送ってくるのが、当時の私には許せなかった。
「子供と面会しても、学校のことは言わないであげて」
「こちらは専門家と相談しながら、丁寧に対応しています」
「あなたは『子供の育て方について夫婦で相談する』権利を自分から捨てたんです。今後口を出さないでください」
そう返信していた。
どんなふうに、今妻ハルコに伝えていたかは知らないが、怒りの矛先は当然ケンジにも向かった。
どうして私が、電話で一方的に責められなきゃならないんだ!!