「片親の子と会わせたくない。息子の教育に悪いから」
「両親が離婚した子が同級生にいたんですけど。その子、いじめられてたんで」
と言い放ったハルコ。
それまで、彼のオモテの面しか知らず、短い付き合いで子供をもうけ。
(私からしたら案の定)ケンジに女性関係で裏切られ、元妻の私に居ても立っても居られず?電話をしてきたハルコに、怒りや困惑と共にどこか同情のような気持ちもあった私だったが。
この発言には怒りに震え、反論した。
「お言葉ですけど」
「私は彼と学生の頃に知り合い、7年付き合って結婚、10年の結婚生活を経て、子供たちを2人もうけました」
「結果的に彼の不貞行為が原因で別れることになりましたが、それまではいわゆる『4人家族の普通の家庭』でした」
「そもそもケンジさんが再婚されたことも、私は聞いていません。子供達はケンジさんの実家に『父親との面会』で行っているだけで、私が『預けている』訳ではありません」
「片親の子、とうちの子のことをおっしゃいますが、失礼じゃありませんか?バツイチ、子持ちの男性を選んで再婚されたのはそちらでしょう?」
「しかも家庭を壊す理由を、うちの子たちが片親になる原因を作ったのは、あなたの旦那様であるケンジさんです」
「私は離婚してから正社員として家庭を支え、片親だからと子供達に辛い思いをさせるものか、と日々暮らしています」
「あなたのお友達がそれを理由にいじめられていたかどうかは知りませんが、うちの子たちはそんなことを理由にいじめられたりしてないので」
「片親だから、なんて失礼な言葉、ケンジさんを選んでご結婚されたあなたに言われる筋合いはありません」
怒りで震えそうになるのをなんとか抑え、声を振り絞った。
急な私の反論に面食らったのか、ハルコはこう言い捨て、一方的に電話を切った。
「そんなんだから子供が不登校になるんだよ!!」
……はぁ???