ユーモアに満ちた 奥深い研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の今年の受賞式が12日(日本時間13日)、米マサチューセッツ州ケンブリッジで開かれました。


「多くの哺乳類が肛門を通じて呼吸する能力を持つことの発見」で「生理学賞」を受賞した武部貴則・東京医科歯科大教授(37)ら 6人が出席し、受賞を喜びました。


生理学賞は受賞した のは日米計11人のチームで、日本の研究者の受賞は18年連続です。


 研究は京都大の研究者らとの共同で2016年に始まり、 当初は肺を人工的に 作製することが目標でした。


しかし途中でドジョウが酸素不足に陥ると腸で呼吸する仕組みに着想を得て、哺乳類でも試すことに。


 低酸素状態にしたブタやマウスの肛門に酸素を豊富に溶け込ませた化学溶液を注入すると、腸での呼吸で呼吸不全の症状が改善しました。武部さんらは21年、国際科学誌でこの手法を公表しました。


 チームの成果を基に現在、東京医科歯科大発ベンチャー「EVAセラピューティクス」(大阪市)などが、呼吸が困難な低体重の赤ちゃんの低酸素状態を治療する方法として、実用化に向けて治験を進めています。


 受賞式で武部さんは「肛門によって呼吸ができる可能性を信じてくれてありがとう」と挨拶しました。


 式後には「ちょっと変わった考えが、新しい医療の可能性を広げることがある」と述べられ、笑顔を見せられました。


〈 驚くべき発見です。 治験が成果を上げれば、更に応用研究が広がりますね。〉