台湾有事の机上演習「台湾海峡危機政策シミュレーション」(日本戦略研究フォーラム主催)が13、14両日東京都内で行われました。平時から有事に移行するシナリオを設定し、武力攻撃予測事態の認定など政府対応を議論、検討したのです。

 

 机上演習には、現職国会議員13人を含め、官僚・自衛隊OB、米国と台湾の専門家ら計約60人が参加し、それぞれが首相、正副官房長官、防衛・外務など6省の閣僚・次官、統合幕僚長・陸海空3幕僚長、米国大統領・国務・国防長官、台湾総統・参謀総長などの役を務めました。

 

 シナリオは、中国の習近平国家主席が2027年秋の共産党大会における総書記3期目の任期切れを控えて、台湾統一という歴史的成果を求めていると想定し、①平時からライト・グレーゾーン、②ダーク・グレーゾーン、③台湾海峡の現状変更への着手(③は非公開) ―― と、危機が3段階で高まる状況を設定しています。

 

主要な事態の局面では、「首相官邸や各省が個別に対応を検討」→「次官級の省庁会議で政府全体の対応を検討」→「閣僚会議で対応を決定」というサイクルを繰り返しました。また、この途中で、日米の首脳・閣僚会談や日台協議など随時盛り込んでいます。

 

  この様な、国会議員や防衛省・自衛隊OBらで構成する日本戦略研究フォーラムの演習は4回目といい、今回は、複数の有事が連動する複合事態への対応や、経済分野への影響に焦点を当てています。

 

このため、①では、青森県沖などで M9級の大規模地震が2回発生すると想定しました。自衛隊の震災対応は、東日本大震災と同様の10万人体制で、陸上総隊司令官が指揮。中国軍の活動活発化を踏まえ、来春に新設される統幕の統合作戦司令官は南西防衛を担当し、役割分担をしています。

 

②では、北朝鮮による弾道ミサイル発射の増加や韓国漁船の拿捕など、朝鮮半島有事の可能性が高まり、米国は、朝鮮戦争時の国連軍の活動を再開する可能性を日本に通知。日本は在日米軍の軍事活動に関する事前協議や、国連軍を後方支援するための物品役務相互提供協定(ACSA)締結を検討します。

 

経済への影響では、国内の液化天然ガス(LNG)施設が使用不能になる事態を想定し、LNGが2~3週間分の在庫しかないため、備蓄分はガスにまわし、電力は石炭火力発電などで補う対策を検討します。

 

さらに、②で最も議論となったのは、在留日本人の退避や、武力攻撃事態法に基づく「武力攻撃予測事態」の認定のタイミングです。

 

台湾や韓国の情勢が緊迫した場合、海外安全情報をレベル2「不要不急の渡航自粛」からレベル3「渡航中止勧告」に引き上げる必要があります。ですが、レベル3になりますと、通常の商用便が運航せず、在留日本人の帰国が難しくなるため、レベル2のまま帰国を促すことにしています。

 

< 私を含めて国民の多くは、既に3回も、台湾有事に対する机上演習が行われていたことに、驚くことだと思います。

日本は台湾を中国の一部と認めて国交正常化したことを、思い出してください。>