社会の中核となりつつある30歳前後から40歳前後の「ミレニアル世代」の人々の、仕事や家庭に関する意識は、それ以前の世代のそれと比べて大きく変わったようだ。

団塊世代の評者が同年代だった時代は遠くなりにけりである。

 

 本書はこの世代の中で、夫婦とも総合職、基幹職のケースを対象に仕事や家事、育児に関わる実情と思いについてインタビュー調査を行った結果をまとめたものだ。

 

 調査から浮かび上がった、この世代の、それまでの世代とは異なる考え方の変化と、それを実現するための様々な取り組みや、その阻害要因が興味深い。特筆すべきは男性の意識変化せある。

 

この世代の夫の半数近くが妻のキャリアアップも望み、またかなりの人が親密な関係を作るために子供と関わる時間を増やしたいと思っている。仕事のためにプライベートタイムを犠牲にしたくないという考えが強いのだ。

 

 この夫婦たちの目指すものは「共働き・共育て」を実現するることにある。この思いは妻が総合職でない場合も同じだろう。だが両立への理解と支援が進んでいる職場も増えているものの旧態依然のケースも少なくないようだ。

 

 経営層、マネジメント層の意識改革や実際のオペレーションが十分でなく、制度があっても機能してない職場では長時間労働が是正されず、夫の育休がとりにくいことが妻の負荷を相変わらず重くしている。

 

さらに産後の女性には将来のキャリアアップにつながらない仕事を、本人の意向も聞かずに割り当てるなどの管理者の思い込みが、部下の意欲を削いでいる実態があるという。

 

労働時間の短縮を図ることやきめ細かい対話を通じてその環境や意向を確認のうえ、部下の思いを尊重してマネジメントすることが管理者の重要な役割となるだろう。

 

時代は大きく転換しつつある。「共働き・共育て」を目指す方々はもとろんのこと人事担当者やマネジメント層にはぜひ読んでいただきたい一冊である。

 

<「〈共働き・共育て〉世代の本音 新しいキャリア観が社会を変える」(本道敦子 21世紀職業財団研究員、山谷真名 同主任研究員、和田美幸 同研究員著 光文社新書 968円)という本を、佐藤義雄氏(住友生命保険特別顧問)が紹介されています。

 

子供たちですが、上の二人と下の一人とは、明らかに違いがありますね。>