美結「......」

つばを飲む美結は、

ゆっくり息を吐いた後スマホで検索する。


"聖心白薔薇学院 事件"


検索結果に表示されたのは、

多数の関連ワードに記事。

覚悟は決めていたが、

美結の目に映る容赦ない現実に息が止まる。


『〇〇 中学1年生 自殺未遂』

『聖心白薔薇学院 自殺未遂』

『中学生 自殺未遂 原因』

『聖心白薔薇学院 自殺未遂 いじめなし』

『私立中学校 自殺未遂 ニュース』

『中1女子 自殺未遂 虐待』

『〇〇 中学生 ナイフ』

『中学1年生 自殺未遂 報道』


『私立の女子中学生 自殺未遂の原因』

という見出しの記事には、

"豪邸育ち?"

"虐待されていた?"

"宗教が関係していた?"

など様々な考察が書かれ、

県内の私立校が挙げられる中、

"聖心白薔薇学院"と推測も載せられていた。

また、『聖心白薔薇学院 怖い』

『聖心白薔薇学院 洗脳』と関連ワードもあり

マスコミのように探る不特定多数の情報に

目が眩む美結。

美結「(やっぱり...本当だったのか...)」

そして本題の記事を開いた。


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『〇〇県の中学1年生が自宅で自殺未遂 - SOS届かず』

2013年5月30日

〇〇市に住む中学1年生のAさんが

自宅で自殺を図り、ナイフで首を切った。

血を流して倒れているAさんを家政婦が発見し、

119番に通報した。

警察と救急隊が現場に到着し、

Aさんは緊急医療を受けたが、重体のため入院中である。


担任教諭によると、

Aさんは学校生活においていじめの兆候は見られず、

同級生からも慕われていたという。

普段は勉強に熱心で真面目な性格であり、

学校が終わると毎日介護施設でボランティアを行っていた。周囲からはその姿勢が高く評価されており、

彼女の優しさや思いやりが多くの人々に好かれていた。


Aさんの家族は、

「家庭には問題がない」と強調しているが、

彼女の自殺未遂の原因は依然として不明である。


Aさんは自殺を図った際、

首を十字の形に切るという行為を行った。

カトリックの教育方針に基づいて育ち、

私立学校でも同様の教育を受けていたAさんは、

この宗教的背景が、彼女の成長や心理状態に

影響を与えていた可能性についても専門家は指摘している。

心理学者の堺氏は、「思春期の子どもは、

学校や友人関係、家庭からのプレッシャーなど、

さまざまな外的要因や内面的な葛藤を抱えやすい。

このような状況では、周囲の人々が理解し、

支えることが非常に重要です。

特に、感情やストレスを話しやすい環境を作ることが、

子どもたちの心の健康を守るためには欠かせません」

と述べている。


この事件は、未成年者のメンタルヘルスに関する問題を

再考する重要な契機となるだろう。

日本では、若者の自殺率が増加傾向にあり、

心の健康についての理解を深めることが急務である。

専門家は、「家庭や学校が一体となって、

子どもたちの心の健康を守るためにできる

具体的な対策を考える必要がある」と強調している。

たとえば、定期的なカウンセリングや、

感情を表現する機会を提供することが重要だ。


社会全体で心の健康についての理解を深め、

周囲のサポートの重要性が再認識されている。

地域のコミュニティや支援団体との連携が、

子どもの心のケアを強化するために

役立つと考えられている。

今こそ、子どもの心のケアが重要だ。

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美結「......」

美結は受け容れたくなかった。

Aさんが葵だとは。