男性の育児休暇について | キャリアコンサルタント福井祐平の『What's人財』

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企業や社会が求める『What's人財』をテーマに、キャリアコンサルタント福井祐平の視点で書いています。


安倍晋三首相が育児休業3年や待機児童解消を掲げ、経済界にも女性の活用を呼びかけています。上場企業の女性役員の人数を公表する動きも出ています。



現在、育休3年の議論で北欧が採用する「パパクオータ制」も注目を集めており、男性の働き方を見直す契機となる可能性が出てきています。



パパ・クオータ制度とは、育休の一定期間を父親に割り当てるもので、1993年にノルウェーが導入し、北欧を中心に広がりました。ノルウェーの場合、育休を最長で54週間取得でき、うち6週間は父親のみが取得できます。父親が取らなければ、権利が消滅してしまうのが制度の特徴です。



2012年度の産休の取得率は、女性が94.7%なのに対して、男性は8.4%となっています。(東京都産業労働局調べ)



東京都産業労働局が実施した、男性が育児休暇を取得するにあたり課題アンケートの結果は、下記のとおりです。

<男性育児休暇の課題>
・代替要因の確保が困難:57.2%
・男性自身に育児休業を取る意識がない:49.0%
・前例(モデル)がない:35.8%
・休業中の賃金補償:33.3%
・職場がそのような雰囲気ではない:19.7%
・社会の認識の欠如:11.6%
・上司の理解不足:9.8%
・キャリア形成において不利になる:5.8%
・その他:4.7%
・無回答:5.0%



現在の日本の法律では、育児給与基本給付金に上限が設定されています。男性が一家の家計を支えているケースが多く、そのため育休を取得できておりません。そこで政府は、育児給与基本給付金受給者でも在宅ワークを認める法律改正を進めています。



旭化成では、男性社員も育休を取得できるように、「育児休業の5日間有給化」、「配偶者条件の撤廃」、「休業の複数回取得可」、「短期であれば上司への口頭で取得可能」に制度を改革しました。



東証一部上場企業の大手IT企業、サイボウズの青野慶久社長は第一子と第二子それぞれの時期に育休を取得して大きな話題を呼びました。



青野慶久さんは、男性の育休を取得しない理由について、「男性が育児休業をとる勇気が出ないのは、取得すると昇進の道から外れてしまうのではないかと考えるからです。その裏には男性は昇進しなければならないという価値観があります。」と言っています。



また、「管理職の数が変わらないとして、3割を女性にするならば、男性の管理職が3割減ることになります。男性の価値観を変えていかないと、解決しない問題も多くあります」。とも言っています。



政府は2012年に、男性の育休取得率について「2020年に13%」という目標を設定しました。今後の政府の取り組と、企業の制度改革に注目です。

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福井祐平