正社員の解雇規制緩和 | キャリアコンサルタント福井祐平の『What's人財』

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企業や社会が求める『What's人財』をテーマに、キャリアコンサルタント福井祐平の視点で書いています。


2013年3月15日、安倍政権の成長戦略づくりを担う産業競争力会議が開かれ、民間議員が、解雇を原則自由にするよう法改正を求めました。解雇規制の緩和および労働市場の流動化が提言、検討されています。



現在、正社員を解雇する時は「整理解雇の四要件」を満たさないといけません。

【整理解雇の四要件】
・人員整理の必要性
余剰人員の整理解雇を行うには、削減しなければ経営を維持できない状況でないと解雇できない。


・解雇回避努力義務の遂行
人員整理は最終選択手段である。役員報酬の削減、新卒採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向などの経営努力がなされたあとに着手する必要がある。


・被解雇者選定の合理性
解雇するための人選基準が合理的で、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。


・手続きの妥当性
整理解雇については、説明、協議、納得をえるための手順を踏まないと無効とされる。



解雇規制を緩和する理由は、労働市場を流動化して成長産業へ人が移動することで経済が成長し、労働市場が拡大することを目的としています。



ドイツでは、解雇しやすく法改正を行い、失業手当の給付期間を短縮する一方、失業給付を社会扶助の同額まで引き下げました。その結果、短期的に失業者が500万人を超えたが、長期的には、雇用の流動性が高まり、逆に労働市場が拡大して失業者が減少しました。



労働市場が活性化されると、労働者に理不尽を強いるようなブラック企業は淘汰されていき、また社員は嫌な会社にしがみつく必要が弱まるので、セクハラやパワハラの問題状況も大きく変わる可能性が出てきます。



逆に、会社への帰属意識の低下や短期的かもしれませんが失業者の増加が問題となってきます。



現在の日本の1年間の会社設立数は、下記のとおりです。(法務省より)

【株式会社設立数】
2010年度:80,535社
2011年度:80,244社
2012年度:81,312社



政府が発表している経済成長戦略業界分野は、下記の通りです。

<成長戦略業界分野>
医療、介護、健康、エネルギー、自動車、住宅、都市開発、農林漁業



転職では、業界未経験者は採用されにくい傾向があります。労働市場を活性化させるには、労働訓練を実施する必要があると思います。



また、大卒の就職内定率が約80%で毎年約7万人が卒業しても就職できていない状況です。労働市場の流動化も大切かもしれませんが、新規労働者への就業機会を作ることも必要だと思います。



今後の政府の動向に注目です。

福井祐平



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