2022年3月8日

 

 

ある日ある時あるフリマアプリで、出品された中古のお雛さま(25000円送料込み)をめぐってこんなやりとりがあったとサ。

 

以下 購入希望者 A、 出品者 B

 

 

 

A  購入するボタンを押して取引メッセージに書き込む。

 

A  「天冠をかぶったお雛さまを探していました。よろしくお願いします」

 

A  (ドキドキしちゃう、楽しみだわ)

 

B  「ご購入感謝します!もしよろしければ此方で自家配送いたしましょうか?」

 

A  (?)

 

A  (説明文には「40年前に母親に買ってもらったお雛さまだ」とか書いているけど、「こちら」を「此方」に変換するって今どきの40代の女性がするかしら?)

 

B  「宅配便ですと、着払いの設定となりますので、約一万円の送料となります。」

 

A  (送料込みじゃなかったの?)

 

A  (落ちついて)

 

A  (とりあえず)

 

A  「そうですか」

 

A  「どちらからいらっしゃいますか?直接手渡しの場合も代金のやりとりはフリマを通す決まりとなっていますが、その手続きは大丈夫でしょうか?」

 

B  「東京で御座います。往復のガソリン代で三千円いただきたいと考えております。もちろんフリマを通して決済いたします!」

 

A  (え~?ガソリン代とるの?)

 

A  (それに『御座』いますって・・)

 

A  「東京の、どちらからですか?」

 

B  「世田谷で御座います!」

 

A  「ちょっと時間をください」

 

B  「了解いたしました!着払いだと一万円はかかってしまうと思われます!」

 

A  (『!』が大安売りになったわね…)

 

B  「何かご不安、ご心配が御座いましたらお申しつけください!」

 

A  (不安や心配はないけど『不信感』でいっぱいよ)

 

A  (だけどあなたには言わない、フリマ事務局に問い合わせる)

 

A  (さっきまでの楽しい気分はどこへやらだわ)

 

 

6時間後

 

A  「仮にわたしが出品者で、思い入れのある大切なものをフリマに出したとして、宅配便では配送料がかかってしまうから自分で直接お届けしようと思ったら、ガソリン代は請求しません。たとえ高速道路を使ってもです。親切なお申し出と思いましたが、親切というものは、その対価を要求した時点で親切ではなくなります。

わたしは世田谷区の出身ですので、世田谷からこちらまでのガソリン代が高速料金を含めても三千円かからないとわかっています。もしガソリン代を請求するなら、最初にその旨も伝えるべきです。このような状況で笑顔で商品を受け取ることはできません。次に何を言われるかわかりませんし。

わたしがこのフリマを利用するのは、どんな小さなものでもメッセージカードが入っていたりして、いつも出品者の善意を感じるからです。以前、購入したお皿が一枚割れて届いたことがありました。梱包は丁寧でしたが、その上に置かれた大きな重たいもので外箱全体がつぶされたのがわかりましたので、出品者のミスではないと思いました。受け取り報告はしないわけにいかないので写真を添えて報告し、でも購入者の評価は「よい」としました。取引メッセージも感じがよかったし、家族も減ったので、5枚そろっていなくても別に構わないと思ったからです。その旨も取引メッセージ欄に書きました。しかし出品者さんは気の毒なくらい謝ってくださり、代金は請求されませんでした。

今回の件は最初の説明文の通りに、送料は出品者負担で宅配便で届けていただきたいと思います。返信に時間がかかりましたが、フリマ事務所と相談してこのように決めました」

 

B  「A様、了解いたしました!宅配便でお送りします!」

 

A  「お願いします」

 

 

一分後

 

B  「A様のお話を聞かせていただき、もし可能でしたらで構わないのですが、此方の考えを改めさせて頂く機会をいただけたら幸いで御座います」

 

A  (おお、即レス。今度は何を言ってくるの?)

 

B  「お雛さまのお人形なのですが、きれいに梱包させて頂いたために、少し宅配便では不安もあり、もちろん送料は此方で持たさせていただきますために、本当に気分を害さなければで宜しいのですが、此方で配送させて頂けましたら幸いで御座います。長文失礼いたします」

 

A  (事務局に問いあわせしないといけないなんて、すでに十分気分は悪いわよ)

 

A  (せめて『ご気分』と言ってほしい)

 

A  (それに正体のわからない人に玄関先まで来てほしくない)

 

A  「では宅配便でも大丈夫なように梱包してください。箱の上に「人形」「割れ物」と書けば宅配業者もプロですからそのように扱うでしょう」

 

A  「わたくしには戦前に父の実家が三越で誂えた雛人形がございましたが、子どもたちは全員男の子でしたので、出番のないまま実家のどこかで眠ったままとなりました(本当はちょっと違うけど)。子どもたちも成人しましたので、わたくし自身のために購入を決めました。お譲りいただくお雛さまをかわいがるためにも、直接お目にかからないほうが良いと存じます。

そちらさまのお考えを改める機会はすでにさし上げました。この件で何かしらの教訓を得たとお思いならば、次回からの出品に生かしてください。説明文は誠意をもって本当のことだけを書き、その通りの取引をしてください。配送は宅配便で、送料は出品者負担でお願いします」

 

A  (こんなに丁寧な言葉使いする必要はないんだけど)

 

A  (少しは反撃させてもらわないと。戦前に三越で誂えるって、どんなことかわかる?)

 

 

3時間後

 

B   「すみません。説明文を間違えて記載してしまっていました。送料は着払いとの記載で既に載せてしまっているために申し訳ないのですが、今回はキャンセルでお願いします」

 

A  (間違えて記載したの(笑)?スマホでスクショした説明文をいくら読んでも「送料は着払い」なんてどこにも書いてないけど?取引が始まってからあなたが言い出したことでしょう?)

 

 

10分後

 

フリマ事務局 「この取引は出品者がキャンセルを事務局に申請しました。24時間以内に購入者がキャンセルに応じない場合、自動的にキャンセルされます」

 

A  (ほんとにキャンセルされちゃったのね)

 

A  (もうこのお雛さまに未練はない。いま天冠をかぶっているお雛さまは少ないし、お顔立ちもわたしのお雛さまによく似ていたからうちに来てほしかったけど)

 

A  (お雛さま、買ってあげられなくてごめんね。いい人のところに行って飾ってもらってね)

 

A  (だけどなんだか心配な気もする。だまされる人が出ませんように)

 

 

23時間30分後

 

A  (あと30分でキャンセル申請後24時間たつ。そろそろ「応じる」ボタンを押すとしますか)

 

A  (これ以上引きのばしてもさらなる展開はなさそうだし)

 

A  (ポチ)

 

A  (でも)

 

A  (フリマ事務局から定型文じゃない直返事が来るなんてめったにないことよね)

 

A  (少なくともわたしは初めてだわ)

 

A  (それもスクショしておいたらおもしろかったかも)

 

A  (・・・・・・・・・・)

 

A  (なんとなく)

 

A  (セーラームーンにでもなったみたいな気分)

 

A  (月にかわってお仕置きよ!!)

 

A  (なーんてね)

 

A  (見たことはないんだけどね)

 

A  (わたしって意地悪?)

 

A  (性格悪い?)

 

A  (どっちでもいいわ、ただああいうヤカラに黙って引き下がりたくないだけ)

 

A  (おやすみなさーい)