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今回は充電式のニッケル水素電池です。

ニッケル水素電池でもっとも有名なのはSANYO eneloop だと思いますが、皆さんはeneloop の何が凄いのかをご存知でしょうか。それは、自己放電抑制技術です。もともとニッケル水素電池は、蓄えた電力が短期間のうちに抜けていってしまう(自己放電がひどい)性質でしたが、eneloop の登場によってそれは過去のものとなりました。
(会社の合併などで、現在eneloop の販売元はPanasonic となっています)

最近では、ほとんどのニッケル水素電池メーカーが自己放電抑制型を作っていると思われます。国内のメーカーはもちろん、ネット通販でしか見ないような中国製の電池でも、その大半は自己放電抑制型だと説明されています。

そこで、一般の家電量販店などには置いていない以下の4銘柄について、自己放電の様子(1か月後の残存率)を比較してみました。サイズは単4 を選びました。



(左から順に)
1: Amazonベーシック ニッケル水素電池 / 日本製
ネット通販Amazon のPB商品。外装デザインはAmazon のオリジナルですが、中身はSANYO eneloop ではないかと言われています。
(スペック上は、半年後の残存率が85%、1年後80%、2年後75%、3年後70% とされています)

2: enelong(エネロング) / 中国製
eneloop(エネループ)の名前を真似た中国メーカーの電池です。中国製のニッケル水素電池は通販サイトを見ると多々あるようですが、こちらは名前の効果でかなり目立っていますね。
(スペック上は、半年後の残存率が85%、1年後80% とされています)

3: enelong SUPER(エネロング スーパー) / 中国製
これは2 の姉妹品で、大容量タイプです。
(スペック上は、半年後の残存率が85%、1年後80% とされています)

4: VOLCANO NZ / 中国製
100円ショップのセリアなどで売られているニッケル水素電池です。商品には輸入元の会社名が書かれているのですが、メーカーは不明です。
(こちらは自己放電抑制型ではなく昔のタイプと思われ、残存率のデータなどはありません)


充電1か月後の容量と充電直後の容量をそれぞれ測定し、比較しました。

グラフ(充電直後の容量を100% とした場合の、1か月後の残存率)


うわさ通りと言うべきか、当然と言うべきか、やはりAmazonベーシックが最も優れているようで、6.6% の減少(残存率93.4%)でした。
(注: ニッケル水素電池は、充電直後の自己放電が大きいため、最初の1か月と同じペースでこの先も進むわけではありません。つまり、「最初の1か月の減少量×12」 で1年後を予想する事などは出来ません)

そして意外にも、次に高い残存率(86.3%)だったのは100円ショップのVOLCANO NZ です。これは昔のタイプのニッケル水素電池なので、わずか1か月でも13.7% の減少がありました。しかし、ともかく第2位というのは、値段から言っても期待以上でした。

さて、問題は2種類のenelong(エネロング)です。自己放電抑制型ではない100円ショップのVOLCANO NZ でさえ残存率86.3% を示したのに対し、自己放電抑制型だと主張しているenelong(エネロング)はそれより低い84.9% と82.4% でした。enelong(エネロング)の広告では半年後の残存率が85% となっていますが、実際には、1か月でそれを下回っています。広告は全く信用できないと言わざるを得ません。

実は、測定前からenelong(エネロング)の広告に載っている数値は疑わしいと思っていました。その理由は、標準タイプと大容量タイプが全く同じスペックだからです。どんなに技術力の高い日本のメーカーでも、大容量タイプは自己放電しやすい傾向になります。事実、どの銘柄もそうなっています。

また、残存率のほかにも疑わしい表示があります。それはenelong(エネロング)の充電寿命(充電できる回数)なのですが、標準タイプと大容量タイプがどちらも全く同じ1000回となっているのです。しかし、これはあり得ません。

【日本のブランドの充電寿命の例】

2100回・・・・・eneloop(標準タイプ)
500回・・・・・eneloop pro(大容量タイプ)

2100回・・・・・東芝 充電式IMPULSE(標準タイプ)
500回・・・・・東芝 充電式IMPULSE(大容量タイプ)

 

2100回・・・・・富士通 ニッケル水素電池(標準タイプ)
500回・・・・・富士通 ニッケル水素電池(大容量タイプ)

1800回・・・・・Panasonic 充電式エボルタ(標準タイプ)
300回・・・・・Panasonic 充電式エボルタ(大容量タイプ)

このように各社とも、標準タイプに対して大容量タイプの充電寿命は短くなってます。「大容量化すると充電寿命は犠牲になる」 というのは、ニッケル水素電池の基本的な性質ですね。

そして 「大容量タイプで1000回」 というと、回数そのものが日本のメーカーの500回や300回をはるかに上回っていることになりますが、enelong(エネロング)のメーカーがそこまでの技術を持っているとも思えません。

有名ブランドの電池とそっくりな名前を付けて売ろうという時点で、およそどういったメーカーなのか察しは付きますが、疑わしい内容の広告に加え、実測される性能もひどいとなれば、もうこれは選択肢から外すしかないでしょう。

なお、この記事の中でもeneloop とenelong が見分けにくいので、enelong の方には何度も読み仮名を付けましたが、この 「うっかり間違えてしまう」 事こそメーカーの狙いですね。中国では偽ブランドやコピー品のようなものが多々あるようですが、日本の誇るブランドが真似をされているのは正直なところ不快です。さらに言えば、こういう物を日本で売ろうという日本の販売会社があるというのも寂しい事ですね。

ちなみに、今回は 「長持ち比較」 のような事はしていませんが、充電池では、容量の比較はそれほど意味がありません。一度きりで捨ててしまう乾電池では大切な要素ですが、充電池は充電できますので。

また、ニッケル水素電池は乾電池とは違って、見た目が同じサイズでも容量の選択肢があることから、異なる容量表示の電池を比較しても意味がないという事情もあります。それは300g 入りと書かれた小麦粉と400g 入りと書かれた小麦粉を、量で比べるようなものですから。
(今回の4銘柄も、容量表示が異なります)

 

やはり 「充電池」 である以上、大切なのは、繰り返し使っても性能を維持できる事だと思います。それは充電寿命であったり、残存率であったり、外装の品質まで含めた耐用年数などです。これは使い捨ての乾電池には求められない部分です。


(※ あくまでも一つの条件下での結果です。また、購入した電池の状態なども影響します)