母親の誕生日。生きていたら何歳だろう70歳とかそのくらいかな。母親は私が小学校に入る前くらいから糖尿病を患っていた。病院ではいつも大量の注射器をもらってきては自分で注射器を使って打っていた。昔からそれほど喋る方ではなかった母親だが絵が本当に上手かった。少女漫画のキャンディキャンディのようなイラストを良く描いてくれたものだ。加えて裁縫も得意でうさぎと猫のフェルトで作ってくれたマスコットは今でも大切な宝物だ。そんなら母親があるとき私が学校で使うため頼んだはずの定規を買ってくるのを忘れたことがあった。私は母親を責めた。なんで買ってきてくれなかったの?明日使うのに!仕方なく自分で買いに行った。でもなんであの時気づかなかったんだろう。母親が重大な病におかされ始めてることに。

それから中学生になって、母親と一緒に制服を買いに行った。成長するからといって肩幅はだぼだぼなものを選ばされた。上に羽織るジャンバーは白は似合わないからと黒色を選んでくれた。それからまもなくして母親が入院した。昔からよく入院していたし、今回も少ししたら退院予定だった。その頃名探偵コナンの漫画が出始めていて、病院のお見舞いにむかう向かうバスの中でよく読んでいたものだった。3月、私が寝室で寝ていると朝方父親がドアをノックして入ってきた。お母さんが死んだ。父親は泣きながらそう報告してきた。なんでだろうすぐに涙がでなかった。病院について母親と対面しても実感がわからなかった。うそなんじゃないかって。信じたくなかったのかもしれない。私が本当に泣いたのは葬儀が終わってしばらくしてからだった。